幕間(まくあい)のモノローグ

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569848532

感想・レビュー・書評

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  • ベテラン俳優の南雲が、生徒、共演者、スタッフの中で起こる事件を解決する話。
    最後全てが繋がるのかとか考えて読んだが、肩透かしを食らった状態だった。でも、読みやすい。

    終始メガネに触れられていたが、答えが出せなかったのが悔しい。
    多様な役者仲間、監督と役者、役者とマネージャーなどの関係が興味深い。ミザンセヌ

  • 最後まで馴染めなかった。

  • 教場に次ぐシリーズになるのか!アクターズスクールの俳優兼講師、南雲草介が何処からともなく登場して、謎解きとなる物語。博学的な説明は、これはメモしておこうかと思ってしまうことも沢山有りましたよ。

  • アクターズスクールの生徒たちに起こる事件やトラブルを講師である現役プロ俳優・南雲草介が独特の手法で解決していく連作集。
    南雲の言動は一見奇異に思えるが、実は鋭く核心をついている。しかも生徒に寄り添う気持ちも込められている。
    南雲に「教場」の風間教官と重なるものを感じたが、あちらは厳しい規律で統一行動を目指す警察学校が舞台で、こちらは個性で競争するアクターたちの世界となっている。一方は、警察官を目指す者にしか体験できない閉鎖的空間、他方は俳優を目指す者に必要な資質、発声練習、それに業界用語など裏舞台が描かれ、一般人がなかなか知り得ない世界が垣間見られる点で共通したものがある。
    しかし、主人公の言動があまりにも奇をてらいすぎて、ついていけない感じがしたのも事実。

  • 目新しい視点だけど、よく考えてみたらお巡りさんがアクターに置き換わっただけか。緊急事態宣言が気になり、集中出来ないまま読了。

  • 行間から立ち上る緊迫感。緻密に仕掛けるトリック。南雲の鋭い観察眼と洞察力には舌を巻いた。風間教官とはまた違う魅力でカッコいい。心理学的要素を含むストーリー。

  • これまで警察官、消防士、救急救命士、弁護士、医師などを題材に、仕事の矜持と現場ならではの臨場感をミステリ仕立てで描いてきた作者が、「芸能」の現場で起きる事件やトラブルを描いた作品。

    俳優志望者が売れっ子俳優になることの難しさ、大物と言われる人の凄さ、裏方の苦労など日頃知ることのない世界は興味深いが、主人公のベテラン俳優・南雲草介が探偵よろしく謎を解いていくミステリとしてはちょっと弱い。
    ひき逃げ、引ったくり、暴行、シャブ中と限られた人間関係の中でこれだけの犯罪が起こるのもリアリティにかけるし、何より解いた謎がショボい。

    やっぱり、個人的な趣味かもしれないけど、いつものように警察官や消防官の厳しい世界での仕事への矜持を読みたいな〜。

  •  毎回着眼点に唸らされる、長岡弘樹さんの短編ミステリ。今回の探偵役の職業は、ベテラン俳優。長岡作品としてはひねりがない気もしないでもないが、内容はやはり長岡流ミステリであった。

     スクリプターを探偵役に据えた前作『つながりません スクリプター事件File』と、空気感は似ている。どちらも映像業界を描いているのだから、当然といえば当然だが、裏方と役者で立場が違えば、違う風景が見えてくる。俳優もまた、スクリプターとは違う意味で、観察力が必要な職業ではあるだろう。

     前作同様、トラブルが多い現場ばかりで苦笑するが、ミステリ性は薄いだろうか。本作収録の各編に、明確な解決編はない。探偵役たるベテラン俳優・南雲も、告発するというより指摘している。相手同様に、読者も南雲の観察眼には畏怖するものの、南雲本人に相手を指弾しようという意図は毛頭ないように思える。

     南雲が優れた役者であろうことは察せられる。役になりきり、作中にも溶け込む南雲というキャラクターが、各編の印象を薄くしているのは否めない。自分が思うに、南雲という俳優は、主演型ではなくバイプレイヤー型なのだろう。決して出すぎず、作品を引き締める。派手な解決編にならないのは、ある意味当然だった。

     本作の最大の謎は、南雲自身の事情であるとだけ書いておこう。「一拍遅れのプロローグ」と「一拍早いエピローグ」。各編に挟まれたこの小編2編を、なぜこのような配置にしたのか。最後まで読み終えて考えてみると、わかったようなわからないような。南雲は食えない男である。読者に簡単に尻尾を掴ませることはないのだ。

     最後の1編は、役者の道を断念して脚本家になった人物の視点で描かれる。役者の資質とは何だろう。「演技力」などと一言で括られることが多いが、では「演技力」の本質とは何か。本作に描かれたのは、事件というより南雲という俳優の流儀だと思う。

  • プロ俳優・南雲が講師として勤めるアクターズスクール。その卒業生達それぞれに襲いかかる事件やトラブル。役者である前に一人の人間として、目の前に直面する出来事にどう対応していくのか。南雲の推理が冴え渡る。

    「教場」で有名な長岡さんの作品ですが、大きく括ってみると、「教場」の役者版のような雰囲気がある印象を受けました。

    ・影の主役がいる。
    ・教え子が主人公となって事件に関わる。
    ・短編ミステリー

    といった共通点はあるのですが、異なっている点も多くあります。「教場」では警察学校の内部を舞台にしていますが、この作品は主にアクターズスクールを卒業した教え子たちがそれぞれの現場を舞台にしています。

    同期の教え子たちが主人公なのですが、一つの章で終わるのではなく、随所随所に「その後」として再登場します。
    その末路が何とも・・・言葉を失うほどの結果だったり、苦さのある結果だったりと複雑な気持ちになりました。
    もちろん、伏線のあるコンパクトなミステリーとしても楽しめました。あまり関係ないと思っていた出来事が後に大きなキーワードとなって登場するので、そういった意味では面白かったです。

    「教場」では、歪んだ正義を正当化しているケースが多く見受けられましたが、こちらは後ろめたさのある正義を正当化しようとするケースが多く見受けられました。
    同じ空気感でしたが、違った陰湿さを味わえた感覚がありました。

    この作品で一番要となる人物がプロ俳優の南雲の存在です。どの章にも、時には主役として、時には影の主役として登場します。その推理力は鋭く、ジャブを入れてくるかのように響いてくるので、重厚感のある存在でした。
    その南雲も秘密を抱えています。それを知った後に映る南雲は、さすが名俳優と思うくらいの演技力・存在感でした。

    ミステリーや人間ドラマだけでなく、役者あるあるも散りばめられていて面白かったです。役者をかじっていた方には、より楽しめるのではと思いました。

  • 不思議な構成のホームズミステリー

    プロローグとエピローグの位置がとても変わってる。最初と最後にないんだもの。

    物語は安楽椅子探偵モノというか、ホームズばりの超能力推理というか、とにかく天啓による真実の暴露みたいな超自然感があるものの、どこお話も俳優さんが主人公だけに新鮮な謎解きが楽しめた。

    連作の興味はメガネだったんだけれど、大きく外さないオチが少し期待外れかもしれない。しかし、スッキリした読後感はさすがの作品だと思う。

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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