二千七百の夏と冬(下)

著者 :
  • 双葉社
3.59
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本棚登録 : 371
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238648

感想・レビュー・書評

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  • 4.5 一年に一冊出会えるかの傑作。まるで自分が縄文時代の森や川などの自然の中に居るかのような臨場感でした。縄文時代の終わりの時期に出会った縄文人と渡来系弥生人の物語です。

  • 集落を離れることになったウルク
    因縁のヒグマとの戦いで傷つき倒れた彼を
    保護したのは渡来の弥生人だった。
    弥生の「クニ」で暮らすことになる。

    田で米を育て、家畜を育てる暮らしに驚く。

    現代では、発見された縄文人の骨の横に
    手を繋いだ形で弥生人の女性の骨が見つかった。
    ふたりに何があったのか、何を示すのか

    壮大なファンタジーともいえる作品
    個人的には好きでした。
    ふたりには幸せになって欲しかったなぁ

  • んー

  • 12月-10。4.0点。
    縄文時代の物語。現代と場面転換。
    村を追放された主人公。弥生人の村へ捕らえられる。
    稲作を学び、米を持ち帰ろうと画策するが。

    縄文人の暮らしが、目に浮かぶような面白さ。
    縄文とやよいの違いが、わかるような物語。さすが。
    どんなジャンルを描かせても、非常に面白い作家。

  • 紀元前七世紀、東日本―ピナイ(谷の村)に住むウルクは十五歳。
    野に獣を追い、木の実を集め、天の神に感謝を捧げる日々を送っている。
    近頃ピナイは、海渡りたちがもたらしたという神の実“コーミー”の噂でもちきりだ。だがそれは「災いを招く」と囁かれてもいた。
    そんなある日、ウルクは足を踏み入れた禁忌の南の森でカヒィという名の不思議な少女と出会う。

    最初は入り込みにくかったけど、気づけば夢中でした。

  • 壮大なスケールだった。想像の世界なので、どうしても、私の苦手とするファンタジィに近くなるのは免れない。

  • ピナイの集落を追い出され、一人で生きていくことになったウルク。いつでも食糧が手に入るという不思議な「コーミー」(米)を求めて、巨大なヒグマと戦いながら、高い山を越えていく。

    弥生人の集落にたどり着いたウルクの驚きがリアルで、縄文人の暮らしとの違いが分かりやすい。
    安定した食糧供給が可能になったのとひきかえに、社会に階級が生まれ、他の集落との争いが生まれ、人々がそれまで決してしなかった、人間が人間に弓を向けるという行動が生まれた、というのは物語で読むと説得力と臨場感があった。果たしてこれは、進化したと言えるのだろうか。

    異なる文化を持ち、互いに理解し合うことの難しい二つの社会。
    共に孤独で、強く相手を求めるウルクとカヒィは、どちらの社会でも生きていくことはできず……。
    時折挿入される現代編から、彼らの結末は予想がつくものの、やはり胸を衝かれる思いだった。幾百年、幾千年前であろうと、人が人を想う気持ちは同じなのだと、博物館に展示され記号で呼ばれる骨になった人間にも、かつてせいいっぱい生きた人生があったのだと、改めて感じた。

  • 文明がはたして幸せをもたらすのか?を、現代の私たちにとっても痛い、と思うところを上手くつきながらも、きれいなロマンスになっていたと思う。そこは私の好きな荻原節ならではで、時にユーモアを交え、重くなりすぎないようになっていたと感じた。だけれども、この題材だったならとことんブラックな荻原さんを読んでみたかった気もする。

  • 掟に背いたために村を追われたウルク。
    これまでに超えたことのない山を越え、南を目指す。
    熊との戦いは、ウルクが勝つと分かっていてもハラハラした。
    やがて着いた南の村は、ウルクがいたピナイの村とはすべてが違った。
    恋あり、冒険ありの、縄文から弥生に移る時代の物語。

  • 遠い世界の物語のようで、でも、SFの世界に迷い込むのとも違う。自分の血肉のどこかに、つながっているような。
    2700年もタイムスリップして、むかしむかしの森の音に、風の温度に、血の色に、ヒトの思いに心馳せるときがくるとはおもわなかった。衝撃だった。
    作家という能力はすごいなと改めて。これを映像や実体で目の当たりにしてしまうと、きっとその生々しさに耐えられないとおもうけど。すごく、奥のところにじんと響く物語だった。
    縄文期と弥生期。そうだよなあ、時代はある日突然入れ変わるわけじゃない。江戸から明治だって、区切りはあっても、サムライはその日から消えたわけじゃないもんな。こういう、出会いはあったのかもしれないな。二人がどういう運命になるのか、冒頭から伏線は、知らされてはいるんだけれど、ラストは手に汗握って、二人の逃避行を祈った。その先につながる未来をいっしょに夢見た。
    若い子が読んだらどう思うのかなあ。きいてみたいなぁ。
    ウルクとカヒィの顔を思い浮かべて、なんども胸を熱くした。素晴らしいタイムトリップでした、オススメの上下巻。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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