真実の10メートル手前

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 286
  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027568

作品紹介・あらすじ

高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と 呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と 合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める……。太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。『王とサーカス』後の6編を収録する垂涎の作品集。

感想・レビュー・書評

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  •  小市民シリーズがとっても性に合わなくて、それ以来、米澤さんに苦手意識があったんですが、これは大丈夫でした。
     たまたまあのシリーズだけが合わないのかなぁー。

     淡々としてる感じがよかった。

  • 2016/9/14太刀洗さんのキャラが面白い。軽い短編、個別には短いが「正義漢」。★4の下

  • 図書館で借りた本。
    王とサーカスの太刀洗さんが活躍する話。続編だと思っていたので、王とサーカスを読むまでは読まないでいたけど、短編集だったので、どちらから読んでもよかったのかなと思った。どの話も、太刀洗さんの温かみというか、気遣いに関心させられました。このぐらい気遣いできる人になレたらなぁと、憧れます。

  • 謎自体に魅力はそんなになかったが、太刀洗の取材に対する姿勢が好き。

  • やっぱり巧い、単発でも十分興味惹かれた。好みは正義漢、印象的だったのは名を刻む死。決して好感高い主人公ではないんですが、現実社会にこんなジャーナリストがいてくれることを期待したい。

  • やはりこの人の描く人物はあまり好きになれない。
    この人すごいでしょ、優秀でカッコいいでしょ!
    どうやって解決したか知りたい?ねぇねぇ!
    って押し売りされてる気分。
    米澤さんの本は何冊か読んでみたけど、合わないみたいです。

  • 太刀洗万智がフリージャーナリストになった後の他者視点から見た短編6つ。
    救われない話も多いけれど、伝えなくてはならない話もあって、辛いなぁと。
    でも少年を励ます言葉を言い切れるのはやっぱり強いなと、思う。

  • 日々接するニュースとかワイドショー。
    報じられたものにどう向き合うか、について考えさせられた。
    それらは真実っぽいけど、自分が当事者に聞いたわけでも見たわけでもなく、あくまでも誰かの考えが混ざったもの、ということを忘れてはいけないと思う。

  • 太刀洗万智を主人公に据えた短篇集。表題作の「真実の10メートル手前」は作中の手がかりの提示が非常に分かりやすく、実に映像的な作品である。特に最後のオチがそのままタイトルと重なるあたりは上手く、苦い結末のショートムービーを見たような味わいがあり、この短編集の始まりとしては一番である。「正義漢」はゾッとするような一人称から始まり、こういう人間は確実にいるという生々しさが行間からにじみ出てくる。話自体は非常に短く、仕掛けもあっさりとしていながらも、太刀洗万智のジャーナリズムの業の深さが垣間見える一本。名前は出てこないが守屋と思わしき人物との邂逅も見逃せない。「恋累心中」は教師のディティールが細かであり、学校という空間を外側から見た時の異質さが浮き彫りになっている。自殺事件が全く別の角度からロングパスのように繋がり、意外な犯人が明らかになる様は素晴らしい。最後まで油断できない短篇はこれであろう。「名を刻む死」は個人的にはこれが一番だった。記憶に残る人というのはいい人ばかりではない。社会を恨む迷惑で孤独な老人の人物像が非常にリアルで、社会派ミステリの側面がありながらも、真相が明かされてもそれに対して同情的になるわけではなく、むしろあえて突き放すというのは斬新である。最後の一文の鋭さもあり「ボトルネック」を彷彿とさせる苦さがある。「ナイフを失われた思い出の中に」は最もジャーナリズムに踏み込んだ一作で、太刀洗のジャーナリズム観がためされる物語である。事実を全て開陳すればいいというのはよくある誤解の一つであり、それに対して真っ向から立ち向かう真実は加工されるべきという太刀洗は、下手をすれば評価を下げかねない。ただその加工される真実というのがこの話のミソになっており、独白と街が重なるアイディアは面白い。また海外の人間相手への言葉遣いが翻訳小説のような感じになっているのも芸が細かい。「綱渡りの成功例」はこの短篇集の〆としてふさわしい作品だった。まさに今までの話は綱渡りが成功したに過ぎず、結局は天に任せるしかない。そのためには愚直に向き合っていくしかないという、職業に対する誠実さが見え、太刀洗がもっと好きになってしまった。短篇集としてバランスの良い傑作である。

  • 『さよなら妖精』に出てきた太刀洗万智のその後のお話。
    『さよなら妖精』は本当に好きで(古典部より好き。こちらの方を先に読んだせいもあるけど)、どちらかというと守屋くんがどういう人生を選んだのかを知りたかったので、なかなか読む気になれなかったのですが……なんか万智主人公って固そうな感じがしたし。

    が、読んでみたらすごく良かった!
    一人称でないあたりがまた万智らしく固くて(想像どおり)、その隙間から見える彼女の心が良いですね。
    マーヤのお兄さんが出てきたのも、守屋くんと思われる人物が出てきたのも嬉しい。
    守屋くんはあそこで一つの人生が終わってしまったのかな……という印象は、うん、やっぱりありますね。

    『王とサーカス』も読まねばな……。

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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