夜の写本師 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 171
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488525026

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジー小説の新たな旗手だそうで。図書館でなんとなく背表紙を眺めていたら、この方のはどれもそれっぽい凝った作りの装丁で非常に目を引きまして読んでみることに。

    SFと同じでこの手の小説って設定が呑み込めるまでにちょっとひと手間あるんですが、辛抱強く読んでみましたらわりとすんなり読み進めることができました。
    ストーリーだてが結構しっかりしてるので冗長なところも少なかったですし、過去の話から終盤に至っては盛り上がりとそのテンポが大変によかったと思いました。他の作品もそのうち読んでみようと思います。

  • あんまり響かなかった。第一部がピーク。

  • ページをめくる手が止まらなかったということは、つまりそういうことなのだろう。
    ただ作者は、主人公が感じたものを表現するにはこの時点ではいくらか力量不足だったようにも思う。うまく表現できないが、もっと深いどろどろしたものを捉える能力があるのに使っていないような印象を受けた。
    ただ最近の直接的すぎる、飽き飽きするようなものにくらべれば本書は優れているとも言えるかもしれない。
    大人に読んでほしいファンタジー、と帯にあったが、子供向けなのだろうか。それならばいくらか納得がいくのだけれど。

  • 本屋に平積みで表紙に惹かれて買いました。
    このお話しを知ることができて良かった。
    テンポよく、最後まで飽きさせないです。
    展開が若干早いかなー、とは思いますが。
    シリーズになっているそうなのですが、この一冊でお話しとしては完結してます。

  • 緻密な世界観の作り込みと言葉でしか表現できない描写。ファンタジー小説の復権。3つの力、月と海と闇を野心家の魔術師アンジストに奪われた少女の1000年にわたる生まれ変わりと戦い。最後に男として生まれた主人公は奪われた力を取り戻す為、夜の写本師になる。

  • 電子書籍で購入。ぐいぐい引き込まれた。
    また読み込みたい。

  • ハードカバー版(図書館から借りた)も読んだけど、文庫になったので購入。

    月、闇、海の三つの印を持って生まれたカリュドウは、育ての親エイリャが殺されるのを目の当たりにする。復讐を決意したカリュドウは・・・

    二度目だけど、ぐいぐい引き込まれる。
    前よりは登場人物の把握ができたので、より話に引き込まれたのかも・・・
    常に闇を背負う魔道師。
    宿敵アンジストと千年にもわたる因縁。
    そして、アンジストの秘密・・・
    ダークな部分ばかりだけど、ラストは爽やかに感じる。
    詩的な文章は最初苦手だったけど、それがダークな部分を払拭してより引き込んでくれるのかも。

  • ライトノベルとも児童文学とも違う正統派ファンタジー。
    作者は日本人だが、イギリスやアメリカの作家と言われても違和感のないレベル。
    三つの証を持って生まれてきた天才少年が、大事な人たちの仇をとるために最強の魔術師を追うという王道。
    さらに輪廻転生のおまけつき。
    思わず引き込まれる強さを持つ物語だが、惜しむべきは魔術師の女に対する恐怖の説明が中途半端でわかりづらかった。
    主役を4人にしたのは飽きさせなくていい演出だが、その分ひとりひとり、特に中心人物である写本師の存在が薄くなってしまっている気がする。

  • ストーリーも人物的魅力も薄い内容だけど不思議とぐいぐい読んでしまう。世界観というか、設定となの魅力があるんだと思う。魔法がどちらかといえばおまじない?呪術?のようの怪しく暗いもの。ありそうでなかった魔導師の姿。写本師の修行をしているところはわくわくしてしまった。
    ストーリーとしては、1000年前から続く復讐劇といったところ。名前が覚えずらかった。

  • 表紙買い。とても正統派ファンタジーだなあ、と思いました。

  • 残念、読了ならず。
    年々ファンタジーが読みづらくなってきてしまって悲しい。

  • 全体的に淡々と物事が進む印象。
    前半は訳がわからず話に振り回されたような気がするけど、後半、前半にあった話が繋がり一気に読みました。
    私は好きなようです。

  • 何もかも奪われた者視点で淡々と書かれた復讐譚。一昔前にライトノベルで流行したRPGファンタジーよりは昔ながらのヒロイックファンタジーに近く、国や魔法の体系が凝ってない(良く言えば原始に近い、悪く言えば別れているだけで踏み込みがない)。
    長い歴史が関わるので国の興亡や権謀術数やら出てきそうなものですが、そこはあくまで個人の復讐に終始しており、 原初の因果の規模も規模。登場人物も感情が足りず、ドロドロしそうな所業にも関わらず全体的にさらーっと進むので、ちょっと物足りなかった。終わりはいかにも女性が起因した終わり方。宝石とか本の装飾とか人形とか、小物が綺麗。文調は静謐で、さらーっといく原因の一つでもありますが、私は好み。

  • 一冊の中に凝縮された世界観に圧倒されながら、最後まで読みました。

  • タイトル『夜の写本師』の響きに惹かれたファンタジー小説。
    序盤からするとちょっと意外な展開だったが、月と海と闇のモチーフの描写や、クライマックスで力が還ってくるシーンが上手い。

    構成や世界観も練られていて、シリーズ化しそうだなーと思って調べてみると、やっぱりシリーズ化しているみたいですね。

    ただし、全体的に復讐がテーマなだけあって、ひたすら暗い!!
    もう少し人間的な成長にスポットが当てられると良かったのだが、後半の主人公はひたすらに冷徹。

    続編の文庫化を楽しみに待つ。

  • 非常に読み応えのある魔法ファンタジー。
    文章の密度が濃く、易々とは読み尽くせないストーリーですが、それでいてテンポよく美しい文体なので、読み疲れはしませんでした。様々な魔道師の手仕事や、メインのテーマでもある写本師の繊細な仕事の描写がすばらしく、よくよく練られた世界観がより想像をかき立てる作品でした。

  • いま日本でこんな重厚なファンタジーが書かれているのだね。技巧的な構成に比してストーリーは結構単純で神話っぽくあり。

  • ステキです。
    それだけです。

  • 右手に月石、
    左手に黒曜石、
    口の中に真珠。
    カリュドウは三つの品を持って生まれてきた。

    この印象的な一節から始まる物語に、
    思えば冒頭から掴まれていた様な気がする。

    本好きならきっと、誰もが持ってるだろう
    自分と相性の良い作品を嗅ぎ分ける嗅覚。
    いわゆる第六感が働いた。
    表紙の装丁も素敵だったので、
    見た目でも惹かれていたわけだけど。

    初めて出会う作家さんの本は買う前に必ず数ページ読んでみる。
    でも、この作品は冒頭の4行だけで良かった。
    そしてまず、タイトルが美しい。

    ファンタジーは大好きだけど幾多あるファンタジーの中には駄作も多い。
    それも巧妙に取り繕った"さもそれっぽく作りました"的な似非本格派ファンタジーも最近ではたまに見かける。
    ましてや和製(異国モノ)ファンタジーはハンデがありすぎる気はする。

    そんななかで、この作品。実に良く出来ている。
    乾石智子さんは根っからのファンタジーファンなのだろうと思われる。
    読んでいると様々な名作ファンタジーのエッセンスをしばしば見かける、けれどクサくない。
    自分の世界観を確立されてるんだな、と感じた。
    よく出来たファンタジー作品は実在はしないけれど存在はしている。どこかにこの世界が(パラレルワールドの様に)在る、若しくは在ったんだと感じさせてくれる。

    魔術の世界と輪廻転生と、何より本が好きなら、
    "言葉の持つチカラ"を信じる人なら、
    きっと好きになる作品。

    ただ、
    乾石さんは若い作家さんなのかな?
    文章で時々気になる部分があって、そんな時だけふと現実に戻ってしまったなぁ。

    続編も期待。
    単行本の装丁もとても素敵なんだけど
    予算の関係上、文庫化を大人しく待ちたいと思います。

    ちなみに、
    キアルス→ケルシュ
    紫水晶(アメジスト)→アムサイスト→エムジスト→アンジスト
    この辺りは途中で気づいて霧が突然晴れたかの様な爽快感を感じたけれど、
    ブリュエ→ガエルクはわからなかったなー(笑)

  • 久しぶりにファンタジー読んだ。展開は早いんだけど、文章が好みじゃなくて(具体的には修飾語と体言止めの使い方が好みじゃなかった)半分まで頑張ってやっと面白くなってきたー!ってなった。
    展開の早さを感じさせなかったけど、千年の復讐があの厚さで終わるんだからやっぱり展開早い。

  • とても良かった…
    あとで感想をまとめよう

  • 高校時代に読んだ《イルスの竪琴》シリーズ以来の感動をおぼえました。
    実にファンタジーらしいファンタジーであり、しかもオリジナル溢れる世界が拡がっている。これがデビュー作とは思えない完成度です。
    日本のファンタジーもついにここまで来たのか!

  • 千年に渡る復讐の話。一般的にファンタジーというと中世西洋を想像しがちなんだけど、これに関しては中近東、イスラム世界を思い浮かべてしまう。人に影響を与える書物ということで『アラビアの夜の種族』を連想したからかもしれない。
    とにかく。大変面白かった。この世界観とそれを伝える文章がすばらしい。他の作品群も早期の文庫化を希望する。

  • その筆力に圧倒され、ぐいぐいと読まされた。読みながら、頭の中でずっとジブリ調のアニメで再生されてしまうのが止められなかった。しかし、内容が重いため、何度も読み返す派としては、心に余裕が無いと読み返せない本。

  • 乾石作品初の文庫化。
    東京創元社からでるシリーズには、装画は羽住都さんが描いている。とても物語世界にマッチしていて素敵だと思っていたので、ネットで文庫の表紙をみたところ一見しては別の方に描いてもらったのかな、と思って残念だったが、文庫でも羽住さんの担当だったのである。うれしい。
    いままでのタッチとはちがって、まるでだまし絵のような画面構成、ペン画ということもあって、違和感があったのだろう。しかしこれが、物語の「夜の写本師」の魔術の作法と非常にうまく溶け込んでいて、読み終わった後にあらためて表紙を眺めると、とても巧みだと感じる。
    と、表紙のはなしばかりしてしまったが、物語はもちろんおもしろい。所有欲を満たしてくれる、大好きな一冊です。

  • 悠久の時の流れの中で積み重ねられる魔道師の物語。薄い本だけど、小さな活字でギュッと濃縮された復讐譚は、詳らかに描かれる架空の世界や写本師の仕事に縁取られ、独自の世界を作る。
    この本の全体の世界観みたいなものを感じながら物語の世界に浸ろうとすると、一気に読み下すのが良いような気がするのだけど、仕事が忙しくてゆっくり本を読むのもままならず、時空を超えて語られる筋立てやそこに沈殿する怨念や宿願を十分に感じ取ることが出来なかったような気がして、我ながら残念。

  • 読み応えがあった。
    終盤に向けて止まらなくなる感じ。
    続きが文庫本ででたら買ってしまうだろうと思う。

  • ふわぁ~すごいもの読んだぁ…という読後感でした。
    壮大などファンタジー。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-1062.html

  • 話の広がりの割にはさくさく進むので読みやすい。
    本来はこれ1冊だけで『指輪物語』並みの分量で書けると思います。

  • 右手に月石、左手に黒曜石、口の中に真珠をもって生まれてきたカリュドゥ。魔法では勝てない相手に対抗するために選んだ手段が、魔法ならざる魔法を操る「夜の写本師」というのが面白い。甘いファンタジーかと思って読み進めると冒頭からかなりダークだが、文章のうまさや美しさにどんどん物語に引き込まれていく。復讐の物語だけどそれだけではない余韻のあるお話だった。3つの品がどんな意味を持つのかも、物語のなかで自然に理解できる。私はとても気に入ったので、これからもこの作家さんを追いかけたい。

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著者プロフィール

山形県生まれ。山形大学卒業。1999年、教育総研ファンタジー大賞を受賞。『夜の写本師』からはじまる〈オーリエラントの魔道師〉シリーズをはじめ、緻密かつスケールの大きい物語世界を生み出すハイ・ファンタジーの書き手として、読者から絶大な支持を集める。他の著書に「紐結びの魔道師」3部作(東京創元社)、『竜鏡の占人 リオランの鏡』(角川文庫)、『闇の虹水晶』(創元推理文庫)など。

「2019年 『炎のタペストリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乾石智子の作品

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