デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来

  • 日本経済新聞出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532322236

作品紹介・あらすじ

「デス・バイ・アマゾン(アマゾン恐怖銘柄指数=アマゾンの台頭で窮地に陥るであろう
企業の株価を指数化したもの)」という指数の存在に象徴されるように、
アマゾンの躍進で大打撃を受ける企業が流通・小売業を中心に増え続けている。

しかし、彼らもアマゾンに飲み込まれるのを指をくわえて見ているだけではない。
生き残りをかけて、対抗策を講じる企業も次々と現れている。

本書は、躍進を続けるアマゾンとそれに抵抗しようとする企業の動向を解説しながら、
流通・小売業の将来像を描く。


本書では、リアル店舗の技術革新、ボイスコマースで急速に変化するオムニチャネル、
「宅配クライシス」でますます激化するラストマイルの争い、
「プライム」とそれに対抗するサブスクリプションサービス、
という4つの視点で今後の動向を読み解いていく。

先端テクノロジーを活用するケースがほとんどで、
日本では知られていない海外スタートアップの事例も多数登場する。

流通・小売業関係者はもちろん、
IT・スタートアップに関心のあるビジネスパーソンにも読んでほしい1冊だ。

感想・レビュー・書評

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  • 良書 時代の潮流は、EC専業から、リアル店舗の併存へ、SPAからD2Cへ。
    流通の最先端の状況と課題を理解するという点で、是非ご一読をお勧めします。
    また、ショッピング・エクスペリエンス(購買体験)を実現するための、最新のIT技術を紹介しています。

    本書テーマは、「拡大し続けるアマゾンの戦略とアマゾンに対抗する企業の戦略を読み解きながら、アマゾンに殺されずに生き残るための方策を考えていく」です。

    気になった点は次です。

    ・ナイキやトイザラズのようにアマゾンの台頭によって窮地に陥るであろう上場企業銘柄の株価を指数化したものを、「デス・バイ・アマゾン」という。
    ・これらの企業に共通するのは、①収益の大半をリアル店舗から得ている、②販売している商品は、自社ブランドでなく他社ブランドが中心であるという点です。

    ・ネットで成功した後、リアル店舗に進出するという動きは、アメリカ、eコマース業界では非常にホットなトレンドになっている。

    ・アマゾンの特徴、ECサイト専業から、リアル店舗への進出
      ECサイトで収集したビッグデータの活用、分析して棚卸にも活用されている。
      ECだけであれば、家賃、電気代、スタッフの労務費などのコストは一切かからない
      リアル店舗への進出のねらいは、①顧客との関係強化、②アマゾンプライムの会員増

    ・アマゾン:有機食品小売大手ホールフーズ・マーケット買収のねらい
      ①クロスセルの促進(プライム会員にホールフーズの割引適用など)
      ②EC配送拠点・返品拠点としての活用
      ③ホールフーズの顧客行動のデータを収集・分析、プライム会員へのパーソナライズしたオファーの提供

    ・レジ無し店舗 アマゾン・ゴー 初期投資がどれだけ赤字でも、将来成功が見込めるのであれば、積極投資を行う

    ・EC専業から、リアル店舗に進出した企業の店舗運用の特徴
     ①在庫をもたない 試用品、試着品のみ
     ②実店舗でも注文はネットで 店にあるPCやタブレットから注文、店員がサポートすることで、2回目以降は、自分でできるようにする
     ③レジが不要 クレジットカード等で決済するため、レジもなく、現金も不要 
     ④一等地に出店しなくてもよい 大通りに出店しなくてもよく、店舗の運用コストを抑えられる

    ・D2C と SPA:ともにプライベートブランドを扱っている業態
      ①D2C 自ら企画・製造した商品をオンライン限定で販売する
      ②SPA 製造から小売りまでを統合した販売形態(GAP,ユニクロ等)
     D2Cは、店舗を持たずに自社で運用するECサイトでのみ販売する形態、オンラインSPAと言われている

    ・ファッションEC 課題だった、「試着できない」を解決するアマゾンの施策
      ①アマゾンファッション 購入商品を最大30日返品可能、返品返送無料、色違い、サイズちがいの製品があれば、無料交換
      ②アマゾン・プライム・ワードロープ アマゾン・ファッション販売の100万点のアイテムから3~8点の商品を選択し、気に入らなかった商品は受取後7日間まで無料返品

    ・アマゾンのファッションECの戦略
      ①ナショナルブランド、等第三者商品を販売して、データを大量収集、徹底的に分析する
      ②分析したデータをもとに、収益性の高いプライベートブランドを開発する
      ③「プライム・ワードロープ」で購入促進、同時に「200ドル以上購入20%OFF」などの販促をかけて複数アイテムの同時販売を促進
      ④「エコー・ルック」によってユーザデータの大量収集、商品開発に生かすと同時に、ユーザおすすめ商品の精度向上、さらなる自社商品のシェアを向上

    ・アマゾン対抗企業
      ①ユニクロ 自社Webでの販売、アマゾンは使わない。リアル店舗活用、バーチャルとの融合、オムニチャネル
      ②ゾゾタウン ゾゾスーツ 日本人の体型データの収集を行い、より日本人にフィットした商品開発をおこなう

    ・ショッピング・エクスペリエンス(購買体験)
      ストアの名前が消えるアップルストア、製品を売るのではなく、顧客の問題解決のサポートをする
      ノードストーム・ローカル 小店舗で顧客サービスに特化、商品在庫はもたない
      ショッピング・エクスペリエンスを支えるIT技術 スマートフォン、ICタグ、スマートミラー、VR,AR

    ・アマゾンの購買行動への支援
      カスタマージャーニ:商品購入のプロセス 認知⇒情報収集⇒比較検討⇒購入⇒リピート 購入、リピートの2つが、購買行動
      ①アマゾン・ダッシュボタン ボタンを押すだけで追加注文ができる、ハードウエア(本書ではサントリーの天然水が紹介されていた)
      ②アマゾン・エコー 音声認識エンジン「アレクサ」をつかった、ボイスコマース。アレクサAPIを各社へ無償提供している
      ③アマゾン・ダッシュ・ワンド 日本未発売。アレクサAPIを搭載した、音声認識小型デバイス

    ・アマゾンのラストワンマイルへの宅配戦略
      BtoC,EC市場の発達により、荷の取り扱いが急増、配達現場の疲弊が深刻化、特に大きいのが、不在による再配達、高齢化、加えて低賃金での不人気での労働力不足
      ドローンや、デリバリーロボットも登場、法整備が必要
      ①アマゾン・ロッカー
      ②アマゾン・キー 不在でも家に配達できるセキュリティシステム
      ③アマゾン・キー・イン・カー 家ではなく、車に配達する

    ・アマゾン・サバイバーの戦略
      アマゾンに対抗するための手段とは
      ①圧倒的な商品力
      ②カスタマー&パーソナライズ
      ③かゆいところに手が届くサービスの提供
      ほかにも、ターゲット顧客の軸をずらす、課題解決への重視、ドロップ・シッピング(サプライヤから直接自宅へ配送)、VR,ARの活用

    ・アマゾンの次なる戦略
      ①家具業界へ
      ②医薬品業界へ
     アマゾンへの対抗としては、「グーグル・ショッピング・アクション」、グローバル市場として、中国 アリババの「天猫」など

    目次は以下の通りです

    第0章 アマゾン 恐怖銘柄指数とは
    第1章 消える店舗、消える店員
    第2章 次なるターゲットはファッションEC
    第3章 ショッピング・エクスペリエンス
    第4章 買い物の敷居を極限まで下げるアマゾン
    第5章 ラストマイルを巡る戦い
    第6章 モノを売らないサブスクリプションレンタル
    第7章 アマゾン・サバイバーの戦略

    おわりに

  • 2018年の作品。流通小売業においてアマゾンの進出によって事業を継続できなくなる企業が続出する中、どのような企業が生き残れるのかを説いている。ターゲットをずらす、サービス性を磨く、サブスクリプション型にするなど、要するにアマゾンとは異なる土俵で戦うことが必要としている。しかし、アマゾンがここまで巨大になると、どれもやがてはマネされ、飲みこまれる可能性は消えない。
    本書の最後に出てくるように、アマゾンを超えるとしたら中国企業だろう。巨大な自国市場を持ちつつ、国の制度のおかげで膨大な個人データ、購買データを活用できる。後発の利で、新たに最先端の販売チャネルを構築することができる。欧米を含めグローバルに中国企業が拡大するのは難しいとは思うが、それでも十分かつ効率的な事業を展開できるだろう。
    日本の場合は、既に構築された複雑な商流があり、また、旧態依然としたビジネスでもそれなりの事業規模があるため、新しいモデルに移行できない。このジレンマは、一度、グローバル市場で大きく後退し、かつ、人口が減り、再び若者の比率が増える時代まで改善されないのではないかとも考えてしまう。

  • デスバイアマゾンという、アマゾン恐怖銘柄指数にまつわる、アマゾンに殺されないためにはどうすればいいのかが書かれている。
    刊行は2018年でありやや古いが、EC業界の話はもちろん、流行りのサプスクリプションなど多岐に渡る。
    ECの課題として、現物に触れない、配送の手間があげられるが、これらの課題解決に様々な企業が取り組んでいる。
    アパレル業界からは、試着の代わりに30日間返品無料の制度であったり、家具インテリア業界からは、AR技術を使ったイメージングなど。
    企業のアイデアは本当に素晴らしいと思う。

  • 成毛眞氏の本も読んだが、自分にはこちらの方が面白かった。アマゾンの戦略だけでなく、アマゾンと戦う競合他社の戦略も解説してあるため、お得感あり。もちろん、アマゾンの戦略も成毛眞氏の本よりも詳しい。一番のお勧めは両方読むことかも。

  • アマゾンとそれに抵抗しようとする企業たちの戦略を解説し、流通・小売りの将来像を描くビジネス本。
    恥ずかしながら、Death by amazon が、比喩ではなく固有名詞だと初めて知った。「Death by amazon(アマゾン恐怖銘柄指数)」は実在する株価指数とのこと。2012年に設定された指数で、アマゾンの収益拡大や新規事業参入などの影響を受け、業績の悪化が見込まれる米国の小売関連企業銘柄50数社で構成されている。
    あらためて、アマゾンと正面から戦ってもダメだということがよくわかる。ウォルマートやコストコといった大企業からベンチャー企業まで、各社の対抗戦略の解説を興味深く読んだ。

    2018年8月刊行。5年もたっていないのに、今読むと少し古く感じる。現状を描くようなビジネス本は旬の時期に読まないと意味がないと痛感した。

  • 積読してたらタイミングを逸してしまった感がある、出来るだけ早く読みたかった本。
    ただ、5年経ってもAmazonの参入が多くの企業にとって破壊的であることには変わりないのではないかと思われる。

    Amazonはもちろんのことリテールの現在と今後の概要をつかむには良い本だと思った。

  • Amazonのことを知るにはおすすめ

  • 2020/10/12広島市図書館
    ● デス・バイ・アマゾン=アマゾン恐怖銘柄指数
    ●アマゾンの台頭によって窮地に陥るであろう上場企業銘柄の株価を指数化したもの
    ●アマゾン・サバイバーへの3つのポイント
    1圧倒的な商品力で差をつける
    2カスタマイズ・パーソナライズの徹底
    3痒いところに手が届くサービスの提供

    ユーザエクスペリエンス

  • Amazonの野望と殺されないための方法。
    Amazonはもはや全ての王に君臨しており、同じ土俵で戦ってはいけない。
    Amazonと戦えるのは、
    『ホームデポ』のような専門業者向けや
    パーソナルな価値を提案できるもの(オーダーメイド)である。
    今後どのようなサービスと物流で迫ってくるか分からないが、今後もAmazonにより、購買のハードルはどんどん下げられるであろう。

  • Amazonの取り組みとライバルのまとめ。

    d2c direct to consumer
    ショールーミング
    小型店舗展開、在庫を持たない
    ショップエクスペリエンス
    Amazonと同じ土俵に立たない
    バルク契約
    フォトサーチ
    ドロップシッピング
    ディスラプター 破壊者
    オネストカンパニー ジェシカアルバ
    カスタマイズ
    パーソナライズ
    ニューリテール アリババ 3km以内30分着 リアル店舗在庫=ec在庫 注文→ピックアップ 店内にいけす その場で調理→飲食
    オムニチャンネル

    手軽さ、便利さ、体験、撒き餌、敷居、心理的障壁、選択疲れ、現状維持バイアス、顧客の課題解決、ファン獲得、選択と集中、付加価値、トータルサービス
    アメリカは法整備も同時進行で早いな。日本が遅すぎるのかもしれないが。全部後手だから首相官邸にドローンが来たりする。

    ウォルマートのジェットブラック、いいなぁ。何かわからないものを検索するって大変なんだよね。探してくれるのありがたいね。軽量のリサイクルバッグってどんなのなんだろう。

    Googleエクスプレス、Googleショッピングアクションを知らなかった。日本にもぜひ。元会長が言うまでもなく、どう考えてもGoogleの最大のライバルはAmazonでしょう。
    でもそれならショッピング検索の精度や検索のしやすさをもっと上げてくれればいいのに。商品のサイズ検索とか。

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著者プロフィール

城田 真琴(シロタ マコト)
野村総合研究所 DX基盤事業本部 兼 デジタル社会研究室 プリンシパル・アナリスト
2001 年に野村総合研究所にキャリア入社後、一貫して先端 IT が企業・社会に与えるインパクトを調査・研究している。総務省「スマート・クラウド研究会」技術WG委員、経済産業省「IT 融合フォーラム」パーソナルデータ WG 委員、経産省・厚労省・文科省「IT人材需給調査」有識者委員会メンバーなどを歴任。NHK Eテレ「ITホワイトボックス」、BSテレ東「日経プラス10」などTV出演も多数。著書に『FinTech の衝撃』『クラウドの衝撃』『ビッグデータの衝撃』『エンベデッド・ファイナンスの衝撃』 (いずれも東洋経済新報社)、『パーソナルデータの衝撃』(ダイヤモンド社)、『デス・バイ・アマゾン』(日本経済新聞出版社)などがある。

「2023年 『決定版Web3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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