サイモン・アークの事件簿II (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488201104

感想・レビュー・書評

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  • サイモン・アークの第二作。

    「百羽の鳥を飼う家」が面白かった。
    ロンドン北部に老姉妹が住む家に百羽の鳥が飼われている。
    姉妹のうち一人が殺され、同居人のパン職人が疑われるが、
    アリバイがある。
    謎を解こうするサイモンと主人公だが、
    主人公に妻そっくりの女性が近づく…。

    殺された動機も面白かったし、
    サイモンたちがクローゼットに隠れたのも面白かったし、
    妻そっくりの女性の謎も面白かった。

    あとはゾロアスター教の鳥葬のための場所、
    沈黙の塔をめぐる話は、
    非現実的だが、サイモン・アークの舞台としては良いかも。

  • サイモン・アーク第2集。長く続いたシリーズの全体像が
    何となくわかるように各年代からまんべんなく選ばれた
    第1集と同じく、この2巻でも様々な年齢の「わたし」に
    出会うことができる。中篇「真鍮の街」は何となく長い
    だけで今一つだなと感じるあたり、やはりホックは短篇
    で生きる作家ということなのだろうか。幽霊屋敷が舞台
    の「百羽の鳥を飼う家」がお気に入り。

    例によって以下ネタバレ備忘録です。閲覧注意。












    【過去のない男】
    ・カスパー・ハウザー ・雪原の密室(足跡) ・ゾロアスター教
    【真鍮の街】
    ・瓜二つの姉妹 ・髪の毛の色
    【宇宙からの侵略者】
    ・宇宙飛行士 ・雷、雷神トール ・事故を利用した連続殺人 ・宇宙へ行った記念品
    【マラバールの禿鷲】
    ・パールシー教徒(ゾロアスター教) ・鳥葬 ・密輸ダイヤ ・インド映画 ・放火・脱出 
    【百羽の鳥を飼う家】
    ・幽霊屋敷 ・パン職人 ・コカイン ・仕掛けテーブル
    【吸血鬼に向かない血】
    ・マダガスカル島 ・イボイノシシ(闘猪) ・人工透析 ・ファマディアナ
    【墓場荒らしの悪鬼】
    ・ヒ素 ・落書き(五芒星) ・ラルフ・ワルド・エマーソン(ラルフ・ウォルド・エマソン)
    【死を招く喇叭】
    ・ルクソール ・呪われた喇叭(老衰死) ・ポカホンタス ・ジョシュア(ヨシュア) ・葬儀ディレクター ・老女の死体との入れ替わり

  • シリーズ2作目。
    著者の自選集で時系列はバラバラですが、大抵サイモンとの出会いからの年月のヒントがあるので、何となく主人公の年代はわかります。

    謎めいた事件をサイモンが論理的に解き明かすのがとても楽しいシリーズです。

  • ミステリ。短編集。☆3.5。
    ミステリとして、驚愕の真相というわけではないが、オカルトチックな謎が魅力的でスイスイ読み進める。
    中編「真鍮の街」が一番好き。マッドサイエンティストの登場が面白い。

  • ❖主人公が事件を探っていくと、どの話もその先に欲得や怨恨といった人間の生臭い感情の絡む動機へと行き着くワケだけれど、不思議とワンパターンといった冷めた印象・感想は抱かない。それは毎回奇妙・怪奇なシチュエーションを展開させ、巧い語り口で読者をおもてなししているからというアタリマエの話になるが、本書でもその多彩を十分愉しませてもらった。
     「百羽の鳥を飼う家」は細部まで計算されていて感心。「宇宙からの復讐者」は異色作で、優秀なはずの登場人物と物語背景の大きさの割に動機のセコさが際立つ。その落差のバカっぽいとこが好みであった。

  • 自称 悪魔を探して二千年、サイモン・アーク 日本向け選集第二巻。
    ・過去のない男
    ・真鍮の街
    ・宇宙からの復讐者
    ・マラバールの禿鷲
    ・百羽の鳥を飼う家
    ・吸血鬼に向かない血
    ・墓場荒らしの悪鬼
    ・死を招く喇叭

    タイトルを読めば内容もはっきり思い出せるほど印象に残ります。
    掲載する雑誌の傾向によって オカルト寄りにするかしないかの選択が迫られたというメタな事情あり。
    まあ…エラリー・クイーン誌はその名前からして確かに載せたがらないだろうなあ・・・

  • 一巻と比べるとやや強引な話が多かった気がするが、吸血鬼、墓荒らし、喇叭と面白かったのが後半に集中したせいか。「真鍮の街」は、よく分からないまま長々事件に引きずり回されるような作品で、ちと退屈。

  • サイモン・アークシリーズの中では珍しい中篇「真鍮の街」が収録されている。オカルト探偵と言われながらも、推理はいたって論理的。

  • わかっちゃえばなあんだかもしれないけど、わかる前の文章全体から漂う雰囲気が好きだ。ぞわぞわする。今のとこ真鍮の街ベスト。私がシェリーだったら、絶対に一緒について行くんだけどなあ。

  • 二千年もの時を生き、悪魔を探し求めるサイモン・アークシリーズ第二弾。
    発表順や時系列は関係なく、ホック自身の選んだ作品を収録。

    強烈な印象を与える謎が多かった第一集に比べると、比較的俗っぽい話が多い。
    当然、奇妙な印象を与える事件は多いものの、殺人などの平凡な(?)事件が多い。

    収録されている中編『真鍮の街』も、怪奇現象やオカルトがあるわけではなく、
    「何か嫌なことが起こるかもしれない」と言い残した人物が殺される、といったものだ。
    当然物語が進むにつれていつものようにオカルトじみた現象も起こるのだが、与えられた印象は第一集とは大きく違った。

    解説にもシリーズが進むにつれて、当初のオカルトから離れていったとある。
    不可能犯罪という柱は健在ではあるが、何か物足りない。
    もっと悪魔じみた事件を短い話として読みたかった。

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著者プロフィール

Edward D. Hoch (1930-2008)
アメリカの作家。ニューヨーク州ロチェスター生まれ。ロチェスター大学に学び、広告関係の仕事をするかたわら、1950年代に短編を書き始めた。1955年に「死者の村」を雑誌に発表してデビュー、「長方形の部屋」(67)でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀短編賞を受賞し、専業作家に転じた。以降50年以上にわたり、短編ミステリの第一人者として活躍し続けた。短編の総数は950編以上にものぼり、当代きってのプロの雇われ泥棒ニック・ヴェルヴェット、コネチカット州の名もない街の警察の凶悪犯罪班のリーダー、レオポルド警部、引退した一般開業医で、不可能犯罪のスペシャリスト、サム・ホーソーン医師、ホックのデビュー作の主人公であり、年齢二千歳とも噂されるオカルト探偵サイモン・アーク、暗号解読の専門家で、イギリス諜報部極秘部門秘密伝達局の局長ジェフリー・ランドなど、数多くのシリーズ・キャラクターを生み出した。長編は数冊のみ。2001年にアメリカ探偵作家クラブ生涯功労賞を受賞したほか、数々の栄誉に輝いた。

「2023年 『フランケンシュタインの工場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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