松谷警部と目黒の雨 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.07
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本棚登録 : 193
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488420031

作品紹介・あらすじ

OL殺害事件の背景にあると目される大学時代のクラブ仲間を調べると、過去5年間に関係者が3名死亡していた。これは連続殺人か? 犯人当ての醍醐味を堪能できる本格ミステリ。 文庫オリジナル。

感想・レビュー・書評

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  • 「動機は脇に置いといて」地道に捜査するロジック冴えわたる本格ミステリ。

    目黒本町での殺人事件から人間関係を洗ううちに、過去に起きた2つの事件へとつながります。
    手がかりひとつひとつは言われてみればなるほど~なんですが、それが分からないからおもしろい。
    登場人物や情報量が多くて、現在と過去のアリバイ確認などは混乱しました。
    携帯電話やパソコンが普及しはじめたこの時代というのも考えられています。

    「動機は脇に置いていて」のロジカルな推理は楽しいですが、決して動機がないがしろにされているわけではありません。
    むしろ、最後にガツンと苦々しい真相が待っていました。

    この著者は他の作品でもそうなんですが、ユーモアを交えつつも淡々とした推理進行や主要キャラクターの中に、突然毒が混じったりします。
    アメフト部の歪な人間関係、ばかばかしくも狂気じみた動機など嫌な感じです。
    目黒本町で起きた小西のぞみの事件から端を発しているわけですが、大学時代のメンバーが強烈な個性で、被害者である彼女の存在感が薄いのがまた悲しい。

    タイトルとアメフト用語がかっこいいです。

  •  これ、オーソドックスで、ある意味「華の無い」直球の謎解きだけど、謎解きや関係者の証言といった長い説明を読むのが苦にならない、というのが素敵。登場人物のキャラ付けや会話の取り回しの工夫なんだろうけど、うまいなあ。
     それと、「まずは動機は脇に置いといて」で進むけど、最後にちゃんと動機が物語に絡み付いてきて、しかもそのための「伏線」が作中にちりばめられているので、最後にちゃんと腑に落ちる。
     派手ではないけど、実にいい仕事、ですね。

  • 陰ではマッタリさんと呼ばれ捜査中に俳句をひねるとの噂もある松谷警部は、目黒の殺害現場で所轄の白石巡査と合流。被害者の友人から聴取を始めたところ、過去の変死事件が浮かんできた。事件は予想外の広がりを見せるも、関係者に犯行の機会や動機は見当たらない。白石巡査の推理に期待し、松谷警部は助勢に徹するが…。犯人当ての妙味に富んだ本格ミステリ、文庫書き下ろし。



    あるOLが殺されて、それが彼女が大学の時に属していたサークル内で起こった変死事件と関係してるのではないかと刑事さんたちが動き出す。誰が犯人なのか。誰が彼女を殺したのか。すごく気になる。


    だけど、私的に全然事件が動かない。何度、眠くなったことか。読むのが辛かった。そして、刑事さんたちと一緒に事件に全貌を見ることはできなかった。挫折したのだ。何度も頑張ろうとは思ったけど、無理だった。だって、何度も寝落ちしそうだったんだもん。


    ごめんなさい、松谷警部。私は、この事件から降ります。


    2023.7.13 挫折

  • 10月-10。3.0点。
    松谷警部シリーズ、第一弾。
    OLが部屋で殺害される。容疑者はみんな、大学のアメフトサークルの面々。しかもOBたちがこの5年に3人死亡していることがわかり。。。

    犯人当ての王道ミステリ。小気味の良い文章で読みやすい。短めなのも良いかな。

    キャラクタの違いが小さく、最後まで登場人物一覧を見ながらだった。次作に期待。

  • 登場人物は、可もなく不可もないというか、当たり障りがないというか、読んでて苛つかない代わりに、特別に特徴もない感じ。

    謎解きはおもしろかったけど、登場人物たちが、この事件は推理小説のような謎やトリックがある、と考えて動いてる感じがしてならない。
    ミステリクイズの答えを考えてるみたいな発想で動いてるように感じる。

    あとこれ、2013年に発行されたけど、話の舞台は1997年なんだよね。
    何で?
    何でそんな微妙に古い時代にしたんだろ。

  • 4+

  • 読み始めて文章やミステリの作りがすごく綺麗だと思いました。主人公の松谷警部が、まったり警部と呼ばれるほどなのと、相棒になった白石巡査も常識的なので殺人を扱っているのに殺伐とした感じはなく、すーっと物語が進んでいく感じです。もうちょっとメリハリがあった方が好きですが(実は途中で何度も眠くなって読むのに時間がかかってしまった)最初から見えているところに伏線があったのことに気づかされたり、読み終わってみると綿密に計算されているミステリだと感じました。今作が著者の初読みだったので別作品を読んでみたいです。

  • 20
    19/2/13(水曜日)

  • 評価は3.

    内容(BOOKデーターベース)
    陰ではマッタリさんと呼ばれ捜査中に俳句をひねるとの噂もある松谷警部は、目黒の殺害現場で所轄の白石巡査と合流。被害者の友人から聴取を始めたところ、過去の変死事件が浮かんできた。事件は予想外の広がりを見せるも、関係者に犯行の機会や動機は見当たらない。白石巡査の推理に期待し、松谷警部は助勢に徹するが…。犯人当ての妙味に富んだ本格ミステリ、文庫書き下ろし。

  • はっきり言って今ひとつ。結局動機は今ひとつだし、実は異母兄妹だったり、地名の勘違いだったり、手がかりがスケッチブックにあったけど、それについてははっきり記述がなかったり、かなりアンフェアな印象。表題からは松谷警部が主役かと思ったら、結局そうでもないし。ちょっと残念。

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著者プロフィール

平石貴樹(ひらいし・たかき)
1948年函館生まれ。作家、東京大学名誉教授。1983年、「虹のカマクーラ」で第七回すばる文学賞受賞。
著書に『松谷警部と目黒の雨』『松谷警部と三鷹の石』『松谷警部と三ノ輪の鏡』『松谷警部と向島の血』(創元推理文庫)、『アメリカ文学史』(松柏社)、
翻訳にオーエン・ウィスター『ヴァージニアン』(松柏社)、ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』(共訳、岩波文庫)などがある。

「2019年 『一丁目一番地の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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