最後はなぜかうまくいくイタリア人 (日経ビジネス人文庫)

著者 :
  • 日本経済新聞出版
3.73
  • (43)
  • (79)
  • (77)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 1638
感想 : 93
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532198480

作品紹介・あらすじ

○2015年9月に刊行されたロングセラーエッセイの文庫です。
○怠惰で陽気で適当なのに、ファッションから車まで、独自のセンスと哲学で世界の一流品を生み出している国イタリア。彼らの秘密を、日常のさまざまなシーンの行動・価値観や「イタリア人あるある」から、軽妙にひもとく。

○ 「仕事とプライベートは分けない」「悲惨な事態もしぶとく楽しむ」「美しいか醜いかでビジネスを判断する」など、私たちの仕事の向き合い方に刺激を与えてくれるトピックが豊富に紹介される。マンマを中心とする家族関係、恋人とのつきあい方、食卓での流儀、地域別の特徴など、イタリア文化の読み物としても、大いに楽しむことができる1冊。

○イタリア人気質は日本人とは対極だが、私たちにとっても参考にしたい生き方、処世術が満載。
・アポの時間は努力目標。時間の遅れは正確なルールに基づいて遅れる
・仕事とプライベートはあえて分けない。公私混同するが私の時間に仕事が割り込んでも寛容
・計画は立てなくても最後は何とかする
・分業ができない。各人がなんでも屋。複数のことはできず、ひとつずつ作業を進めることを好む
・何事もダメもとで果敢にトライ。人生の醍醐味は最終目的ではなくその過程、寄り道にある
・自分が嫌なことに立ち向かえないだけでなく、人が嫌な思いをしたり、悲しい思いをするのも苦手
・実用性より美しさ、体裁を繕うのが好き
・イタリアの南の方は待機主義で、一瞬のチャンスをとらえる集中力はすごい
・家族の結束が非常に強い。「友人の友人」という薄いコネでも問題が解決
・食卓の時間が長く、人生のほとんどすべての問題を解決する場

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  筆者はイタリアと日本でワインと食について執筆活動を行い、両国を30年ほど行き来しているとのこと。

     本書にあるイタリア人の特性だが、自分がサラリーマン生活をやめてわかったのだが、そんなに悪くないと思う。
     
     例を挙げると、
     
    ① 「時間を守らない」 → スケジュールに追われない
    ② 「計画性がない」  → そのときの思いつきで進められる
    ③ 「分業が出来ない」 → 自分一人で決め、実行できる

    いいんじゃない。こうやって暮らしたいと思う。

     それにしても不思議なのは、日本とドイツがこんなイタリア(失礼)と組んで第二次瀬下大戦を戦ったことだ。これじゃあ軍隊は弱そうだよ。

  • 予想以上に面白い本でした!イタリアには行ったことがないし、なんならイタリア人にもあったことのない私ですが、イタリア社会を体験出来た気持ちになりました。まさに本の醍醐味。
    ほんとに日本人と真逆。仕事とプライベートを曖昧にするところとか、分業しないところとか。光があれば影があるように。いい側面もあれば悪い側面もある。
    全く完璧ではないサービスの代わりに皆が無理をせずリラックスしているイタリア人と、完璧である代わりに少し無理をしている日本人。イタリアマインド、ちょっと見習いたいなと思います。

  • 著者の宮嶋氏はイタリアと日本を行き来しながらワインと食についての執筆活動をされている。この文庫本のまえがきでイタリアと係わるようになって35年になると書かれている。私にとっては憧れのイタリアなのだが、仕事でイタリア、イタリア人と係わってきた人たちは、ほぼ全員がご苦労されているようだ。宮嶋氏は「痛い目に合う」と表現している。それはこの本を読み進めればわかってくる。私には無理だ。イタリアは私にとって、観光にとどめておく素敵な国である。しかし、人生を楽しむという点では、とても羨ましく思う。私たち日本人は完璧さを求められ、ギスギスした緊張を強いられる時間を過ごしているように思う。本当にしんどい毎日だ。物事をスムーズに進めるための、この犠牲は正しいのだろうかと考えてしまった。

    イタリアが統一されてまだ160年余りだという。もともと違う国であったので、イタリア国内でも各地方で習慣や嗜好、特徴などが異なっているそうで、読んでいて本当に面白くて興味深い国である。

  •  何事も考え過ぎは身体に悪い。適当は程々に大切なキーワードだ。
     何が「正解」なんてその人の頭の中にある答で、あってないようなものだ。
     根底にあるのは自分が好きかどうかで、生きやすさなんて決まるんじゃないかな。
     目くじら立てるより、少しタレ目のほうが愛嬌がある。昔、サンリオの「たれパンダ」が好きだった。知ってる人いるのかな?

  • イタリアについて良くわかる本。これまで見聞きしたことがある内容もあったが、知らなかったことの方が多く、読み易く深く理解できるように書かれていてとても興味深かった。イタリア人は好き・嫌いの直感を大事にし、フィーリングによる選択にとても長けている、長所を伸ばし短所は直さない、他方、日本人は短所は直すべきもの、好きだけで選ぶのはどこか軽蔑されがち、との比較があったが、この点が両国の大きな違いではないかと思った。著者も書いているようにどちらが良い悪いではないが、人生をのびのび思い切り楽しんでいる様子がイタリア人からは伝わって来る。温かい心を持ち、人懐っこいイタリア人の言動は、直接関わると色々感じるところはあるのかもしれないが、全く憎めない。私はフィーリングで行動しがちなので、イタリアに惹かれるものがあるのかもしれないなと思った。

  • 日本とイタリアどっちがいいと言う訳でもなく、それぞれ築き上げてきたものがあるから理解すべきと著者は説いている。完璧主義な日本。ルーズではあるが精神的に余裕のあるイタリア。日本での、いただきます、ごちそうさまでしたのように儀式のように食事を終える日本。社交の一環としての食事というイタリア。最後はなぜがうまくいくイタリアということはないとは思ったが、規制も多い、精密な日本の社会ではどんどん疲れていく人も出てくるのも無理もない。イタリアを見習えとも思わないが、日本社会のどうでもいい細かさは見直してもいいのかな。まあそれにも良さはあるが。

  • ■イタリアでビジネスをする日本人によるイタリア文化論
    ■2018年1月第1刷、2023年11月第11刷のロングセラー
    ■合計238ページで読みやすい文体 表紙もイタリアカラー
    ■日伊の文化比較論はさもありなんという印象
    ■世の中が完璧に作動している日本はそれを作動させている人がいて、電車が時刻通りに運行するような効率的なシステムは、犠牲の上に成り立っているとの論考は興味深い。犠牲ではないと思うが、代わりになる言葉が浮かばない。

  • 何事も時間に几帳面な日本人と、時間に無頓着に思えるイタリア人。単なるいい加減かと思いがちだが、そこには彼らなりの生活哲学がある。
    両者の顕著な例として、ディナーパーティーでの段取りや様子が示されている。日本人は式次第のように何時何分と時間を指定しながら進める。パーティー開始前には集まり、定刻になったら開始する。イタリアでは開始前のアペリティフが長く、ボチボチと集まって、全員揃ったら開始する。定刻はあって無きが如くで、でも誰も文句も言わずに楽しんでいる。パーティーでは一旦着席すると、その周りの人としか話ができなくなるが、アペリティフでは誰彼と関係なく話ができる。イタリア人は人脈やチャネルを築くことに熱心で信頼関係が最優先される。シチリア島のマフィアもファミリーとか言ってたように。ビジネスを広げようとする人はアペリティフから参加し、食事だけを楽しもうとする人はパーティー開始から参加する。無頓着かと思いきや合理的な考えに気付かされる。日本人からみると?と思われることでも、イタリア人の合理的な考えを知り、参考になることが本書ではいろいろ見つかる。

  • おもしろかった。
    「おわりに」にそれぞれの国民性が纏められているなぁと思った一文がある。
    日本
    最高のサービスが受けられる社会は、同時に最高のサービスを提供するために厳しい労働をしなければならない社会でもあるのだ。
    イタリア
    最高のサービスを提供するために苦労するつもりは毛頭ないが、同時に最高のサービスを受けられなくても、誰も文句は言わない。

  • 面白かった。日本に生まれて良かったと思ったが、同時にイタリア人に憧れを感じた。日本人で幸せを感じられるのはトップになった人だけなのだろう。2番手以下はトップを目指して永遠に我慢の日々が続く。それまでの生き方をあきらめるまでは。

全93件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ジャーナリスト。1959年京都生まれ。東京大学経済学部卒業。1983年から1989年までローマの新聞社に勤務。1年の3分の1をイタリアで過ごし、イタリアと日本でワインと食について執筆活動を行っている。イタリアでは2004年から10年間エスプレッソ・イタリアワイン・ガイドの試飲スタッフ、ガンベロ・ロッソ・レストランガイド執筆スタッフを務める。現在「ガンベロ・ロッソ・イタリアワインガイド」日本語版責任者。
日本ではワイン専門誌を中心に執筆するとともに、ワインセミナーの講師、講演を行う。BSフジのTV番組「イタリア極上ワイン紀行」の企画、監修、出演を務める。著書に『10皿でわかるイタリア料理』『最後はなぜかうまくいくイタリア人』(日本経済新聞出版社)、『イタリアワイン』(ワイン王国)など。
2013年にグランディ・クリュ・ディタリア最優秀外国人ジャーナリスト賞受賞。
2014年、イタリア文化への貢献により“イタリアの星勲章"コンメンダトーレ章(Commendatore dell' Ordine della Stella d'Italia)をイタリア大統領より授与。


「2021年 『ワインの嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮嶋勲の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
リンダ グラット...
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×