世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.60
  • (11)
  • (17)
  • (21)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 201
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488744014

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 不思議

  • [ 内容 ]
    米国人の学者と出会った女性作家の独白。
    若返る病を患い、家出から帰ってきた母。
    本所深川に出没する謎の辻斬り。
    果てのない階段がある巨大な“駅”を彷徨う脱走兵。
    光という影と、影という光で造る、理想の庭。
    ―繊細で美しい物語の断片が創る、庭園のごとき小説世界。
    翻訳家・アンソロジストとしても知られる才人の、第14回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

    [ 目次 ]
    リコとスマイス
    「寒い夏」
    不思議な詩
    人斬り
    ストーリー
    母のこと

    影の物語
    成慶・淇園・成章
    祖父のこと〔ほか〕

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 9/19 読了。

  • すっごく面白いという訳ではないけど、「良い本」。じっとりとハマれる。
    ショートストーリーって副題がついてるけど、基本的には繋がってるたくさんの話から構成されている。でもきちんとは繋がってない。普通ショートストーリーが繋がってる話はもっと頑張って繋がってることを強調するのだけど、これはもっとほったらかし。これ見よがしに繋がらないし、落ちが付くわけでもない。その感じがクールで気持ち悪くて、それが良い。

  • 副題にショート・ストーリーズとあるように、一篇一篇はショートショートかというす数頁の55の章から成り立っている。アメリカ人日本文学研究家と知り合った作家の話、母親が日に日に若返ってしまう病気になってしまった話、江戸時代の人斬りの話、江戸時代の皆川淇園と学問の名家であるその一族の話、第二次大戦敗戦後に逃走する兵隊の話、英国庭園の話が、並行して語られ、ちょっとした謎解きも加わって次第にその関連が明らかになっていく構成が巧み。ジーン・ウルフの訳者となったのもうなづける。230頁ほどの作品だが実に密度が濃く、それぞれ文体も鮮やかに入れ替わっているのも大きな読みどころ。これを1ヵ月ほどで仕上げたとは…。全体の構成の素晴らしさもさることながら、時に美しく、時に怖ろしいエピソードが宝石の様に散りばめられているところも素敵な作品。全体に漂う寂しさとはひと味違う透明な孤独感にも著者ならではで、独特の読後感がある。

  • 6個くらいの話が、数ページずつ細切れにランダムに交互に語られます。それがとても不思議な感覚。
    文体もジャンルも人称も違う文章が入れ替わり立ち代わり、うっかり退屈する暇もなく展開されるもので、気が付いたら一気読みしていました。
    全体のまとめパートもなければ、それぞれの話のオチも特になかった(ようにわたしには思えた)のだけど、読後感は不思議と悪くない、いい気分です。

  • 55の短編から成る小説。これまで読んできた短編集とは趣が異なっていた。よくあるものだと、短編だけと登場人物や出来事が少しずつ繋がっていて、本全体を通してみると1つの物語になっているという形がある。この本に関して言えば、繋がり方がもっと広範多岐に渡っているといった感じか。主人公や主人公の書く小説、イギリス庭園に江戸の人斬り、日本の近世思想家に言語論と言う風に。一見繋がっていないようでどこか繋がっているこれらの話がそれぞれに出てきて、かといって本としては特にまとまった終結はなく。階段で繋がった異世界の話は好きだったけど、私個人としてはぼんやりとした読後感だった。

  • うっかり不思議な話カテゴリに入れてしまった……。
    すごく好みな感じの「不思議な話」でした。
    バラバラの断片のようでいて、確かにつながりが感じられて、ファンタジーなんだけど、日常のなかにするっと存在してそうな不思議さ。
    全然甘くない爽やか微炭酸……と、いうか……ものたりなさが残ったんだけど、心地よい物足りなさ、というか、うまくいえないなあ。良い意味で掴みどころのないお話でした

  • しばらく前から気になっていた本。
    脈絡のない話が続き、どこで繋がるのかとワクワクしていたが、結局最後はよくわからんオチだった。

    話は幾つかのパートに分かれていたが、駅の話と母が若返る話がファンタジーっぽくてよかった。

  • すごい世界観だったけど、結末に納得できなかったので2点。終わりをきちんと求める人向きではないです…

全38件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1955年生まれ。翻訳家、作家。著書に『世界の果ての庭』『蕃東国年代記』『ヘディングはおもに頭で』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』ほか。訳書に『郵便局と蛇』コッパード、『第二の銃声』バークリー、『ヘミングウェイ短篇集』など多数。電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」主宰。

「2022年 『郊外のフェアリーテール キャサリン・マンスフィールド短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西崎憲の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
三浦 しをん
伊藤 計劃
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×