グリーン革命 上: 温暖化、フラット化、人口過密化する世界
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2009年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532314415
作品紹介・あらすじ
地球温暖化、世界各国でのミドルクラスの急激な勃興、急速な人口増加が一気に重なったいま、この地球はきわめて不安定な時代に突入しようとしている。エネルギー供給は逼迫し、原油価格は高騰、産油国の独裁政権はオイルマネーで潤う一方、基本的生活に必要な電力すら入手できないエネルギー貧困層が生まれる。中国とインドの経済発展はさらなる気候変動をもたらし、生物多様性を喪失させ、後戻りできない"破滅"に地球を放り込む…。再生可能エネルギーへ転換し、石油依存から脱却しつつ経済成長と豊かさを享受するという大きな試練に、国家と企業はどう立ち向かうべきなのか。産業革命の前後で世界が一変したように、"グリーン革命"の前後で世界の支配者は入れ替わる。人類が経験したことのない新時代を行き抜くための知恵。ピュリツァー賞を3度受賞した名ジャーナリストが「フラット化」の先を描いた全米大ベストセラー。
感想・レビュー・書評
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アメリカから見た環境問題が、良く理解出来た。オイルマネーが、中東やアラブ諸国の政治を歪めている実態に驚いた。地球温暖化ではなく、地球惑乱と定義し、気候変動が、これまでに経験したこともない極端な状況になることを警告。
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今更だが、読んでみた。
今後、中国やインドなどの新興国の大量人口の生活水準があがり
われわれと同じようにエネルギを使い始めるようになる。
そうなることで、環境への負荷は著しく高くなり、
想像できないような気象や現象に遭遇する事になると
様々なデータを挙げながら示していく。
何となく聞いた事のある内容ばかりだが
ここまでデータを提示されるとやはり怖い。
上巻のなかで興味深かったのは、原油の価格が
あがると産油国の自由が制限される政策が採られるということ。
自分たちが石油を大量に使っているのが、
産油国の自由にまで影響をあたえているとは思いもよらなかった。
何はともあれ何もしないと手遅れになる事は
十分伝わった。
下巻で何をしなければならないかをじっくり学びたい。 -
この本を購入したのは去年の8月で、きっかけは「スマートグリッド」に関する日経新聞の特集を読んだことだった。
スマートグリッドというシステムを初めて知り、興味が湧いたのでamazonで検索、一番最初に出てきたのがこの本だった。
それから8カ月経った今、スマートグリッドが当たり前のようにトップニュースになったりして、環境・エネルギービジネスへの関心は高まるばかりだ。
最近トップ扱いだったのでも
・中国が2020年までにスマートグリッドの整備に50兆円投資
・東芝など、インドのスマートグリッド、水道整備を受注
・UAEやベトナムなど新興国原発の世界的な受注競争
・ビル・ゲイツが東芝と共同で次世代原発の開発に投資
新興国で環境インフラの需要が高まり、世界中の政府・企業が受注競争を繰り広げる。日本は勝ち残れますか小宮山宏先生。
さて、僕はうちの会社が大事にしている環境とかCSRとかに、今までほとんど興味がないどころかむしろ嫌な感情を持っていた。
環境にちょっといいことやってる=いい企業ってそんな短絡的な。本気で考えるんならもっと根本のとこから変えないと。
で、別に本気で考えてたわけでもないので、環境は自分の仕事には関係のないことと思ってた。
そんな僕でもこの本には燃えた。
・環境を守ることが人類の存続にとって不可欠だという根拠
・環境破壊が現状、そして将来に渡り、どれだけ深刻であるか
というお題目だけじゃなくて
・環境ビジネス市場の大きさと、そこで勝ち残った場合のリターンの大きさ
が書かれており、ベンチャーを含めた民間企業はどんどん競争しなさいと説いている。
ただ当然、そのためには政府や国際組織の戦略的な支援体制が不可欠である、とも。
面白かったのが石油政治の弊害について書かれたところ。
先進国の石油依存の体質が中東産出国の経済を潤わせ、それがテロリストの資金になり、先進国が苦しむ。
産出国内で非生産的な宗教政治が成り立つのも、オイルマネーという「不労所得」でをバラまけるからで
オイルマネーがある限り、価値を生む社会制度や教育制度は根づかない。それらは支配者にとって不要なものだ。
microsoftもgoogleも、積極的に環境関連の事業参入を始めている。
もちろんビジネスチャンスだからなんだけども、別の面から見れば、巨大な既得権益に対する新興企業の挑戦でもあり、何かワクワクしてくるよね。
僕らの世代が2050年まで働くとして、それまでに環境関連の勝ち組、負け組がはっきりするだろう。
日本やうちの会社が勝ち残るために僕は貢献したいのだが。 -
原油価格と産油国の政治的自由度の相関関係というのは面白かった。
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石油を使わないことが、安全保障に繋がるということに気づかされた。米国には大きな動機になり得る。
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人事ではなくなってしまっている本です。
と、言うか中国ではそのいやな予感が…になりそうで
少々恐ろしいものです。
この中で特に恐ろしいものといえば
石油マネーの裏側でしょう。
これを知ったら確実にエネルギーの浪費に
ストップがかかりそうです。
そう、それはそれは耳をふさぎたい内容です。
アメリカ的エネルギー消費が
蔓延しないためにも
安く、クリーンなエネルギーは必要だと思いました。 -
「フラット化する世界」がよかったので、期待して購入。期待感もあるし、評価も高い本だし、読んでみて間違いなく良書だと思った。導入部分という感じがあって、いまは下巻に続く期待感のほうが高いですな。なのであえて4つ星評価ですが。さすがに切り口がいい。エコとか省エネの話は随所に出てくるものの、それが軸になる展開ではない。石油主義国vs民主・資本主義国という構図であり、イスラム世界とアメリカ社会の関係性であったり、世界的な富の格差であったり、すべてが環境問題と密接に絡んでいることが分かりやすく描かれる。エネルギーに対しての巨大な機構がすでに出来上がっているわけだが、それを覆す・別の方向へ持っていくこと自体、産業革命以来の革命になるだろう…上巻はこの巨大な物語の導入になりますね。いい感じで下巻へ!というノリですが、解決への糸口を示してくれるかは…?物語が大きすぎる雰囲気があって、臨場感と一緒に不安感も掻き立てられる一冊。
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単純なエネルギー論ではなく。
1.アメリカ型消費性向はやばい。
2.原油が高くなるとイスラム教が弾頭する。
3.世界中に光を届けることが問題解決する。
など、おっとと思わせる。
後半どう展開されるのか。 -
原題はHot, Flat, and Crowded.ということで「フラット化する世界」が面白かったので読んでみた。
著者の主張を要約すると、「エコ関係に対する投資が次の経済の活力になる」ということ。
好例として取り上げられているのはTOYOTAのプリウス。それに対して(当時の)GMその他の米国企業は既得権益を守ることに必死で脱皮できていない。今後米国が競争力を保つにはこのままではいけない、という話。
さらに、中東エネルギー権益、インド/アフリカ等の途上国の問題に目が向けられる。
全体的に2010年現在に読むとあまり目新しい話ではなく、あくまで発行された2008年時点の概観という感が強い。
米国議会がいかに自国企業の権益に甘いかという話も、去年〜今年のトヨタ騒動でかなり露呈してしまっていること。
著者がジャーナリストだからか文章はとても読みやすく、「グローバルなエネルギー問題」は概観できる。但し、その分詳細な議論は物足りないので、これで分かった気になっていいかはいまいち疑問です。