破壊者 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (539ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488187095

感想・レビュー・書評

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  • 100点

    この物語を読み始めて最初に思ったのは、「いやー相変わらず黒いなー」だった
    イメージとしての黒ではなく、単純な色としての黒
    もうページに文字がびっしりと隙間なくあって本当に黒いんだよね
    ただ不思議なのは表現がとても簡潔で分かりやすいんだよね
    よくある作家が自分の技術をひけらかすために日曜日の夕方の情景を4通りのやり方で表現するようなことで文字数を使うようなことじゃなくてね
    本当に不思議物凄いたくさん字があるのに余ってないんだよね
    必要なことしか書かれてない
    ミネットの文章好きだ(翻訳がいいのかな)

    それにしても100点だ
    本当に(自分が好きな)ミステリーのお手本と言ってもいい作品
    綿密に積み上げられたロジックが物語が進むにつれてほどかれて行って
    あーなるほど!って思わせる説得力がちゃんとあって
    最後は主人公にちょっぴり明るい未来を予感させる、朗らかな終わり方
    もう(ひまわりめろんの採点基準では)100点の完璧なミステリー
    面白かった!

  • 「氷の家」と同じ作者だったので。

    前作と違って読みやすかった。
    ミステリーとラブストーリーが織り込まれていたからか。
    全体的に明るい雰囲気だからか、
    舞台が海だからか。

    いかにも怪しげな二人の容疑者が最初から現れて、
    殺されたのが一人だからか。

    もと金持ちで結婚詐欺にあった母娘が、
    生活を立て直しはじめるところが良かった。

  • 『惨い。酷い。辛い。』読む前からおどおどしてしまう帯付きの長編ミステリー、いつもながら読み始めると止まらないミネット・ウォルターズ。男性側から女性に対して勝手に貼られたレッテルについて注意を喚起するというのが本書の隠れた目的であるという解説の一文があった。犠牲者は遺体となって登場するので彼女の言い分は聞こえてこない。なので、周囲の証言から殺された方にも何かしら非があったように感じてしまう。実社会に置き換えて考えてみると恐ろしいことだ。ひとりの人間とは、そんなに単純ではない、いろいろな側面を持つということを忘れてはいけない。ミネット・ウォルターズにしてはめずらしく、最後に心がホッとするシーンがあるのが救いだった。

  • the breaker. i can't synchronize that emergency call 999, chippendale guy. that's why? can't like japanese translate? the prot not strong. i mean, if not found broken dingy...

  • 地味…だよね。
    特に凝った作りでもないし、意外な真相があるわけでもないし。
    だからこそ人を丹念に描けているんだと思う。
    犯人というより、話の先が気になった。

  • ウォルターズの今までの作品に比べると、面白さはやや下がるかな。スティーヴにトニーの教養知識が、トニーにスティーヴの美貌、或いは性的魅力があれば、二人ともまともな人生が送れたかもね。この二人の人生は無い物ねだりに満ちている。逆にケイトは自分の手に入るもので精一杯生きようとしたのでは?カーペンター警視とガルブレイス警部補のキャラの書き分けがイマイチ。巡査のニックは素敵。

  • 破壊者っていまいちピンとこなかったですけどみなさんいかがですかね。面白かったです。

  • わりかし捻りのない素直な感じ。ちと詰めは甘いかな。

  •  ミネット・ウォルターズは年に一作程度の寡作小説家である。その上、東京創元社の場合概してそうなのだが、日本での翻訳発表が原作出版の10年後なんていうのも決して珍しくなく、本書もまた原書出版の13年後という、時を逸した感のあるこの出版事情だけは、今後是非どうにかして欲しいもの。本書のように、時代性において影響の少ない作品だから、という言い訳は絶対に不要である。読者はやはり、いい作家の、いい作品は、できるだけリアルタイムに読みたい。映画だって、『アルゴ』みたいにアカデミー賞を受賞するのと同時に、映画公開・DVD発売までをクリアしてしまう、そんな時との競争が当たり前の現代という時代なのだから、まるで魔女狩りの時代みたいにクラシックでゆるすぎる商品流通のシステムは、早々に改善して欲しいもの。海外翻訳ミステリの衰退を心配げに見つめる読者としては、さらに痛切な願いである。

     さて、作品の方だが、ローカルな海岸地帯における流れ着いた女性の死体。そのただひとつの事件をめぐって、地域に生活したり、ここを訪れたりする、実に多くの登場人物が、それぞれに語り、それぞれに動き回る。多くの人を登場させ、多くの人の目線で物語を追跡するゆえに、真相になかなか辿り着けないという、実に冗長で遠まわしでありながら、事件をめぐる社会構造の方に視点を集約したような長大な一冊である。ミステリの軸となるフーダニットの興味があったとしても、おそらくあまり満たされないだろう。そんな結末に至り、はて、この作品は果たしてミステリでさえあったのか? と疑問に思う読者も少なくないのではないだろうか?

     この物語の舞台となる地域の方が、まるで主役ででもあるかのように、この地域の地図と、サービスのよいことに写真までもが巻頭に揃えられている。この広大で美しい入江や岬を持つ海辺の田舎町に、事件と関係のある人やほとんど関係を持つとも言えないような人々の日常生活が、事件から受けた影響というようなものを、あくまでディテールにこだわり、人間たちの個性にこだわり、会話にこだわるかのように語り続ける作家のペンが、さすがに今回ばかりは、遠まわし過ぎて鼻についてならなかった。退屈な長回しのカメラ映像でできた出来の悪い映画脚本みたいに思える、というと言いすぎだろうか?

     作品のめざす主眼が、事件の真相というものではなく、事件の表面に見えなかったがやがて見えてくる、それぞれの事実の堆積にあると気づいてからは、真犯人はどうでもよく、むしろ死に至った女性の側の真実、殺されねばならなかった原因や、それを作り出す環境、また彼女の死がもたらした波紋のようなものを人々の眼を通して、映し出すことが本書の主眼であるのかと割り切るしかなかった。それはそれで狙いとしてはよいのだろうが、冗長は弛緩を産み、群像小説的視点は散漫を呼び、時間はのんびりと蛇行し始め、事件そのものへの興味も大きく育ちはしない。読書中、ついぞ心が高揚することがなかった。

     ミネット・ウォルターズは、そもそもディテールを大事にして、人間を大切にする作家ではあるものの、事件そのものの異様さ、特徴、癖のあるラディカルな犯人像といったものが、過激なまでの個性であったように思う。そしてストーリーテリングは申し分なく、独特の構成、異質な表現である新聞記事などの挿入、などによる少々エキセントリックなまでの扇情ぶりが、この人の現代的なエンターテインメント性を形づくり、読書的スピード感をもたらしていたように思う。この人がここまでどっしりと腰を据えて、当たり前のような小説を書いたのは今回初めてと言ってもいい。さほど、エンターテインメント性の面で鈍りを見せた、ぼくにとっては理解しにくい作品が本書であったのだが、この作家の継続読者としてはつくづく残念でならない一冊である。

  • 「女彫刻家」や「氷の家」程の衝撃はなかったが、とにかく早く先が読みたくて文字通り寝食を忘れて読みふけりました。

    2回目からは、自分でも各容疑者の供述(日時・場所)をメモして、警察の視点から一緒に犯人を捜していくと面白いだろうな、と感じました。

    幼子「ハナ」がとても印象的だったので、全般的にもう少し彼女に絡んだストーリーが膨らんでいれば、別の観点からも深みが増したのでは、とも思いました。

    でも読了後の感想は毎回お馴染み、「さすが!」。

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