- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560043233
感想・レビュー・書評
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『ユルスナールの靴』(須賀敦子)を印象深く読み、それでは自分でマルグリット・ユルスナールの作品を味わおうと図書館にたまたまあったこの本を開いた。それが私にとってよかった。
没後とりまとめられ出版された若書きの作品という。つまり、『ハドリアヌス帝の回想』などの大作を髣髴させ、それに比する小品らしい。なるほど、らしさが味わえたのではないかと思う。
「青の物語」「初めての夜」「呪い」の3篇。
「青の物語」はアラビアンナイトの物語風。「初めての夜」はフランス心理小説風。「呪い」はフランス片田舎のおどろおどろしい風習風。味付けはくっきりユルスナール風。
ユルスナール風とは、なにがどうと一口に言えないが、「がしっ」とつかまれるような強靭な精神がある。それに惹きつけられる。まあ、私が大作の方に向かうかどうかはわからない。(単に他の未読本を沢山抱えすぎているということだけどね)
久しぶりで白水社のフランス文学に親しんだ。なお、この本のブルーの濃淡が三色旗のような装丁もしゃれていた。(このごろ装丁も気になるようになったのだ)
残念、この単行本はなくて、「ユルスナール・セレクション(4)」に入っている。 -
短編三作。
『青の物語』が抜群によかった。
青は魅せられる色。併せ持つ透明感と奥行きに、つい吸い込まれてしまう。
何となく小川未明のほの暗い童話を思い起こさせる。 -
短編集
「青の物語」
財宝を求めた男たちの末路を冷酷に描く物語。あらゆるものが青に関連させて描かれる、という約束事が展開される。気障なようにも思えるが、うまいと唸らせられるものもあり。
「初めての夜」
新婚初夜を迎えた夫婦の、男側からみたという設定。作者のデビューまもない作。Marg Yourcenar という男か女か分からぬ著者名、という遊びがデビュー間もない頃は存在したユルスナール。初夜に幻滅している男を描く女、という遊びにくわえてなおかつ、この短編の原案を描いたのはユルスナールの父だとのこと。
男→女→男、という入り組んだ構造。
「呪い」
可もなく不可もなく。 -
本に読まれて/須賀敦子より
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ユルスナール、最も初期の短編集。
収録されているのは
「青の物語」
「初めての夜」
「呪い」
初期短編ということであるし、他と比べてもしょうがないが
「青」を描いた物語ならディネーセンはじめ、他にもっと印象が鮮烈なものがあるし
「初めての夜」も、コレットだったらどう書いたかなぁなんて思ってしまう。
ので、私には一人の娘が魔女に変化する様を描いた「呪い」が一番面白かった。 -
空気までその色にひたっていそうな濃密な青の世界。装丁もシンプルだけどすごくすき。なんどもかみしめるみたいに読みたい。