午前零時のサンドリヨン

著者 :
  • 東京創元社
3.41
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本棚登録 : 1188
感想 : 240
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024499

感想・レビュー・書評

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  • 【読了】今年30冊目は学園ミステリーもの。主人公の須川君もその一目惚れの相手ヒロインの酉野さんも、純な性格でいまどきこんな高校生がいるのか?と思ってしまう。最後が非常に痒いが青春の一コマということで大目に見よう。

  • 「認めて」って勇気を持って声に出すことで、
    魔法が使えるようになる奇跡の話。
    初のマジックは魅せるためのものではなく、
    自分の苦しみを、辛さを、存在を、
    誰かに気付いてほしいためのもので
    それに気付いてくれて受け入れてくれたことが
    まさに魔法だったと思う。

  • 別の本の後ろの広告?に出てて借りた本。第19回鮎川哲也賞受賞作。こういうのも鮎川哲也賞になるんだな。日常の謎というか、高校生活の中で起こることをバーでマジシャンもやってる酉野初が種明かししていて、それに憧れる男子高校生の語りの話。何かいまいちだったわ。高校1年生でこんなに自我が弱いというか、他者から承認されたいなんて、酉野は不幸な家庭で育ったんだろうか。八反丸さんがほんとは酉野さんが好きなのに、すごくアンビバレントな対応をしてるのも意味不明だし。普段は酉野さんと呼ぶしかない、勇気が出ない感じを出してるのに、地の文では『酉野』と呼び捨てなのがすごい違和感だし。合わなかったなー。

  • 相沢沙呼による学園ロマンスミステリかと思って手にとった。ミステリでありながらあえてマジックというあえて謎を明かさない領域をモチーフとして扱うのであれば、青少年の自意識を主題にするよりも推理の加害性とかエンタメ性を問う形で料理した方がおもしろくなったのでは。ラノベレーベルから出ていれば受け止め評価も変わったかもだけれども、鮎川哲也賞と言われれば不満が残る。。
    とはいえ、手品や心霊現象というモチーフが後に『medium 』に結実するのであればそれはそれで必要なステップだったのかも、と。

  • 3.3

  • 自分の中で好きなのかそうでないのかよくわからないところがある。

    日常の謎としてはしっかり描かれていたと思うし、個々の謎解きとそれがつながっていく中で大きな主題の解決に至るストーリーは、ミステリーとしてだけではなく物語としても良いと思うのだけど…。

    どどど。主たる人物たちの描写に違和感があるんだろうか。高校生らしくないというのは、フィクションでは受け入れてなんぼの要素だと思うけど、今回のはもっと本質的な部分な気がしている。単純にこんな高校生嫌だと思ってるのかもしれないけど、消極的な猪突猛進タイプの主人公のスイッチの入り方にイマイチ納得できないのかも。

    審査員たちのコメントには、米澤穂信のような「苦さ」が足りないとあったが、それを読んで思ったのは、今回の作品にあるのは「えぐみ」かもしれないということ。ある意味ご都合主義から大きく脱しているとも言えるのかもしれないけど、えぐみの物語的意味はどんなものかと言われたら、ちょっと悩んでしまう。共依存的な主役の二人の関係は「苦さ」ではなく、別のものなんだろうなぁ。

  • 鮎川哲也賞を受賞した、相沢沙呼さんのデビュー作。

    マジシャンである女子高生を探偵役に、彼女に恋する同級生の男の子を語り手に据えた、日曜の謎系ミステリの連作短編集です。

    ミステリにマジックの要素を加える、そのアイデアが面白いですね。

    前半に張り巡らせた伏線を、終盤で一気に回収するのは連作短編集の王道ですが、その手腕がとても鮮やかで、細かいところにも配慮されていると思います。

    ただ、語り手である主人公の恋する気持ちは理解出来るのですが、何かにつけてヒロインに強要するような言動にはイライラすることが多々ありました。

    語り口の軽さとは対照的に、謎の背後にあるものは重く、学校という狭い世界で生き抜くことの大変さをつい思い出してしまう、そんな一冊です。

  • テレビドラマ原作で話題の著者のデビュー作を読んでみようと軽い気持ちでチャレンジ。マジックをする女子高生が謎解きをするという設定は新しく、そんな奇抜な設定をされている本人は学校ではシャイでボッチで口数少なく、狂言回しは彼女のことが気になる同級生男子というのもいい。
    が、なんとなく乗り切れないまま読了してしまった。重要な事件として過去の学校での自殺がモチーフになっているのだが、それをめぐる展開がどうにも感情移入できず、いくつも登場するトリックも成立はしていると思うが、だから何?という感じ。まあこれは好みによると思うけど。日常の謎系ミステリーにはできれば人の生き死には登場しないでほしかったというのが正直なところである。
    興味深かったのは、この作品は第19回鮎川哲也賞受賞作ということで、巻末に選評が載っていたところである。この中である審査員がこの作品について「薫文体」という言葉を使って庄司薫作品との類似を指摘していたのだが、あまりのアナクロニズムにのけぞった。21世紀になって庄司薫とは。還暦過ぎたらラノベは読まないからわかんなかったのかなあ。

  • 全編 語り口調で、それが軽快さを出している。ノリで物事を決めていきがちな若者の軽さを よく表していると思う。
    酉乃の言い分は、駄々をこねているようにしか見えないので、あまり共感しない。←なので、作品全体に関わる それぞれのアイデンティティの問題も、あんまり興味を持てないが。
    なんにしても、マジックの軽やかさと主人公の軽さがとても合っていて、それで謎を解くなら 他の事はあまり重要に感じない。

  • マジックの、技術的な面と心理的な面とエンターテイメント面が高校生の人間模様と絡んで物語が広がっていく感じ、見事だった。困っている人にかける言葉がずれてる須川くん、身に覚えがありすぎて恥ずかしくなった。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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