鳥はいまどこを飛ぶか (山野浩一傑作選Ⅰ) (創元SF文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488740016

作品紹介・あらすじ

この小説は、最初の二節と最終の二節以外のaからlの配列を任意に変更して読んで下さって結構です-各章を自由に行き来する鳥を追うことで無数の物語展開を体験できる、実験精神に満ちた表題作など代表作10篇を収める。雑誌「NW‐SF」創刊、サンリオSF文庫創刊に際し、先鋭的なSFや前衛文学の紹介に尽力、創作・評論両面で輝かしい軌跡を残す巨人の幻の傑作群が甦る。

感想・レビュー・書評

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  • 何度も読もうとして挫折して、ようやく読めた。本には読める時期と読めない時期というのが確実に存在するなあ。偶然西武新宿線の電車に乗りながら「X電車で行こう」を読んだら愉快であった。実存哲学と精神病理、か。こういうのは人生の時期を支配するけど、すこんと消えてしまう場合もあれば、忘れがたい傷を残してその後の生に影響を与える場合もある。あるいは支配に耐えかねて自身を消してしまう場合もある。

  •  SF短編集。表題作の「鳥はいまどこを飛ぶか」が、一番印象が強かった。話を切り分け、時間も空間もバラバラに配置したという、実験作的な趣のつよい作品だが、それが独特な世界を形作っており、四十年も前の作品とは思えない新鮮な気持ちで読む事が出来た。
     現実から一歩だけ離れた世界を描いており、なんだか霧の中を歩くような、煙に巻いたような話が多い。面白い、とははっきり言えないものの、斬新な話が並んでいるように思えた。

  • かっこいい。読んでる最中のだんだん陥る恐怖への臨場感てったらもう!自分が消えてなくなってしまうかも?元から存在してないのかも? 世界観は全くもってシュールで果てなき迷宮を彷徨い実存を脅かす。 特に「首狩り」「虹の彼女」「霧の中の人々」後半3篇がいい。クールで鋭利な語り口にもシビれる。

  • 内容紹介

    この小説は、最初の二節と最終の二節以外のaからlの配列を任意に変更して読んで下さって結構です──各章の間を自由に飛翔する鳥を追うことで無数の物語展開を体験できる表題作の他、三島由紀夫・寺山修司らに高く評価された「X電車で行こう」、単行本未収録作品「内宇宙の銀河」など全9 編を収める。サンリオSF文庫創刊から先鋭的なSFや前衛文学の紹介に尽力し、創作・評論両面で輝かしい軌跡を残した巨人による幻の傑作群。

    ----------------------------------------

    初期の筒井康隆のようなシュールさとペーソスまみれのユーモアを感じる逸品集。

  • 「鳥はいまどこを飛ぶか」
    「消えた街」
    「赤い貨物列車」
    「X電車で行こう」
    「マインド・ウインド」
    「城」
    「カルブ爆撃隊」
    「首狩り」
    「虹の彼女」
    「霧の中の人々」

    大当たり。
    山野浩一の作品は「X電車で行こう」しか読んでいなかったけれど、この短編集を読んで既刊を探そうと思った。
    端的に作風の特徴を言えばカフカ、なのだろうけど、作者独自の思想と筆致が生み出すこの雰囲気は極上。
    現実と非現実、日常と非日常で継ぎ目がないかのごとく移っていく一方で、途中から意外なところに物語が飛んでいく楽しさ。矛盾しそうな二つを達成してると思う。

    どれも面白い。なかでも特に「霧の中の人々」は読書をしていて久しぶりに作中で描かれている光景にのめり込めた作品。後半、まさしくカフカの「城」に出てきたあの村と人々を彷彿とさせる不条理な世界。強く惹かれるヴィジョン。この世界を自分は歩きたい。

  • ’60年〜’70年代に発表された作品群のためか、背景描写等に多少の古さは感じられるものの、その実験的なスタイルやアイデアにはむしろ新鮮さを感じる。全編を通してシュールさの中に虚無感が感じられるのも興味深い。
    お気に入りは、表題作、「X電車で行こう」、「カルブ爆撃隊」、「首狩り」かな。

  • 傑作選の第1巻。刊行当時に買って読んだので再読。
    今となっては作家としてより競馬関係の評論家としての方が有名なのだろうか(競馬やらないからぜんぜん解らないけど)。
    巻末のあとがきによると、一番新しいものでも30年以上前の作品とのことだが、現在読んでもまったく古さを感じないのに驚く。多少の古臭さがあるとすれば、登場人物の台詞の言い回しぐらいだろう(これは仕方がない)。
    このシュールさというか、不条理さはなかなか無いもので、その辺りが半世紀以上も前の作品ながら、現在でも古びない一因でもあるのかな、と思う。

    ところで、筒井康隆が批判したという『マインド・ウインド』、個人的にはけっこう好きなのだがw

  • 『X電車で行こう』目当てで。
    星新一氏ら絶賛!と謳われていたけれど、私には合いませんでした。
    鳥はいま…にしても、X電車にしても、その存在は結局なんだったのかは問題にされないので、すごくモヤモヤ感が残りました。
    夢で見たことをそのまま文章に起こしたような感じ。
    著者さんのあとがきも、申し訳ないけどチョットひきましたー

  • [ 内容 ]
    この小説は、最初の二節と最終の二節以外のaからlの配列を任意に変更して読んで下さって結構です―各章を自由に行き来する鳥を追うことで無数の物語展開を体験できる、実験精神に満ちた表題作など代表作10篇を収める。
    雑誌「NW‐SF」創刊、サンリオSF文庫創刊に際し、先鋭的なSFや前衛文学の紹介に尽力、創作・評論両面で輝かしい軌跡を残す巨人の幻の傑作群が甦る。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


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  • 2014/11/10購入

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著者プロフィール

1939年大阪生まれ。関西学院大学在学中の1960年に映画『△デルタ』を監督。1964年に寺山修司の勧めで書いた戯曲「受付の靴下」と小説「X電車で行こう」で作家デビュー。「日本読書新聞」や「読書人」のSF時評をはじめ、ジャンルの垣根を超えた犀利な批評活動で戦後文化を牽引した。1970年に「NW―SF」誌を立ち上げ、日本にニューウェーヴSFを本格的に紹介。1978年からサンリオSF文庫の監修をつとめ、SFと世界文学を融合させた。血統主義の競馬評論家、『戦え! オスパー』原作者としても著名。著書に『X電車で行こう』(新書館)、『鳥はいまどこを飛ぶか』(早川書房)、『殺人者の空』(仮面社)、『ザ・クライム』(冬樹社)、『花と機械とゲシタルト』、『レヴォリューション』(以上、NW―SF社)、『山野浩一傑作選』(全2巻、創元SF文庫)、『SFと気楽』(共著、工作舎)ほか。2017年逝去。没後、第38回日本SF大賞功績賞を受賞。2022年1月には、『いかに終わるか―山野浩一発掘小説集』(岡和田晃編、小鳥遊書房)が刊行された。

「2022年 『花と機械とゲシタルト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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