通話 (EXLIBRIS)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560090039

感想・レビュー・書評

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  • 通話 (EXLIBRIS)

  • 世界文学の地図を塗り替える、と言われた長編「2666」。その著者による初期短編集。(「2666」は(物理的に)重すぎていったん挫折)。

    主な舞台は南米(か、あるいは移民として暮らすスペイン)。売れない作家が文学新人賞に応募し続ける話。刑事が怪しげな犯罪者をいい加減に逮捕する話。徐々に転落していく売春婦の話。あえて大くくりにするなら「うまくいっていない人の身の上話」が続く。

    彼らの力になりたいと考えている恋人や友人も出てくる。が、今一つかみ合わないまますれ違う。というかそもそもその友人自身も同じ程度にうまくいっていないし自分のことで精いっぱいなのだ。そしていつしか手遅れになり、損なわれたものは戻らない。筋書きらしい筋書きもないのに、ふとした場面で心揺さぶられるのが不思議でしょうがない。

    そしてもうひとつ、南米における独裁政治の影、アジェンデ政権の挫折。人があっさり消えてしまう治安。これらはいくつかのラテンアメリカ文学にヴェールのように覆いかぶさっているのだな、と感じる。

    2666、電子書籍化してくれ・・・

  • ロベルトボラーニョの短篇14篇。

    このラテンアメリカ的な乾ききった文体が短編の登場人物たちの生き方と合わせ哀しさを引き立たせる。

    人生っていろいろ辛いなあ。

  • 2015年神保町ブックフェスティバルで購入。
    文体は淡々としていて素っ気ないほどだが、ふとした瞬間の切り口がとても印象的だった。
    何処か哀しいラストを迎えるものが多いのは何故だろう?

  • [ 内容 ]
    『通話』―スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と“僕”の奇妙な友情を描く『センシニ』、第二次世界大戦を生き延びた売れないフランス人作家の物語『アンリ・シモン・ルプランス』ほか3編。
    『刑事たち』―メキシコ市の公園のベンチからこの世を凝視する男の思い出を描く『芋虫』、1973年のチリ・クーデターに関わった二人組の会話から成る『刑事たち』ほか3編。
    『アン・ムーアの人生』―病床から人生最良の日々を振り返るポルノ女優の告白『ジョアンナ・シルヴェストリ』、ヒッピー世代に生まれたあるアメリカ人女性の半生を綴る『アン・ムーアの人生』ほか2編。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 人の騒ぐ声に導かれて読む本はいつも手垢に塗れた文学であるため冷静な評価は困難だが、繊細と表現もできるだろうし、がさつとも表現しうるその"軽さ"が時代精神というものなのだろうか。小回りのきく、それでいて瀟洒な、とつい言ってしまいたくなるが、その背後で作者は血を吐き流しながら作品を書いていることは、忘れない。

  • ポラーニョの本領は短篇で発揮されるのではないか。哀切で真摯。一人称で語られる、ほとんど梗概のような素っ気ない語り口。人生の一時期を共に過ごした男や女の横顔がくっきりと浮かび上がる。

  • 中盤は可笑しいところや怖いはなしもあるが最初の方と最後の何編かはよんでるとどんどん淋しい気持ちになってしまった。必要最低限の物しか置かれていない簡素な部屋で暮らしている男の人が想像されて心に消せない染みが出来てしまったきがする。

  • CL 2013.3.24-
    読了できず。2013.4.7返却

  • ジョアンナ・シルヴェストリがとてもいい。元ポルノ女優の独白というつくりで、愛と性と生について語っている。

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著者プロフィール

1953年、チリのサンティアゴに生まれる。1968年、一家でメキシコに移住。1973年、チリに一時帰国し、ピノチェトによる軍事クーデターに遭遇したとされる。翌74年、メキシコへ戻る。その後、エルサルバドル、フランス、スペインなどを放浪。77年以降、およそ四半世紀にわたってスペインに居を定める。1984年に小説家としてデビュー。1997年に刊行された第一短篇集『通話』でサンティアゴ市文学賞を受賞。1996年、『アメリカ大陸のナチ文学』を刊行。1997年に刊行された第一短篇集『通話』でサンティアゴ市文学賞を受賞。その後、長篇『野生の探偵たち』、短篇集『売女の人殺し』(いずれも白水社刊)など、精力的に作品を発表するが、2003年、50歳の若さで死去。2004年、遺作『2666』が刊行され、バルセロナ市賞、サランボー賞などを受賞。ボラーニョ文学の集大成として高い評価を受け、10 以上の言語に翻訳された。本書は2000年に刊行された後期の中篇小説である。

「2017年 『チリ夜想曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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