- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575237009
感想・レビュー・書評
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「ふるさと」「故郷」或いは「家族」にノスタルジーを感じなきゃいけないような強迫観念をメディアを通じて受ける日常。私はそれを感じすぎなのかもしれない。でも人間関係ってそんなに簡単じゃない。
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不動産会社の店舗の店長をしている『遼』は、とあるトラブルの為、突然実家の町の支店に応援に行くことになった。そこは田園が広がる、大きなチョコレート工場がある田舎の町だった。
この町に合わず高校卒業と同時に離れ東京に出た。一年半ぶりに降り立ったこの町は、相変わらず甘い匂いに包まれていた。
常にチョコレートの匂いが漂う町。確かに食事中もその匂いを嗅ぐのは、毎日チョコを食べる私でもキツイかも。
許せないってほど嫌じゃないけれど細かいことが一々引っかかる、そんなことの積み重なり。それが身内なら尚更嫌気がさしてしまう。何となく疎遠になる町、家族。
久しぶりに戻った町で人に接している内に、別の角度から見ることが出来たり、初めは早く東京に戻りたかったのに自分の居場所は無いようで、そんなときにここで必要とされていて気持ちが揺らいだり…でもやっぱり相容れないところもあって。そんなぐらぐらと揺れる気持ちがよく分かった。繊細な心理描写とポジティブな作風とあったけど、まさにその通り。
登場人物もみな温かみがあって憎めない人ばかり。特に『吉村さん』は進行には直接関係はないけれど、主人公の気持ちを整理するポジションで、良いスパイスのように彼が出てくるとピリリと締まる。主人公が「気を許せる相手」と言ってもらえたときは、こっちも嬉しくなったくらい。
ただ一点引っかかったのが、中年(?)女性にに対する視線が厳しすぎやしませんか。四十台半ばの赤チェックのエプロン駄目ですか? -
故郷とは。離れてわかることもある。
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最近はまってる飛鳥井作品。今回はチョコレートの町なんてかわいいタイトルだからファンタジー?と思ったらチョコレート工場がある田舎の町のお話だった。
そんな町の閉鎖的な環境や家族と合わないと思い東京(正しくは川崎)に上京した早瀬遼が仕事のトラブルで故郷の支店に帰るんだけど、早瀬くんとってもいい人だし、同僚の若槻さんや田村くんもいい人だし、彼女の沙知もいい子だしとにかくみんな大人で優しい人ばかりで心が癒された。飛鳥井さんの物語はいつも心が洗われる気がする。
早瀬くん、すごく気が付くしいいやつだけど本当に沙知のこと好きなの?とはちょっと思うけどね。燃えない恋もあるってこと?なんか早瀬くん淡々としてていいやつだけど読めないなぁ。
自分が東京に近いところで生まれ育ったから故郷を愛しているとか、早く東京に行きたいとかそういうことがないから、帰る田舎があるっていうのはちょっと憧れるし、かなり久しぶりに入った焼肉屋で声かけてもらえるとか羨ましい。
それと、本の見開きと終わりの部分のページがシルバー色で、チョコレートの銀紙を思い出した。それもわざとかな?ちょっとほっこりした。 -
タイニータイニーハッピーの感じを田舎町にもっていったような感覚。
おもしろかった。 -
実家のある田舎町に帰った主人公の、知人への遭遇率の高さに笑ってしまう。
実家の家族たちの衣食住への無頓着さもよく分かる。
代わりがたくさんいる東京での、自分の居場所のことも共感。
タイトルに惹かれて読んだが、なかなか良かった。 -
故郷に対して、わたしも早瀬くんと同じような考え方なので、同感しながら読んでしまいました。
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図書館で借りた。
思ったより淡々として
重めの話だったかな?