- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569796703
作品紹介・あらすじ
ウナギは淡水魚と思っている人が多いが、実はニホンウナギは遠く数千キロも離れた太平洋のど真ん中で毎年、産卵していた。本書は、大海原で親ウナギが産卵する瞬間をピンポイントでつかまえたい、この究極の謎に挑んだ科学者たちの冒険の記録だ。度重なる失敗にもめげず、海山仮説や新月仮説や塩分フロント仮説などで絞り込み、ついに世界初、親ウナギの捕獲と天然卵の採取という金字塔樹立までの足跡を追う。
感想・レビュー・書評
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「アフリカにょろり旅」関連本。にょろり旅の研究室のボス塚本先生のウナギ本。
マリアナ海溝でニホンウナギが産卵というのはニュースで見たことがあったが、そこにこんなに面白い歴史があったとは。
掬った網から小さい小さい稚魚をさがす。発見サイズや黒潮の流れから産卵場所を絞りこむ。地道。毎年の探査で一歩ずつ前進。読んでいるこちらもドキドキする。本当にこんな距離を回遊していたのかと驚く。
それにしても、生物の世界は、わかっていないことのほうが多いことを思い知る。生態がわからない生物のなんと多いことか。だからこそ最新の研究を紹介する本はおもしろい。
レプトセファルス詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読んでみるとウナギの生態が極めて複雑なことがわかる。ウナギ資源の減少の原因も複合的だ。ウナギ大好き派も禁鰻派もまずは一読して欲しい。
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先輩が白鳳丸に乗船した。塚本先生とマージャンをしている写真を見たことがある。
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アリストテレスの時代からずっと謎だった、ウナギの産卵場所がやっと見つかったという話。レプトセファルスが見つかって、プレレプトセファルスが見つかって、さらに親ウナギ、卵と次々と見つかっていく。こう簡単には書いたものの、そこに至る過程は試行錯誤の連続。広い太平洋の中、少しずつポイントをしぼってせめていく。西マリアナ海嶺のあたり、塩分濃度が変化するところ。新月の数日前。深さは、どんな網を使えばよいか、などなど、だんだん卵に近づいてくるあたりは、ハラハラドキドキ。年輪のような耳石を調べることで、生まれてからの日数が判明するというのもおもしろい。なぜ、ウナギの産卵場所を探すのか。「分からないから」というのが一番正しいのだろうけれど、そこから、どうやって繁殖させていけばよいかが見えてくるというのが建前のよう。最近、ウナギが捕れなくなって値段が高騰しているという。できれば月1回くらい食べたいのだけれど、年1回がいいところか。養殖の安くておいしいウナギが出回るのはうれしいことではある。1年前に鰻博覧会を東大でやったというのがおもしろい。これ「マンパク」というのだろうか。
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ウナギ卵の採捕に成功するまでのプロジェクトを書いた本。一つの種の卵をここまで追求できることが、とても羨ましい。
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月・塩分フロント・海嶺の地形など、地学・化学的な観点
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こういうのを読むと研究者というのはいい職業だなあと思う。楽しそう。
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4年国語「ウナギのなぞを追って」の作者が書いた更に詳しい新書
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所在:展示架
資料ID:11200634
請求記号:664.695||Ts54||058 -
どうやってウナギの天然卵を発見したかというだけでなく、どうして今まで見つからなかったのかについて、その時々の作業仮説に基づいて述べられているのが、night scienceの記録として面白かった。