書店員と二つの罪

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569848600

感想・レビュー・書評

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  • 実際にあった事件をモチーフにしていることは帯を見た時にうっすら感じていて、内容もかなり真に迫るものがありました。
    現実味のない残酷な罪を犯した人が何を思い、どう感じながら、なぜ罪を犯したのかという点について、民衆は「自分とは違う何か」を期待しがち。
    環境や生まれもったものの違いはあれど、自分と変わりない人間であることに気付かされた作品でした。
    作中に何度も、「差別」についての問いかけがあったように思います。
    作者の思想が垣間見えるような気もしますが、題材ともマッチしており、良かったと思います。
    途中で出てくる「フィクションは祈り」という台詞が出てくるシーンが好きです。
    私自身、フィクション作品に対して現実世界のしんどさを救ってくれるものだと思う部分もあるので、とても共感しました。

  • 書店ガールシリーズからちょっと足を伸ばしてみた。タッチの違うサスペンス仕立ても引き付けられました。

  • 関西出身なのであの事件と結びつけて読んでしまってあまりいい気分で読めなかった。

  • 神戸の事件を思い出しますね。告白本が出た時、私も書店でバイトしていてうちは置くのかと呆れた記憶があります。だからと言って何もしなかったですが。
    正和は関係者でもあるから尚更だけど、葛藤した書店員もいたんだろうなあ。
    そういう視点からの事件の進め方は興味深かったです。
    子どものためなら正義なんて二の次という正和母の気持ち、私としてはよく分かります。結末にも納得です。
    ただ、本の中で「今さらなぜ告白本を」と疑問に思う声がありますが、この本自体も事件を蒸し返すみたいで・・・どうなんでしょうか。

  • 内容も結末も気持ちのいいものではなかった…

  • 読みやすく、時間さえあれば一気読みできちゃいます。

    某事件を思い出しつつ読みました。

    少年Aにもっとスポットを当てて欲しいと思ったのですが、これは、少年犯罪を犯した周りの人達の葛藤の話ですね。

    途中ヘイト本に対する場面があったけど、あんな明確な言い方で表現しなくても良かったんじゃないかなぁ〜と思いました。
    考え方がどちらに傾いていても、私は偏ってると捉えてしまう。

    結局は『その人の主張』なんだから。

    本屋や図書館はあくまでも個人的な思想ではなく、選択肢は平等に与えられて、思想を選択できる場として存在していて欲しい。

    排除というパフォーマンスではなく。

    怒り狂った客のオジさんと、叫びながら返品箱に本を投げ入れる彼らの違いがわたしには無いように思う。


    だって

    見たくないものは誰しもが
    何かしら必ずあるわけで。

  • 展開が気になって、通勤時間に一気読み!
    主人公の、書店員としての正義感と、事件関係者としての憤りやトラウマが入り混じって、どんな結末になるのかと、ページを繰る手が止まらなかった。

    主人公の母親の気持ちも分かるし、主人公の弟や加害者の弟に同情するが、なんと言っても17年前の事件を蒸し返そうとする犯人と出版社に対して、ムカムカする気持ちが止まらない。
    実際の事件でも、被害者家族や、近隣に住んでいたというだけでマスコミに追いかけられる人たちの苦悩は計り知れないものがあるだろう。
    主人公の家族たちが出した結論が、正しいかどうかは議論が分かれると思うが、被害者家族のことを考えると、これで最善だったのではと思う。

    下世話な暴露本に対する出版社や書店の葛藤も、読めてよかった。

  • 面白かった。面白すぎた。休日に読み始めたのをいいことに、イッキ読みしました。面白かった…。

    わたしは西日本の某県に住んでいるので、某事件を彷彿とさせなくもなかったんやけど、もしかして(恐ろしい話やけど)この手の少年犯罪ってわりとどこでもあるんかもしれへんな…。いやほんまそれ恐ろしい話やわ…。

    著者の本はどれも好きやけど、今までにないタッチやったような気がする。そもそも、男性目線の本を読むのも珍しいかも? 違う?

    たぶん、あのあたりが怪しい…、とか、こういうオチがくるかも…、とか、たしょう予想はできるし、また
    「まさかそんな展開!?」
    と、いうこともないねんけど、もうページをめくる手が止まらん。

    あえて言うなら、最後のページやったかもしれへん。
    ここまでこれほどドラマティック(?)サスペンスホラー(?)な展開やったのに、すべてのまとめ方がほんまに著者らしいというか何というか…。

    少年犯罪についての話ではなかった。犯罪者の周辺に対するマスコミの圧の話でもなかった。

    ノンフィクションに対するモラル。でも、出版の自由は守られるべきやから、それに対して作られた本に対してどう真摯であるべきなのか、そのあたりが深く考えさせられるのが、とにかく著者ならでは。

    読む立場のわたしとしては、やっぱり読む自由は守られるべきなんやろうけど……。

    今までわたしはこういった「犯罪者の手記」的なものは読んでこなかったので、よくわからん。
    たぶん今後も読みたいとはなかなか思わんやろうし…。

    自己啓発本もさほど得意でない。よほど面白いと言われてたら手に取るけど、読み始めてもわりと途中で飽きつつ読んでる。(笑。ごめんやで)

    物語が好きで読書をしてるから、ノンフィクションに対する意欲はあまりないんよね。
    ノンフィクションなんて現実でおなか一杯。そんな現実から逃避するために読書をするのに、現実そのままの本なんていらねえなー。わたしは。笑

    (この本はノンフィクション本ではないのよ!)

  • 碧野圭さんと言えば「書店ガール」この作品はかなり重くて趣は全然違うけれど主人公の勤務先がペガサス書房なのがちょっと嬉しい。言った方が自分が楽。言わない事こそが罰。正義より重い物…辛い展開だった。この家族が これから少しでも救わられるように。

  • 事件の陰に隠されていた真実は悲しい。マスコミの卑しさ、出版界の負の部分、自分勝手な行動に打ちのめされながら読了。
    真実が全てではなく生きていくことこそが大切だ。自分が楽になるための罪の告白は必要ない。疑問を感じながらも、母親の言葉が心に響く。

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著者プロフィール

愛知県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。フリーライター、出版社勤務を経て、2006年『辞めない理由』で作家デビュー。大人気シリーズ作品「書店ガール」は2014年度の静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」を受賞し、翌年「戦う!書店ガール」としてテレビドラマ化され、2016年度吉川英治文庫賞にもノミネートされた。他の著作に「銀盤のトレース」シリーズ、「菜の花食堂のささやかな事件簿」シリーズ、『スケートボーイズ』『1939年のアロハシャツ』『書店員と二つの罪』『駒子さんは出世なんてしたくなかった』『跳べ、栄光のクワド』などがある。

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