世界と日本経済大予測2022-23

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569850795

作品紹介・あらすじ

前著『世界と日本経済大予測2021』的中率90%超!人気経済評論ユーチューバーが分析&解説する「知らなきゃヤバイ最新リスク77」。

感想・レビュー・書評

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  • 1つのテーマにつき1〜3ページでまとめられており、とても読みやすい。テーマは米中対立や環境問題など、特段変わったものではないが、それぞれについて新しい知見が提示されており、非常に参考になる。

  • 2022年以降の日本経済や中国、アメリカなどの情勢について。
    着々と海外への覇権を広める中国にも、日本とは比較にならない少子高齢化の波や、人権問題に対する先進国からの締め付けなど、問題が多く必ずしも思い通りにならない。
    アフガニスタンへの進出も入れ込み具合によっては、泥沼になる恐れもとのこと。
    中国の二酸化炭素排出で、実はやる気がなくアメリカへのポーズという考え方も面白いなと思いました。
    一方のアメリカもバイデン政権になり、中国へのあたりの弱さやコロナ政策の失敗など山積み。
    日本もコロナで少子高齢化に加速がかかり、外国からの観光客の減少や労働人口の減少なんかの話もありますが、リモートワークにより、地方への重要性の比重が高まるなど、コロナによって良い面に変わっていく場面も。

    この先の世界の情勢がどうなって行くか不安な部分もありますが、本書の最後にあるような新たなリーダの登場に期待したいです。

  • 大前研一さんの「日本の論点」的な本。キーワードの選び方も論点もバランス良くまとまっていた。渡邉哲也さんのこのシリーズはまた読もう。

    本書で深掘りされているキーワードはどれも自分でも追っているはずなのに、渡邉哲也さんの主張が鮮やか過ぎて、いったい自分は何を見てきたんだ?と反省するとともに驚かされる。この渡邉哲也さんとはどんな人なのか?

    調べてみると、保守系「チャンネル桜」で活躍されている人らしい。書籍をも多い。なるほど、三橋貴明さん、上念司さん、林千勝さんなどの論客に並ぶ人のようだ。このカテゴリーの人たちは弁護士のような雄弁さと芸人のようなキャッチーさをかけ合わせたタレントと認識してる。立ち位置を明確にして、ブラさず、弁論で立ち回る。保守(反グローバリズムなど)、財政出動(MMTなど)、陰謀論(反ユダヤなど)を期待する人たちにとってのアイドル的存在と言える。でも正直、僕はこういう芸風の方々からは距離を取ることにしてる。ダニング・クルーガー効果が働いて「自分だけが知っている(がみんなはまだ気づいていない)という自己重要感」の中毒性があるからだ。実際はダニング・クルーガー効果が示すように「自己重要感(全能感)」は続かない。物事はもっと複雑なのだ。

    だから渡邉哲也さんの主張に目からウロコではあるが、この「世界と日本経済大予測」シリーズくらいに留めておこう。

  • 世界と日本経済の予測について様々な仮説に触れられるが、中には眉唾物もあると感じた。論理や論拠を考えながら読むトレーニングにいいかもしれない。

  • 米国が中国への対抗上、アフガン撤退時に武器を置いていったとする記述に驚いた。

  • 令和4年になって初めてのレビューとなります。この手の本は、出版されてから日を置かないでアップしておかないと意味が無いので、3連休の最後の日となりましたが急遽書くことになりました。

    昨年10月以降はコロナ感染者が順調に減り続けてこのまま終息かと期待していましたが新年早々に裏切られた感があります。今年こそ元に戻る兆しが見られれば良いなと思っております。

    以下は気になったポイントです。

    ・トヨタは2021年9月に世界で約90万台の生産を予定していたが、それを54万台にするとした、新型コロナウィルス感染の再流行が供給に大きな影響を与えるという判断、10月には国内14工場にある27の生産ラインを全て停止するとした、9月には4割減産をした。安価な部品を新興国の東南アジアで生産しているが、モノの生産が止まったから(p17)

    ・中国は2021年9月からの国定教科書の採用に合わせて全ての改革を進め、これに反する行為を行なったものを粛正する方針(全面的な自由の剥奪)を示した、高級消費財などに関する融資を禁止する命令も春令、西洋の文化や教育価値観「普遍的価値」を否定しており、これが今回の文化大革命の根底にある(p26)家庭教師の禁止、外国教育の禁止、外国教師による教育の禁止、ITを使った学習塾の営利事業の禁止、ゲームなどの検閲強化など(p115)

    ・中国は三峡ダムを造り大陸の大きな水の流れを変えた、100万人を超える住民を立ち退かせて、全長600キロの貯水池を建設した。その結果、黄海に流れ込む水の量が減ったことで温暖化を招いた、海水面の上昇により、それまで大雨が降らなかった九州山地の西側、瀬戸内海に大雨被害が出ている(p27)台風も中国大陸に向かうものが出てきた(p28)

    ・効率的な電力利用のために必要なのが「蓄電技術」で、全個体電池が重要となる。現在のリチウム電池に比べて、安全性・耐久性に優れるが、寿命が短い(p32)

    ・再生可能エネルギーによる発電は、実際のエネルギー効率が悪いが、太陽光や風は火力などと異なって無料で利用できるので帳尻が合っていたが、太陽光パネルの原料であるシリコンが5倍も高騰すると、価格メリットが亡くなり意味がない(p38)

    ・各宗教における食の禁忌は宗教的な意味以外に、地域の農業生産量で人口分の食糧を自給する機能がある(p43)

    ・モデルナ、ファイザーによるワクチン開発が進むほど、他の製薬メーカの後退が顕著になる、理由は他の製薬メーカは、それより良い数値が出ないとワクチンが承認されないから(p62)

    ・バイデン政権の「グリーンニューディール=3.5兆ドル」は、太陽光・自然エネルギーに投資するというエネルギー革命であるが、これは机上の空論に終わるだろう、利上げ(テーパリング)が決まっているから、インフレ率が2%を超える状態で景気刺激策を行ったら過剰景気となる、お金の調達のための国債金利は何%となるのか見通しが立たない(p77)

    ・2021年を代表する国際情勢トピックは、アフガニスタンのガニ政権の崩壊、タリバンによる全土掌握、そしてタリバンは中国と接近し、和平協定を結んだ(p87)

    ・現在日本企業が国内で作っているものの多くは、オンリージャパンである、日本でしか作れないものしか国内で作っていない(p104)

    ・そもそもEVには冬の寒い時期にパフォーマンスが落ちるという致命的な欠陥がある、バッテリー性能が下がっている時に、駆動系に加えてヒーターまでも全て電気で賄わねばならず、想定外に早くバッテリーが消耗し外出先で電欠が起こりやすくなる(p127)

    ・中国で資源が枯渇したら何を行うか、習近平が2021年になって70回以上発言した「共同富裕」=共産主義への先祖返り、である(p137)

    ・羽田空港に第三ターミナルが駅、ANAの第二ターミナルの国際化が進み欧米便への長距離便も飛ばしているので、地方空港から韓国を経由するメリットがなくなりつつある、以前は、日本のローカル空港から羽田、そして電車で成田に移動してアメリカに行くのと、地方空港から仁川でトランジットしてアメリカに行くのでは後者が有利であった(p149)

    ・新型コロナウィルス禍によって、EUに国境が再び引かれた、EUは解体状態にある(p157)中国企業傘下にあるラオックスが真っ先に逃げ出した(21年8月に13店舗中、7店舗を閉店)ことには注目に値する、この先、中国からのインバウンドに未来はないと知る「上からの指示」に違いない(p161)

    ・アストラゼネカでさえも赤字になるかもしれない、儲かるのはファイザーやモデルナ、アストラゼネカはメッセンジャーRNAでなく、従来型ワクチンなので、不利だった(p165)

    ・創薬ができる国は日本を含む先進10カ国程度に限定される、製薬は他者からのノウハウの移植でも可能である(p167)2017年から装薬を保険の一部とする考え方に変わってきた

    ・一日あたりの売上高が15万円以下なら1日あたりの協力金額は6万円となる、15万円の売り上げのお店が6万円の純利益を出すのは極めて難しい、せいぜい10%程度であ流ので、60万円の売り上げが必要になる。従ってコロナで苦しんだ飲食店は中小ではなく、セーフティネットから漏れている一定規模の外食産業である(p183)本格的な淘汰はコロナ収束後に訪れる、協力金も雇用調整助成金もなくなれば本来の需要に合わせたマーケット規模にリセットされる(p184)

    2022年1月10日作成

  • ●BEPS(税源侵食と利益移転)国際的な最終課税15%で合意された。これでタックスヘイブンに本社や知的財産権を持つ部門を置き、そこに利益を集中させて各国に税金を払わない体制は壊れていく。
    ●医療制度がない国では、治験に参加すると限定的な保険がもらえることがある。そのため貧困層から多数の応募があって、速やかに研究が進むのだ。
    ●日本では、第一三共、V L Pセラピューティクスジャパン、塩野義製薬、アンジェス、kmバイオロジークスの5社が、国のワクチン生産体制等の事業で採択されている。
    ●カラマハリス副大統領のような極左勢力が必要以上に拡大すると、アンチを生み出して排除の方向に進む。そこを共和党のトランプに付け込まれる可能性は十分にある。
    ●アフガニスタンにおける正規軍=アメリカ軍である。ただし現地で傭兵を雇っており、それがタリバンの場合もある。CIAの現地の工作員も協力者も全て現地民だ。エージェントとしてトムクルーズが潜入しているわけではない。
    ●オンリージャパン。フッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガス(フッ化水素)と言う半導体材料が代表例。
    ●中国の不動産。金利からすれば年収の7倍程度が正常値。現在60倍近い。誰が買うのか?
    ●サムスン電子。半導体の小型化と言う点ではサムスンと台湾TSMCが頭1つ抜けている。アメリカに工場を作る方針を出しており、場合によってはアメリカ企業になるかもしれない。
    ●世界の海運会社の売上高。ベストテンには日本が三社。1 位は中国コスコ。2位はマースク(デンマーク)
    ●テレビでは人気が出るほど出番がなくなる。地方に移ってYouTubeに転身した方が生き残れる?

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著者プロフィール

1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。海外の経済情勢に精通すると同時に内外の経済・政治状況のリサーチと解析に定評があり、2009年に出版した「本当にヤバイ!欧州経済」(彩図社)で欧州危機を警告してベストセラーになる。
近著「山口組分裂と国際金融」「パナマ文書」(徳間書店)「トランプ! ~世界が変わる日本が動く」(ビジネス社)「貧者の一票」(扶桑社)など。

「2017年 『平和ボケ お花畑を論破するリアリストの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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