サイモン・アークの事件簿III (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488201111

作品紹介・あらすじ

悪魔と超自然現象にまみえるため、世界を渡り歩く謎の男サイモン・アーク。狂信的な信仰行為で知られる痛悔修道会の儀式の最中、多数の同輩がいる中で一人の信者が刺殺された事件、呪いのナイフや女妖術師が引き起こしたとおぼしき殺人、警戒厳重な古城からのナチス戦犯の消失…いずれ劣らぬ怪奇な事件に、オカルト探偵が犀利な推理力で挑む8編を収録した、瞠目の第三短編集。

感想・レビュー・書評

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  • サイモン・アークの第三作。

    今更ながら、表紙が素敵。
    放射能やら水中溶接やら登場して、驚いた。

    一番面白かったのは「ツェルファル城から消えた囚人」。
    四か国で共同管理されていたベルリンの城の中庭から、
    ナチスの戦犯が忽然と消えてしまった。
    76歳の男が20フィートの滑りやすい壁を超えたのか。
    途中でサイモン・アークが話したプロシアの刑務所で
    囚人が消えた事件の方が衝撃的だったけど。
    本当の話なのか?

  • 第3巻。この巻までは著者ホックによる自選集である。
    相変わらずオカルトは包装だけで中身はしっかりした短編
    ミステリだ。
    個人的に好きなのは痛悔修道会を扱った「罪人に突き刺
    さった剣」かな。今ならば良い映画にできそう。

    例によって以下はネタバレギリギリな備忘録。閲覧注意。














    【焼け死んだ魔女】
     ・占い師=魔女 ・女子大学 ・プール ・放射性物質 ・エレボス ・チュニカ・モレスタ(燃えやすい衣服)【罪人に突き刺さった剣】
     ・痛悔修道会 ・霊媒 ・頭巾(裸) ・降霊会 ・ヘルマスの牧者 ・槍ではなく剣(ロンギヌス)
    【過去から飛んできたナイフ】
     ・ロンリー・ツリーの戦い(フレンチ・インディアン戦争) ・魔法で消えたナイフ ・弓矢の自動発射装置 ・不倫相手の妻
    【海の美人妖術師】
     ・兇器の金髪 ・海底に沈んだ船=麻薬の密輸中継所 ・水中溶接の光 ・航海日誌の筆跡
    【ツェルファル城から消えた囚人】
     ・冷戦下の米ソ対立 ・ナチの生き残りの囚人 ・消える前にすでに入れ替わり
    【黄泉の国への早道】
     ・ロックスター ・シースルーエレベーター ・上下ランプの入れ替え ・等身大パネル
    【ヴァレンタインの娘たち】
     ・ヴァレンタイン町でのヴァレンタインのイベント ・ライターのおとり捜査
    【魂の取り立て人】
     ・姿のない尾行者 ・電子音チップ ・イタズラ半分で悪魔と契約 

  • シリーズ3。
    オカルト研究家と書籍編集人が不気味な事件を次々と解決。

    飽きずに読めます。黒服を着たサイモンが意外とどこでも出入りしちゃうコミュ力の持ち主なのがちょっと笑える。

  • ミステリ。短編集。シリーズ3作目。
    1作目のデビュー作「死者の村」や、2作目の中編「真鍮の街」のような、中心となる作品がない感じ。
    それでも安心して楽しめるのは流石。

    「焼け死んだ魔女」学生たちの体調不良と魔女の焼死。シンプル。
    「罪人に突き刺さった剣」ミステリ好きなら意外に思いそうな結末。
    「ツェルファル城から消えた囚人」人間消失。謎が魅力的。
    「黄泉の国への早道」ロックライブ。シリーズでも異色の場面か。
    「ヴァレンタインの娘たち」墓地の周りを走る娘たち。想像すると奇妙な風景。
    他3作品。全8作品。

  • ❖オカルトじみた怪異な事件(その状況)に隠された真相(すべては合理的解決がされる)を暴くシリーズ短編集。主要登場人物の二人は、サイモン・アーク=ホームズ、わたし(語り手)=ワトスンという古典的盟友関係にある。なぜ現場(事件)はこういう状況(状態)になったのか?・・魔術めいた謎に惹きこまれ、そうした不可思議を成立させた著者のロジックの技巧(アクロバティック)に感心させられた・・着想のその多彩さは驚異的。『ツェルファル城から消えた囚人』などは十分に長篇にふくらませられる内容に思われ、モッタイナイ感じも。

  • 焼け死んだ魔女
    罪人に突き刺さった剣
    過去から飛んできたナイフ
    海の美人妖術師
    ツェルファル城から消えた囚人
    黄泉の国への早道
    ヴァレンタインの娘たち
    魂の取りたて人


    タイトルを読めば中身が・・・と思いましたが
    黄泉の国~だけ思い出せなかったくやしぃ
    The way up to Hades かあ
    これでもきっとだめだな…
    「悪魔に連れ去られた男」とかまんまだったらすぐわかる(あたりまえ)

  • ナチスの生き残りと四カ国それぞれの目論見の交錯する「ツェルファル城から消えた囚人」が特に面白かった。しかしそれ以外に関しては、充分に面白いけど一巻と比べてしまうとやっぱり見劣りしてしまう。

  • 自称二千年も悪魔を追い求めて超常現象と見ればどこへでも行くのに、いつも論理的に事件を解明してしまう、ある意味可哀想なサイモン・アークの短編集第3弾。
    今回も刑務所となっている古城や、ガラス張りのエレベータからの人体消失、魔女の呪い、過去から飛んできたナイフなど不可能犯罪てんこもりだが、初期の頃の怪奇な味が薄れて普通のミステリになってきた気がする。それでも巻を重ねても一定のレベルを保っているのはお見事。
    アークがロックコンサートに行ったところは想像するとちょっと笑える。

  • 2012/06/17読了

  • もはやありがたいことに毎年恒例のクリスマスプレゼントとなった感。オカルト色が一段と強くなりとても楽しめた。今年のクリスマスプレゼントも期待しています。

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著者プロフィール

Edward D. Hoch (1930-2008)
アメリカの作家。ニューヨーク州ロチェスター生まれ。ロチェスター大学に学び、広告関係の仕事をするかたわら、1950年代に短編を書き始めた。1955年に「死者の村」を雑誌に発表してデビュー、「長方形の部屋」(67)でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀短編賞を受賞し、専業作家に転じた。以降50年以上にわたり、短編ミステリの第一人者として活躍し続けた。短編の総数は950編以上にものぼり、当代きってのプロの雇われ泥棒ニック・ヴェルヴェット、コネチカット州の名もない街の警察の凶悪犯罪班のリーダー、レオポルド警部、引退した一般開業医で、不可能犯罪のスペシャリスト、サム・ホーソーン医師、ホックのデビュー作の主人公であり、年齢二千歳とも噂されるオカルト探偵サイモン・アーク、暗号解読の専門家で、イギリス諜報部極秘部門秘密伝達局の局長ジェフリー・ランドなど、数多くのシリーズ・キャラクターを生み出した。長編は数冊のみ。2001年にアメリカ探偵作家クラブ生涯功労賞を受賞したほか、数々の栄誉に輝いた。

「2023年 『フランケンシュタインの工場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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