直感力 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569804897

感想・レビュー・書評

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  • 羽生善治という稀代の棋士が綴る勝負事における直感の大切さ。
    直感とは論理的思考が瞬時に行われるものであるため、日頃から様々な多様な価値観を取り入れることで直感力を鍛えることが肝要であるとしている。

  • 先行き不透明で不安な時代だからこそ、

    生きるための1つの指針としての直感力を磨いていく必要がある。

    直感とは決断するための思いきりのよさ。

    直感でそう思うのには、理由があり、自分の今までの人生と密接な関係のあるものである。

    そして、誰でも磨くことができるのが、直感力である。

    羽生さん直伝の直感力の磨き方が述べられてある。

    一番思ったことは、将棋をやりたい!

  • 羽生さんの凄さは客観視とか俯瞰できる力なのだなー。

  • 直感力という言葉が全体を覆っているというよりは、それを嚆矢として、著者が勝負または人生から学んだ事が自在に展開されていて、長年トップに君臨し続ける人ならではの説得力がある。直感は山勘ではなく経験に裏付いたものという点、人間の強みを提示されているようでもあった。

  • 直感は信じても良いと思わせてくれる優しい語り口の本。
    ただ、その直感は経験に裏打ちされたものであることが大切なのですね。
    その為にも、普段からの気付き、工夫、努力を怠らない事、きちんと糧にしていく事を学びました。

  • そんなに変わったことは言っていないのだが、数少ない「真の天才」の考え方と、自分との共通点を見つけると嬉しくなる。

  • 【どんな本?】「直感」とは何か?を説明した本というよりは、羽生氏自身の人生に対する考え方を著した本。
    【著者紹介】
    ・1970年生まれ。将棋棋士。小学生6年生でプロ棋士養成機関の奨励会に入会。中学3年生で4段(プロ)。1989年、19歳で初タイトル竜王位を獲得。1996年、名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王と合わせて「7大タイトル」すべて独占。将棋界始まって以来の7冠達成として日本中の話題となる。この頃の年度勝率、当時歴代2位の0.8364(46勝9敗)。
    ・2012年7月、タイトル獲得数81期となり、歴代1位。史上5人目となる1200勝を最速・最年少で達成。通算勝率は0,723。勝ち数は年間平均45勝(年間25勝すれば一流と言われる将棋界で、驚異的な数字)
    ・居飛車、振り飛車、相振り飛車を自在に指しこなし 相手の得意も受けて立つ、どのような状況も苦にしない真のオールラウンドプレイヤーである。
    ・また、対局の中の様々な面で強さを発揮する。勝又清和は「大山の力強い受け、中原の自然流の攻め、加藤(一)の重厚な攻め、谷川の光速の寄せ、米長の泥沼流の指し回し、佐藤(康)の緻密流の深い読み、丸山の激辛流の指し回し、森内の鉄板流の受け、といった歴代名人の長所を状況に応じて指し手に反映させる‘歴代名人の長所をすべて兼ね備えた男’」としている。
    ・終盤での絶妙の勝負手あるいは手渡し、他の棋士が思いつかないような独特な寄せ手順から逆転することは、主に若手時代、「羽生マジック」と呼ばれた。

    【前提情報】
    <著書「大局観」より>
    ・若年、熟年では戦略が異なる。変えざるを得ない。若い時→「いかに読むか」計算力、反射神経、記憶力。 熟年→「いかに読まないか」直感、大局観。
    『勝負の手を読む力は若いときが上だが、棋士は年齢を重ねるごとに「大局観」を身に付け、いかに「読まないか」の心境となる。』

    ・大局観とは …
    「具体的な手順を考えるのではなく、文字通り、対局に立って考えること。パッとその局面を見て、今の状況はどうか、どうするべきかを判断する。」例:ここは攻めるべきか、守るべきか、長い勝負にしたほうが得かなどの方針。
    「大局観では終わりの局面をイメージする。最終的にこうなるのではないかという仮定を作り、そこに「論理」を合わせていくということである。簡単に言えば勝負なら「勝ち」を想像する。」
    「大局観を身につけると、未知の場面にも対応できるようになり…」
    「大局観はその人の本質的な性格や考え方がとても反映されやすいのである。」

    【要約】 
    ・直感の正体… 論理的思考が一瞬で行われたということ。
    「例えばひとつの局面で、「この手しかない」とひらめくことがある。100%の確信をもって最善手がわかる。」
    ・金出教授(カーネギー大学)話「論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる。計算機の言葉でいえば、毎回決まったファンクションが実行されているうちにハードウェア化するようなものだ。それまでは毎回発火していた脳のニューロンが、その発火の仕方がいつも同じなので、そこに結合が生まれ、一種の学習が行われたということではないか。」
    ・「直感は、本当に何もないところから湧き出るわけではない。考えて考えてあれこれ模索した経験を前提として蓄積させておかねばならない。」
    ・「直感は決して、先天的なものではない」
    →直感は論理的思考の昇華。
    ・直感の磨き方… 経験、さまざまな価値観。
    ・「直感を磨くということは、日々の生活のうちにさまざまなことを経験しながら、多様な価値観をもち、幅広い選択を現実的に可能にすることではないかと考えている。」
    →直感は経験で磨かれる。(TV「プロフェッショナル」より) 

    【メモ】
    ・「直感は七割正しい」説の根拠。
    ・羽生さんの将棋に対する姿勢=人生に対する姿勢。
    ・変化:老いゆく中で、戦略を変化させていく。
    ・本の種類: 自己あてはめ・解釈型。
    ・世間一般の勝ち負けにこだわない姿勢。
    「いま、不安定で不透明な時代。先行きの分からない状況が続いてはいるが、そこでどうなるか分からないさまざまのことに心を砕き思い悩むよりも、まずは目の前にあること、何か自分の中で響くことに向き合っていくのがいいのではないかと思っている。何よりも自分の気持ちに響く、自分の中から湧き上がってくる直感を信じることだ。他者からの評価や客観的な結果だけを追い求めながらモチベーションを維持するのは大変なことだと思う。」
    P98「ただし、勝負の結果がすべてではない。…新しい戦法があるのであればそれも学ばなければならないが、それだけでは次々と生み出される現代の将棋についていくだけになってしまう。それらも踏まえた上で、いかに自分の価値観を貫くやり方、スタイルを築きあげるか。勝ち負けの結果よりも、重きを置くべきはそこだろう。」

    人生の価値基準をどこに置くか。→自分に置くんだよ。 対局の「勝ち負け」以外の自己基準を作ってみる。他人や社会に食われる。良い道具。もっと余裕をもったらいいよ。


    【議題】


    <時代状況の前提>
    ・先行き不透明な時代、勝者なき競争の時代。
    ゼロサムゲームでは半分しか勝てない。その上現状はその半分の人が手にできるはずのパイも少ない。
    ⇒勝ち、負けとは違う基準を持つことの重要さ。自分の持ち味を大切にし、勝ち負けより内容を重視する。自分のスタイルを確立していく。

    ・高度情報化社会
    莫大な量の情報。
    スーパーコンピューター>プロ棋士の時代。計算力では勝てない。←[強い]機械、若年、熟年 [弱い]→ スパコンが「直感」「大局観」を身に付ける時代も遠くない。

    ⇒コンピュータが苦手な分野…「面白さ」、人間の感情に訴えるもの



    補足:項目
    【目次】
    「直感力」
    第一章 直感は、磨くことができる
    第二章 無理をしない
    第三章 囚われない
    第四章 力を借りる
    第五章 直感と情報
    第六章 あきらめること、あきらめないこと
    第七章 自然体の強さ
    第八章 変えるもの、変えられないもの

    「相手ことを研究するよりも、自分の作戦や型を充実させておいたほうがいい。自分のやり方を求めていくほうが対応しやすいのではないか。相手がこう出てくるからこうしよう、というのではなく、自分はこうするのだということを、きっちり押さえておいたほうがいい」
    「そのための方法は、自分で自分に合ったやり方を研究するしかないという結論至った」

    「大局観」
    第一章 大局観
    -検証と反省
    -感情のコントロールはどこまで必要か
    -リスクを取らないことは最大のリスクである
    -ミスについて
    -挑戦する勇気
    第二章 練習と集中力
    -集中力とは何か
    -逆境を楽しむこと
    -毎日の練習がもたらす効果
    -教える事について
    -繰り返しの大切さ
    第三章 負けること
    -負け方について
    -記憶とは何か
    -検索について
    -知識とは
    -直感について
    -確率について
    -今にわかる
    第四章 運・不運の捉え方
    -運について
    -ゲンを担ぐか
    -スターの資質
    -所有について
    第五章 理論・セオリー・感情
    -勝利の前進
    -将棋とチェスの比較
    -コンピュータと将棋
    -逆転について
    -ブラック・スワン
    -格言から学ぶこと
    -世代について

    P234「将棋を取り巻くトレンドにどれだけ大きな変化があったとしても、基本的に我々棋士たちがやるべきことは変わらない。対局に臨んだら、その時その時の局面で、自分ができることを精一杯やるだけだ。その結果がどうであろうと、それは自分ではいかんともしがたいことなのである。」

    「決断力」
    第一章 勝機は誰にもある
    第二章 直感の七割は正しい
    第三章 勝負に生かす「集中力」
    第四章 「選ぶ」情報、「捨てる」情報
    第五章 才能とは継続できる情熱である。
    p165
    「たとえば、コンピュータが必勝法を見つけ出したとしても、それを人間が理解することはできないだろう。だからそんなことよりも、面白い将棋がいい。」
    P8「すぐに勝ち負けがはっきりする勝負より、最後までぎりぎり均衡が保たれている、どんな結果になるかわからない、そんな勝負が理想である。どうせ見るのなら面白いドラマを見てみたい。」

  • 【こんな方にお勧め】
    羽生さんのファンという方、また、過去の羽生さんの著書を読んで楽しく読めたという方

    【おすすめのポイント】
    サクッと読める部分が一番のおすすめポイントになります。
    あとは、将棋を例に挙げられている事例について、自分の仕事や課題に置き換えて読むことができれば多くの学びがあります。

  • 羽生さんの考え方が書かれている。
    幼少期から天才と言われていた羽生棋士。
    年とともに俯瞰する考え方が出てきている。

  • 目次を眺めただけでも、好きな単語やフレーズが並んでいた。案の定、内容もしっくり来るものだった。『すぐに成果や結果が出なくとも、集中すべき事柄を頭の片隅に置き、思い出すだけでも違いが出てくるのではないだろうか』に同感。この四六時中少しだけでも意識するということが、長期にわたり集中力を維持する中では大切なスキルのひとつであることは間違いない。『実力がないのであれば、要は実力を上げればいい。それには一生懸命努力するしかない。運に頼っていてはダメだ。一生懸命頑張って、根本的な地力をつけるしかない』にも強く同感。『過去に誰かが通ったとか結論のあるなしといったことを中心に考えるのではなく、自分が行けると思うかどうか、自分自身の判断や意志に重心を置く』という考え方にも共感。そこには言葉を返せば、「自分なら行ける」という存在意義が必要だと読み取れる。アウトプットのツールとしてSNSの利用価値を挙げているが、これは個人的にも実践上同意する。『自分の意識や意図と離れたところであらわれるその個性こそが、総合的な自分の「力」なのではないだろうか』にある、『総合的な自分の力』に磨きを掛け続けなければならないと、改めて気分を鼓舞された気持ちになった。購入。

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著者プロフィール

1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ。1982年、関東奨励会に6級で入会。1985年12月、プロ四段に。1989年、19歳で竜王獲得。これが初タイトルとなる。以降、数々のタイトルを獲得。1996年には、当時の七大タイトル(竜王・名人・棋聖・王位・王座・棋王・王将)全冠独占の快挙を成し遂げる。2017年に、八大タイトル戦のうち永世称号の制度を設けている7タイトル戦すべてで資格を得る、史上初の「永世七冠」を達成した。タイトル獲得は通算99期、棋戦優勝45 回(ともに2022 年6月時点)。主な表彰として、2007 年特別将棋栄誉賞(通算1000 勝達成)、2018 年国民栄誉賞、同年紫綬褒章。さらに2022年、史上初の通算1500勝を達成し、特別将棋栄誉敢闘賞を受賞。将棋大賞は最優秀棋士賞など多数受賞。

「2022年 『改訂版 羽生善治のこども将棋入門 中盤の戦い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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