シュレーディンガーの少女 (創元SF文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 574
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488745028

感想・レビュー・書評

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  • よかった。特にさんまの話が面白かった。この作者の本をまた読んでみよう。

  • 2023-01-11
    リケジョ松崎有理による、ディストピアxガールズ6編。個々の作品に繋がりは無いが、AI名称が統一されてたりする。(モラヴィッツって(笑))
    世にも奇妙な物語にありそうで、文章でしか語りえない所に持っていくセンスはさすが。だいたい想像した範疇で進んでいくので、誰でも読みやすいでしょう。

  •  またまた、本屋で帯とタイトルに惹かれて買いました。創元SF文庫だ。SFなんだ。
     文字が小さくて詰まっているけど、難解な言い回しはないので読みやすいです。
    「六十五歳デス」デスはdeathとかけてあるのね。人口の抑制のために、65歳で死ぬ世界。個人的にはそれもいいかもと思うけど、そのために、技術が継承されなかったんじゃないかっていう所は、そうでなくても、されていかない気がする。この話に出てくる「紫」さんが、64歳だけど、かっこいいです。
    「太っていたらだめですか?」政府主催ダイエット王決定戦って、そこまでやるんですか?ノリはいいので笑って読めます。でも、あんまり好きじゃないかな。
    「異世界数学」数学の苦手なエミが、数学を禁止された世界に紛れ込んでしまう話。面白かったです。中に出てくるヒルベルトさんの宿屋の話も面白かったです。こんな話、先生がしてくれたらいいのに。
    「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」近未来の小学生が夏休みの自由研究で、失われた秋刀魚の塩焼きの味を再現する話。これも面白かったです。学童用アシスタントAIが、「現在、自分の力でがんばりましょうモードを実行中です」と言って、手伝ってくれないところで笑った。
    「ペンローズの乙女」作者は東北大の理学部出身なんだっけ、と思い出させる話。途中、物理関係の話題は正確には分からない。でも、この終わり方は嫌いじゃないです。最後の一文の意味を私は捉えきれていないと思います。
    「シュレーディンガーの少女」何度か読み返さないと私には分からないと思う。なんとなく感覚的には分かるんだけど。設定は面白いし、話の流れも面白いけど、基礎知識があるときっともっと面白いと思われます。学問が高度になってくると、数学は哲学に、物理は数学に、化学は物理に、生物は化学に寄っていくと聞いたけど、物理学は哲学までいっちゃうのね。この前読んでいて途中で挫折したブルーバックスとか読めると、ちょっとは変わるかな?

  • 6編が入ったSF短編集。最初の「六十五歳デス」は六十五歳(前後)を迎えると寿命がつき死んでしまう世界が舞台。六十五歳まであと一年を迎えた女性はある日スリにあう。スリを仕掛けた少女と女性の物語は、限られた時間のなかであまりにも美しく切なく、また主人公であるこの女性のパワフルさでもって世界の理不尽さが際立っていて最初の短編からかなり大好きだった。
    「太っていたらだめですか?」は太っているせいでデスゲームに参加させられた女性の話。デスゲームだから残酷なのだけれどなんでこんなに面白いんだってくらい楽しんで読んでしまった。この短編も理不尽や極端な世界が舞台なのだけれど、オチが素晴らしくて舌を巻いた。
    「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」は近未来の話。食は機械に入力すればオートで出てくる。本物の食材というものを目にしなくなった近未来の話なのにノスタルジックな気持ちになる。小学生の女の子が自由研究で秋刀魚の塩焼きを再現することにするのだけど、秋刀魚は絶滅していてもちろん女の子は秋刀魚を知らない。お婆ちゃんに話を聞いたり文献を漁ったりしてなんとか秋刀魚の塩焼きを再現する。味の奥深さと不思議さが味わえる短編だった。
    「ペンローズの乙女」はものすごく好きな短編だった。ボーイ・ミーツ・ガールでもちろん甘酸っぱくも切ない恋心なんかもあるのだけれど、そこから終盤にかけてのまた違う切なさと壮大さが良い。
    「シュレーディンガーの少女」はまさしく。多世界のなかで生きたり死んだりする自分。そもそも私がこの物語を読まなければこの少女は生きてもいないかわりに死んでもいなかったのでは。とかとかメタに読むのに面白くも考えすぎてしまう短編だった。

  • タイトルに惹かれたがイマイチかな

    世界観を同じくする連作。この世界観が素晴らしく良い。近未来感たっぷり。表題作はゾンビに気を取られたからか、イマイチの感想で終わった。それがメインテーマではないのだけれどね。秋刀魚のお話よかったな。

  • SFの短編集で、作り込み度の高いSFというより、簡単なタラレバの世界観で一話一話構成されていると感じられる小説だった。SF小説の導入として読むのにおすすめです。

  • 『六十五歳デス』は面白かった。
    映像化しても十分いけるのでは。
    他もレベル高し。

  • ただの短編集と思いきや。長年のミステリ読みの習性で、知らない言葉を素通りできないタチ。「モラヴェックって何…?」

    でも連作集ってわけでもない。
    最終話の紅の屋敷にあった、カダレの著作とフジタの版画は、冒頭話の紫のアパートへ受け継がれているようだから、輪になってるのねー。
    あと、ちょいちょい出てくる、手のひらを象ったマークも印象的。

    チョイ役の銭形警部みたいな警官の名前が「菰野」=小者?ぷぷぷ。

    「◆粒子」とか「◆力」とか「◆子」とか「◆覚」とか「◆波」とか、絶妙なネーミングセンス。でも、今日びの細っいフォントの中で、ベタ塗りの記号って悪目立ちしちゃう。「◇」のほうが良かったかもね。

  • 洗練された科学啓蒙読み物と言おうか。ブルーバックスあたりでおなじみの数学トピックが乱れ打ちで、数学嫌いの偏見を解きほぐそうとする「異世界数学」が典型だけれども、「ペンローズの乙女」や「シュレーディンガーの少女」もコアになる最新科学のトピックを素人に優しく解説するためのお話と言われたら、なんとなくしっくりきませんか?ってそんな感じ。そんな中、カッコイイおばあちゃんを描きたかったと作者さんが語る「六十五歳デス」が異色で愉しい。

  • 東京はトーキヨーなのに、日本橋は日本橋で渋谷は渋谷なんだな…
    ネタはすごく好みなんだけど、イマイチ入りきれない世界観で残念。

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著者プロフィール

1972年茨城県生まれ。東北大学理学部卒。2010年に「あがり」で第1回創元SF短編賞を受賞。著作に同作を収録したSF連作集『あがり』のほか、『架空論文投稿計画』『5まで数える』『イヴの末裔たちの明日』などがある。

「2022年 『シュレーディンガーの少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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