終末期患者からの3つのメッセージ

著者 :
  • ユナイテッド・ブックス(阪急コミュニケーションズ)
3.39
  • (0)
  • (8)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 64
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484103150

作品紹介・あらすじ

大切な人に伝えていますか?あなたの気持ち。『死ぬときに後悔すること25』の著者による、満たされた死を迎えた人の共通点。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 生きている人は全員死ぬ、そして自分も死ぬ。
    改めて書くと当たり前のことでも、「まだまだ先」として、自分の死を考えることから離れてしまっている。
    自分も含め、多くの人が、死というものにそのような距離を置いているのではないかと思います。
    この本の著者の職業は、緩和医療医。
    主に終末期がんの患者に対して、その苦痛をやわらげ、最期を見届けるという仕事。
    その経験を通じ、死というものに直面した人々の行動、言葉から得たことをまとめたのが、本書です。
    数々の印象的なテーマが書かれていますが、特に心に残ったのは以下のようなことです。
    ・自分の死期というのは、突然、やってくる。
    ・特にがんという病気は、死に至る経過に関する情報が多く蓄積されている。これを活用し、自分が今後、どうなっていくのかを冷静に受け取り、何をするか計画を立て実行する人がいる。
    ・自分の内面を見つめ、自分の体の状況を理解した上で、「あるがまま」の心で死を迎えられる人が、幸福度が高いように感じられる。
    自分自身や身近な人がこのような状況になった場合、冷静でいられるというのはかなり、難しいことなのだろうなと推察します。
    しかし、このような本を通じて少しでも、事前に考えておくことが、いざという時のためには必要なのかなと思います。
    なかなか、前向きに取り組むのは難しいのですが、自分の人生を考えるためにも、継続して読んでいきたいテーマの一つです。

  • ■タイトルからして,終末期患者からのメッセージが
     内容のほとんどだと思っていたが
     (もちろん,終末期患者からのメッセージも採録されている),
     基本的には,著者による終末期医療エッセイであった。
    ■著者の死生観は禅,仏教っぽい。

  • まだ二十代。
    わたしにとって死は遠いものでしかない。
    いつか死ぬと分かっていても、何となく「縁起でもない」から思考停止したり、
    目の前のことに捕われて考えが及ばなかったりする。
    誰もが直面する死やけど死後のことは誰にもわからない。
    わからないけど、何千人もの死に際に立ち会った著者の見解は非常におもしろかった。

    海のそばに住んでいる人はたくさんいるが、しみじみ海をながめ、海を味わいつくす人はほとんどいない。ほとんどの人は空の下に住んでいながら、星をながめようともしない。わたしたちはほんとうに人生にふれ、味わい、堪能しているだろうか?

  • 「多くを望まず、人とつながり、バランスの取れた考え方」

  • ベストセラー『死ぬときに後悔すること25』の著者による待望の新刊が登場。 これまでに1000人を超える患者を看取ってきた経験から、後悔のない最期を迎える人に共通する3つの特徴が浮かび上がる。 客観的には幸福だっただろう人が「私は世界一不幸です」と嘆き、客観的にはこれ以上過酷な人生はないかもしれないという人が「私は幸せでした」と微笑む。 それが人生の終着点を前にした人間の姿。 どうすれば後悔しない一生を送れるのか? 今、自分が苦しんでいるのはなぜか? 死を前にした方々から比べれば、その自分の苦しみはどうなのか? 自らの弱さとは何か? 人生の究極の到達点とも言える終末期の患者さんのエピソードとともに、こういった疑問について考えることで、あなたの今ここからの人生を充実させることができる。 最後に「いい人生だったな」と自らの人生を振り返るために、今読んでおきたい1冊。

  • ・6/5 読了.死を考えるということがどう生きていくかを考えることと同義だというのはなんとなく理解していたが、死に臨んだ時に自分がどういう態度でいられるだろうかと考えたら、まだまだ自信が持てないなと思った.これからの生き方も考えさせられる.あとはいかに満足して苦しまずに死んでいくかだ.

  • 死ぬ直前に根本治療ではなく、痛みを和らげたりする処置をするのが、緩和医療だと思っている。
    それゆえ、緩和医療に携わる著者は、人の死に何度も立ち会っている。その中で体験したり見てきた中で、感じたことをまとめた本。

    同じ著者が書いた「死ぬときに後悔すること25」のほうが
    具体的で、多角的だったので、それと比べると、
    読んでいても、薄皮が残ってる様な感じで少し残念。

  • 私と年が変わらないまだ若い医師がホスピスでの経験を描く。患者の気持は実際体験しないと分からない、だからこそせめて分かろうと努力する、寄り添うことが大切だと思う。何が起きても一歩引いて冷静になる心、精神力今から鍛えたい。

  • どうすれば後悔しない一生を送れるのか。自らの弱さとは何か…。終末期の患者たちのエピソードと共に、こうした疑問について考える。最期に「いい人生だった」と自らの人生を振り返るために、読んでおきたい1冊。

  • 医師として、数多くの患者の死を見届けてきた著者が、死ぬときに
    後悔しないために、われわれが今をどう生きるか、ヒントを与えて
    くれる一冊です。

    著者が言うように、「もし死が敗北ならば、人の一生は最後に負け
    ておしまいになる。だからこそ私たちは、死を敗北や不幸にしない
    ように、ものの考え方を転換する」べきなのです。

    では、どうやって死に対する考え方を改められるのか、より良く今
    を生きられるのか。

    本書には、まさにそのヒントが書かれています。

    読者が現在、たとえ10代、20代でも、今から死を考えることで、違
    った生き方が考えられるはず。
    この世を去るときにわれわれが耐えるのは、苦痛と悲しみだけでは
    ない。たいていの場合、最も大きな重荷は後悔であり、この問題に
    関してはこの一語でことたりる(ヌーランド)

    やり残したことがあるという事実こそが一種の充実(ヌーランド)

    後悔は「解消されない葛藤」「修復されないこわれた関係」「実現
    されない可能性」「守られない約束」「もはや生きることのない年
    月」(ヌーランド)

    度を超した欲は、自らを満足させることはなく、人生の充足感を減
    らす。程良くコントロールされた欲が、人生を満たしていくのでは
    ないかと思うのだ。物は所詮、物である。なのに、物にとらわれて
    しまっている人間がいる。物で本当に満たされることはない。なぜ
    ならば物はいつか失うからである

    理解してもらいたいという渇望こそが、ものを創り上げる大きな契
    機になるのではないか。ムンクは病が癒えると、『叫び』のような
    傑作が描けなくなった。晩年の恵まれたユトリロは白の時代のよう
    な凄みのある風景が描けなくなった。孤独で、理解してもらえない
    苦しみは芸術を昇華させる。そして満たされると描けなくなるのである

    理解してもらいたい、人は誰でもその気持ちを持っている。その気
    持ちゆえに、人は大きな仕事をなすことができる

    得ることが多くなったからこそ失う恐れを持つことも多くなったろ
    うし、もっと得ている人のことを知りやすくなったため比較して苦
    しむのだろう

    どんなことが起きても、どんな結果でも、あるがままに受け入れら
    れるようになれば、死すら恐れるものではない

    異なっていると、理解できず、また理解してもらえない。それが怒
    りにつながる

    死ぬときに心残りとなるのは、やはり家族のことが多いのだ

    つながりを失えば「誰もが」モンスターになり得る

    私自身を翻ってみれば、ダークサイドに捕われてしまったときに救
    ってくれたのは、やはり実地で学んだ死生観と、近しい人とのコミ
    ュニケーションであった

    勝っているときほど弱者に優しくし、おごらない者は、自らが負け
    るときにでも情けを受けることもある

    道を得ることは、生まれつきの賢愚によるのでない。人間はみな法
    を悟り得るものなのだ。ただ、努力しているか怠けているかによっ
    て、道を得るのに早いか遅いかの違いが生ずるのだ。努力するか怠
    けるかの違いは、道を求める志が切実であるかないかの違いによる。
    志が切実でないのは、無常を思わないからだ


    人生をより充実したものにするために、ぜひ読んでみてください。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

早期緩和ケア大津秀一クリニック院長。茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。緩和医療医。2006 年度笹川医学医療研究財団ホスピス緩和ケアドクター養成コース修了。内科専門研修後、2005年より3年間京都市左京区の日本バプテスト病院ホスピスに勤務したのち、2008年より東京都世田谷区の入院設備のある往診クリニック(在宅療養支援診療所)に勤務し、入院・在宅(往診)双方でがん患者・非がん患者を問わない緩和医療、終末期医療を実践。2010 年6 月から東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンターに所属し、緩和ケアセンター長を経て、2018年8月より現職。遠隔診療を導入した日本最初の早期からの(診断時や治療中から。対象をがんに限らない)緩和ケア専業外来クリニックを運営し、全国の患者さんをオンライン緩和ケア相談している。全国相談可能な『どこでも緩和』ネットワークを運営。著書に25万部のベストセラー『死ぬときに後悔すること25』(新潮文庫)、『死ぬときに人はどうなる 10の質問』(光文社文庫)、『死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33』(幻冬舎)などがある。

「2021年 『幸せに死ぬために 人生を豊かにする「早期緩和ケア」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大津秀一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×