毒ガス帯―チャレンジャー教授シリーズ (創元SF文庫)

  • 東京創元社
3.31
  • (1)
  • (3)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 63
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488608033

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • <幼稚で結構! 世紀末気分にどっぷり浸りましょう♪>


     チャレンジャー教授、リターンズ!!
     今度のチャレンジャー教授は、地球が迎えようとしている重大な危機を唱えています★ 教授の指示に従って準備を整え、教授の屋敷を訪れるマローン君。すると、チャレンジャー教授説では、これから地球が毒ガス帯なるものに突っこみ、人類が死滅すると言うではありませんか!? マローンは、過去に探検をともにした仲間たちと、地球最後の日を過ごすことにーー

     ど迫力変人博士のチャレンジャー教授シリーズ第2弾。がらりと雰囲気かわって、大冒険に旅立つことはなく、奇妙な圧迫感を覚える作品です。手持ちの酸素が切れるまで、登場人物たちはただただ身を寄せ合って、息をひそめているしかありません★

     現実に起こったらこれ以上困ることはない事態だというのに、地球の終わり、人類絶滅ってのは、エンターテイメントの世界ではたいへん好まれるテーマらしいです★ 隕石が降り注ぐ、氷河期の到来、宇宙の膨張や収縮や爆発、等々、空想とは言え、それなりに科学的(っぽい)根拠のある終焉……
     このような「世紀末」的な考えかたで盛り上がるのって、いささか幼稚ではありませんか? ところが、ドイルのような大作家でも、いい大人になっても「地球最後の日」「人類最後の日」を大真面目に書いたわけです。
     空想科学でかまわないけど、それでも突っ込ませていただくなら、毒ガスに関する説明も、最後の最後も、何だか…う~ん……微妙?
     でも、チャレンジャー教授シリーズって失礼ながら可愛いので☆ 子どもの心で読むべきジャンルだなと、割り切って見てひたりたいのです。

     ただし、作者コナン・ドイルのメンタルは、真剣に究極の「世紀末」へと向かっていたのでしょう。チャレンジャー教授シリーズ作の題名を並べると『失われた世界』→『毒ガス帯』→『霧の国』。何かを暗示しているかのようです。そんなこんなで、シリーズ次作は衝撃の展開へ★

    ---
    次作:『霧の国』
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4488608043

  • 【毒ガス帯(地球最後の日)】トイレをどうしていたのか考えると気になって寝られなくなっちゃう
     
     コナン・ドイルのチャレンジャー教授シリーズ。
     私自身の本作品の初読は小学校の図書室の児童向け翻訳で(武田武彦訳)。
     私はミステリーよりSFの方が好きだったので、多分これがドイルの初読になると思います。
     その本には他にホームズ作品も収録されていたようですが、全く記憶にありません。
     だから私の読書歴を顧みると、コナン・ドイルといえばホームズよりもチャレンジャー教授、というのが初期設定でした。
     それがいつの間にか長い間チャレンジャー教授はじめドイルのSF作品のことを失念していました。
     最近ふと思い出してドイルのSF作品を読んでみようと思ったわけです。
     私は引きこもりの性質があるので、幼い時からなぜか籠城戦というシチュエーションに燃えました。
     その最高峰がジョン・ウインダムの『トリフィド』でしょう。
     この『地球さいごの日』も、毒ガスが充満する世界で酸素ボンベを部屋に持ち込んで籠城するというシチュエーションが面白く、記憶に残っていたものです。
     しかしトイレが気になる年代になった今、飲食はともかくトイレはどうしたんだと気になって仕方ありません。
     夢より現実が優先されます。年を取るのは辛いものです。
      https://sfklubo.net/the_poison_belt/
      https://sfkid.seesaa.net/article/480969829.html

  • 『世界SF全集』で読了

    面白かった。地球が毒エーテルの帯を通って、全人類が28時間の仮死状態になる話だけど、チャレンジャー夫妻、サマリー、ロックストン、マロニーの五人だけは何とか酸素ボンベで生き残り、死の世界をみるけれど、最後にみな生き返って、ハッピーエンドです。ただ、死がせまる所で、いろいろと何をするべきかと言ったような人生や宗教や科学の問題が突きつけられます。

  • 1913年の作品。
    失われた世界の登場人物たちが再び活躍します。
    今回は中編短編が3作という構成。
    チャレンジャ教授は相変わらずですが、他のマローンたちが教授の扱い方を心得てきたのが面白いです。
    SFとしてはやっぱり古さを感じますが、それ以上にそんな展開でいいのかよって気分になります。もう少し思考実験というか、SFとして突き詰めて欲しかったなぁと思ったり。
    短編のほうが面白かったかな。

  • 『毒ガス帯』
    チャレンジャー教授に呼び出されたエドワード・マローン。なぜか酸素ボンベを持参するように言われる。途中合流したサマリー教授、ジョン・ロクストン卿。チャレンジャー教授が語る地球の危機。毒ガス帯を通過する地球。徐々に毒ガスの影響を受けていく世界。

    『地球の悲鳴』
    チャレンジャー教授から専門知識を買われ呼び出されたマローンの友人ピアレス・ジョーンズ。ある富豪から遺産を譲り受け土地を買いそこで秘密の実験を行うチャレンジャー教授。

    『分解機』
    マローンが勤める新聞社の編集長からの要請でラトビア人のテオドール・ネモールが発明した分解機の調査を行うことになったチャレンジャー教授。ネモールの分解機は人間も原子レベルで分解するという危険な物。実験と称してチャレンジャー教授のとった行動。

  • チャレンジャー教授もの。冒険小説というより、完全なSF小説。短編集みたいな形になっていますが、表題作の毒ガス帯はそうでもなく、またそれはとても興味深くかつ面白い作品です。いったいどうやって元に戻るのか? それを考えつつ読んでいましたが、まさかまさかでしたからねぇ。

  • チャレンジャー教授シリーズ第二作。毒ガス帯(中篇?)に短編が二個くっついた構成。相変わらずアレな教授たち。この時代にコレ(毒ガス帯)は新鮮だっただろうなあと、感心させられる。主人公達の動揺を観察するのもなかなかおもしろい。だが本当のお気に入りは短編の「分解機」で、オチそれ自体よりも、そのチャレンジャー教授の予想しなかった行動にしばらく心理分析が止まらなかった。アンタそういう人やったんかー!行動の是非はおいておくとしても、あの愉快っぷりからは想像しなかった面であった。うぅむ、見せ場だけ持っていくとマローン君が可哀想ですよ、チャレンジャー教授。ちなみにこっちは納得してSFに分類している。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2024年 『コナン・ドイル⑥緋色の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

コナン・ドイルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×