私たちの特別な一日: 冠婚葬祭アンソロジー (創元文芸文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488803100

作品紹介・あらすじ

人生の節目で催される行事を総じて、冠婚葬祭という言葉があります。冠は成年として認められる成人式を、婚は婚姻の誓約を結ぶ結婚式を、葬は死者の霊を弔う葬式を、祭は先祖の霊を祀る祭事を指します。人生の始まりと終わりから、そして当人が死してなおその先まで縁を繋いでいく四つの行事。現在の、あるいはこれからの私たちと冠婚葬祭をテーマに、書き下ろしを含む文庫オリジナル・アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 6人の作家からなる冠婚葬祭の短編集です。
    他の作品も読んだことがある作家さんの短編は流石だなと。
    普段短編集、それも作家さんが違うと話についていくのに少し戸惑いますがすぐにその世界に入る事が出来ます。
    そしてやっぱりその先も読んでみたくなります。
    人の弱さ、憎しみ、罪悪感、どうしようもないものを描くのが上手く伝わってきます。
    短編集なので時間をかけてゆっくりと読み終えられました。

  • 私は寺地はるなさんのお話がすごく好きでした❤️

    「そう、無理に決まってる。
    だから力を貸してよ、わたしたちに」

    この言葉が、本当に心にしみました。

    素直に人に助けを求められること、本当に大切ですよね。

    この間、感動した絵本にも出てきて、うんうん…と一人頷きました。

  • 作家6名のアンソロジーですが、町田そのこさんの作品「六年目の弔い」のみに関する感想です。
    本日、書店で購入してから帰宅後、あっという間に読み終えましたが、読了後の興奮度と満足度は過去最高の一つであり、評価は当然⭐️5です。
    何故ならば、(勿論、私の勝手な見解に過ぎませんが)本作品が町田さんの初めてのミステリーであるだけでなく、その完成度も非常に高かったからです。
    (小説として面白く楽しめたのは言うまでもなく)
    読み進めて行くと、夫を事故で亡くした女性と、夫の娘(先の女性は母親ではなく、実の母親は娘を産んだ時に亡くなっている)を主軸として、町田さんらしい文章が連なり、いつものように魅了されます。
    終盤に差し掛かり、これまた町田さんらしく温かいエンディングを迎えそうだなと思っていると、最後の2ページで驚愕の真相が現れます。
    正直に告白すると、まさかミステリーとは思っていなかったこともあり(創元文芸文庫だというのに、不覚)、最後の2ページ(特にP299)の文章の意味が最初は良く理解出来ませんでした。ようやく理解出来た時は、伏線と回収の巧みさに驚愕すると共に、歓喜の声をあげました。
    「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」の感想で書いた、【町田そのこ節のミステリー】を発表してほしいという希望が、こんなにも早く叶うとは‼️
    一昨日、「夜明けのはざま」を読了(⭐️5)し、今週は町田さんの新作を2冊も読むことが出来、幸せなひとときを過ごせたことを、町田さんと各出版社の皆さんに感謝したいですね。
    これからも、幅広く、底知れぬ才能と情熱から産み出される町田さんの作品に期待しています。

  • 紙魚の手帖vol.08(2022年12月)読切特集<冠婚葬祭>
    飛鳥井千砂もうすぐ十八歳、寺地はるなありふれた特別、雪舟えま二人という旅、嶋津輝漂泊の道、高山羽根子祀りの生きもの、書き下ろし町田そのこ六年目の弔い、の6つの冠婚葬祭をテーマにしたアンソロジーを2023年11月創元文芸文庫刊。6編は冠、冠、婚?、祭、祭?、祭、かな(難しい

  • 町田その子さんの作品が頭ひとつ飛び抜けて良かった。ほんとこの方が書く話はなんでこんなに心に残り響くのだろう

  • 冠婚葬祭…人生の節目に訪れる、「特別な一日」。祝いもあれば、別れもある…成人式、結婚式、葬式、祭礼を描いた6つの短編。
    飛鳥井千砂さん、寺地はるなさんはアンソロジーの常連でさすがの安定感。共に成人式がテーマだが、ちょっと似ているようで、それぞれの個性が表現されており、あたたかい涙が溢れる。本書の先鋒・次鋒にふさわしい内容だ。
    雪舟えまさん、初読み。まさかSFとは!それが最高によかった。ディテールの細かい描写がとても好きで、独特の世界観に気持ちよく浸れた。
    嶋津輝さん、高山羽根子さんも初読み。葬式、祭をそういう切り口で描くとは。静かに展開するストーリーだが、余韻が残る。
    そしてトリの町田そのこさん。一瞬感傷的になったところで……二度読みした。すごい構成!タイトルの「六年目の弔い」の意味を、かみしめる。
    アンソロジーが大好きで、これまで沢山読んできているが、こんなにクオリティが高くて、一つ一つの読後感がずっしりくる一冊はなかなかない。SF、ミステリー風味など、さすが東京創元社!だが、更に今回は創元「文芸」文庫らしさを存分に感じた。人生の悲喜交々がすごく沁みる…しっとりと読ませてくれる、素晴らしいアンソロジーだ。

  • 飛鳥井千砂さんのもうすぐ十八歳【冠】
    18歳で子供を持つという事

    寺地はるなさんのありふれた特別【冠】
    幼馴染のこどもと自らの成人式。予想外。

    雪舟えまさんの二人という旅【婚】
    宇宙ものはそもそも苦手なので、読み始めは理解できなかったが、途中から、どうなるのかなに変わった。読まず嫌いはいけない。
    二人とはシガとナガノの『旅』についてだと思っていたが、シガの発した一言で『二人』が別のものだと気付いた。
    「結婚生活も、人生そのものもー向き合うべきものを直視せずに時間だけ過ぎていくんじゃ、本質的には何も始まらないまま終わるってことさえ、あるのかもしれないね」

    嶋津輝さんの漂泊の道【葬】
    希和子のカナさんへの想いが経年とともに移ろい、関係性も予想外の方向へ。
    初めての嶋津さんの作品で他の本も読んでみたくなった。

    高山羽根子さんの祀りの生きもの【祭】
    最初に登場した生きもの「南洋の妖精」と「お姉さん」のインパクトの強さよ。

    町田そのこさんの六年目の弔い【(葬)祭】
    なんてひどい祖母!

  • 寺地はるなさんと町田そのこさんが参加していると聞いて購入。飛鳥井千砂さんの小説が一番好きだったな。

    ・飛鳥井千砂さん「もうすぐ18歳」(成人)
    18歳で子どもを産んだ母親の話。周囲からの偏見に対しての家族の暖かさ、最後に同僚の菜摘さんに「18歳で生んだの」と打ち明けたときの爽やかな読後感が良かった。これがいい意味での「令和の多様性」だなぁと。

    ・寺地はるな(成人式)
    女2人と男1人の幼馴染、成人式の日に出産が重なった友人を助けるために奔走する二人と、そのときに生まれた子どもの成人式の話。
    なんかもう亡くなっている?みたいな雰囲気を醸し出してからの全然元気に生きているオチ(1話目は留学的な、2話目は助産師で忙しくて不在だっただけ)がなんとなく前の話と構成が被ってしまっているのが残念。アンソロの順番ってどう決めてるんだろう

    ・雪舟えま
    はじめての作家さんだし、いきなりのSFファンタジーで世界観を掴むまで没入に時間がかかってしまった。こういうのも入るアンソロだったのか。

    ・嶋津輝
    喪服、がテーマの話。幼少期に憧れたカナさんと父が再婚するストーリーは置いておいて、高校生〜おばさんになるまでのそれぞれの節目で参加する葬儀での喪服へのこだわりというか、各喪服の描写がとても細かくて、あのとき似合っていたものが似合わなくなる、という感覚は非常に共感できた話。

    ・高山羽根子
    神社から生き物を買って帰ってくるな、というおばあちゃんが亡くなった後の話。

    ・町田そのこ
    事故で亡くなった夫に実は娘がいて、その娘さんとの命日での交流を描いたお話。オチはなんとなく読めていたけれど。
    冠婚葬祭がテーマだからか、この小説出てくる人の死ぬ確率高いですよね…。

    自分の忘備録も兼ねた読書メモでした。
    最初の1話目がとてもよかったな。

  • 町田そのこさん目的で図書館で借りた。飛鳥井さん、寺地さん、町田さんは安定に面白かった。嶋津さんと高山さんも中々。唯一雪舟さんの話だけ本当に許せなくて、雪舟さんの話を読み終えた時点でしばらく読むのを辞めたレベルで激萎え。
    というのも、『冠婚葬祭アンソロジー』なんだからリアルな日本の話が読めると思ってたんですよ…。でもこの話だけ!カタカナ登場人物による異世界不思議職業のファンタジー!何故!

    そこを除けば……やっぱり町田そのこさんは良かったなぁ。ちょっとうるっとしたけど最後のオチには……辛いなぁ。

  • 冠婚葬祭に際する人々の生活を描いたアンソロジー。個人的にあまり刺さった作品はなかったけど、町田そのこの『六年目の弔い』、飛鳥井千紗『もうすぐ18歳』、寺地はるな『ありふれた特別』はよかったな。子供を産むということをテーマにしているのかな?とも思ったラインナップだった。

    p.82 幼さは、他人への興味の浅さと紙一重だ。ちょっとでも自分と違うと「仲良くなれない」と決めつけ、それ以上のことを知ろうとしない。

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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