行動経済学入門

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532350642

作品紹介・あらすじ

「自分に都合の良い情報ばかり優先し」「損失ばかりを過大評価する」非合理的な人間行動の謎をズバリ解明する初の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 編集者時代?

    こんな早くに行動経済学に触れていたとは。
    ファスト&スローを読んだのは、4年ほど前。
    この本を読んだ時はそんなに有用性がわからなかったが、ファスト&スローを読んだ時は、めちゃくちゃ知的興奮を覚えた気がする。なんだろう、この差は。

  • 本のタイトルの通り、経済学の内容なのかなと思いました。所々に数式もあり、素人の私にはちょっととっつきにくかったです。

  • 経済学に、より現実的な人間の行動モデルを取り込んだ新しい(?)経済学の解説書みたいな。教科書っていうほど学術的ではない、論点の紹介とかそういう感じ。

    そもそも現実的な人間を表現しようとしているから本質的にスッと入ってくるし、文体も読みやすいし、具体例もふんだんに盛り込まれていて良かった。

    限定合理性とか、学科の授業でちょっとだけ触ったなーとか思い出しながら読んでた。

  • 行動経済学と古典的な経済学の違いをテーマごとに章に分けて平易に解説してある。また、行動経済学の応用分野の一つである行動ファイナンスに関しても一章を割いており、こちらも概要がよく分かる。

    具体例を用いた説明が中心となっているため理解しやすい。数式的な解説の多くは「補論」という形での説明か、簡単な内容に留めてある。
    プロスペクト理論、ヒューリスティック、限定合理性など、行動経済学を理解する上で必要なことは満遍なく解説されており、入門書としては本書が最も優れているのではないだろうか。

  •  書名は「行動経済学『入門』」であるが、細かな理論の説明はなく、伝統的な(ミクロ)経済学と何が違うかについて、平易に解説されている。しかしながら、学部レベルのミクロ経済学、マクロ経済学、情報の経済学(ゲーム理論)の講義を聞いたこともないような人が、本書をスムーズに読み終えるのは、少し難しいと思う。最低限、日経文庫等に一通り目を通してから読むと、理解が尚深まると思われます。

     伝統的なミクロ経済学は、経済モデルの(数学的)取り扱いやすさを担保するためか、個人・企業の超合理性を前提としているが、必要な情報を得るのには、一定のコストがかかるのは必定であるし、判断する個人・企業の判断プロセスが、必ずしも完全無比というわけでもない。むしろ、現実はこうだ。個人・企業のリスクを回避しようとするあまり、リスクを過大評価するような傾向が、実験的に明らかになっている。ノイズ・トレーダーと称される非合理的な市場参加者がバブルを引き起こすこともある。ある時点において、一定額の貯蓄をするのがファイナンス的に最も合理的であっても、衝動的な買物をしたり、浪費したりするのは、人間の性である。本書の最後では、こうした現実や知見を、従来の経済学に取り組んでいくかが課題であると、締めくくられている。

  • 言葉はよく聞くが学んだことがなかった分野。
    日経ビジネス系の雑誌の紹介を見て購入。

    著者は多田洋介氏。内閣府かつ都立大学の非常勤。


    感想。
    「なるほど、そうだよなぁ。でもだからなんなの。」という想いを封じ込めながら読みすすめました。
    終章の内容がそんな僕を救ってくれました。
    あと備忘録残しながら、特に各章末のポイントを読みながら、この本すげえと思った。
    もう少し平易な本でお復習したい。

    備忘録。
    ・経済学や所々の学問で前提とされている、所謂「合理的経済人」。その人間像には三つの非現実的な特徴がある。「無尽蔵な合理性」「完璧な自制心」「極端な利己主義」。行動経済学はその三つの非現実性に起因するアノマリーを説明する学問だ。
    ・「無尽蔵な合理性」に対する現実→よく考えれば(例えばベイズ・ルールやゲーム理論)、極端に言えばプロが分析すれば、その合理性は明らか。だが、現実の人はそこまでして最適な判断をしない
    ・で、現実の人は、ある程度合理的な行動(限定合理性)を選ぶ→「近道選び」
    ・また期待値(期待効用仮説)に反する行動をとる理由として、「プロスペクト理論」なるものがある。代表的なのが損失回避性。
    ・「完璧な自制心」とは言うが、現実の人がそれを完遂するのは難しい。嫌なことの先送り、ダイエットの失敗、禁煙とか。
    ・「双曲的割引関数モデル」→現時点の効用は将来の効用よりだいぶ大きい。でその割引率は現時点からその翌期が最大値。それ以降の割引率は対して変わらん。そんな下に凸の関数で示せると。
    ・「極端な利己主義」→でも現実の人は、寄付もするし、情もあるよ。


    ポイントの丸写し。。
    勉強になりました。

  • 品川区図書館にある。時間の都合でじゅうぶん読んでない。新しい分野である。経済学が科学として成立するかの瀬戸際で、開き直って展開された新分野。人間の行動は合理的でない。心理学も研究すべき?

  • 経済学の基本を知っていればもう少しわかったかもしれない・・・
    いろいろな現象が存在することは多数例が出ていたのでわかった.


    プロスペクト理論
    ・利得よりも同じ額の損失に対してより深刻に受け止める「損失回避」
    ・得をする局面では危険回避的選択をするのに,損をする局面ではむしろ危険志向的な行動をとるという「非対称性」
    ・わずかな確立であっても発生する確率が正であれば,その確立を過大に認識する「確立ウェート関数」

    アノマリー:予測される人間行動と現実の人間行動の乖離

    双曲的割引関数

    近道選び:不確実性に直面する人間の判断につきまとう3つの代表的な近道選び
    ①代表制(representativeness)
    ②利用可能性(availability)
    ③係留(anchoring)

    統合効果:AかつBである確立よりもAである確立が低い

    認知不協和:人は間違いを認めたがらない

    プロスペクト理論:不確実性下の行動モデル

    心の家計簿(mental accounting):最大限支払ってもいいと考える価値,どこで購入するかによって違う,参照点が違う

    ナイト流の不確実性(knightian uncertainty):曖昧性の回避(ambiguity aversion)

    ホモ・エコノミカス:「超合理的」(効用を最大化),「超自制的」(計画通り行動),「超利己的」(自身の利益のみ追求)

    ベイズ・ルール
    ゲーム理論の均衡概念
    期待効用仮説→アレのパラドックス
    効用最大化モデル
    ナッシュ均衡→利得の最大化で行動
    囚人のジレンマ
    ルール・オブ・サム(親指の法則)→根拠のない判断
    満足化仮説→途中段階で満足
    限定合理性

  • 第1章 行動経済学とは何か?
    第2章 人間はどこまで合理的か?
    第3章 地位か道を選ぶと失敗する
    第4章 プロスペクト理論
    第5章 非合理的な投資家は市場を狂わす
    第6章 人間は「超」自制的か
    第7章 人間は他人の目を気にするもの
    終章 心理学的アプローチの限界と今後の展望

  • 行動経済学の教科書として最適。クラシックな経済学の限界からスタートし、行動ファイナンス理論までを具体例を交えて扱う。後半はゲーム理論を活用した事例も多数紹介している。ある程度の基礎知識があってから読んだ方が良い。

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