分かれ道ノストラダムス

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 303
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239867

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ作家さんだけど面白かった。
    主人公と一緒に泣いたり笑ったり胸キュンしたり。
    楽しませてもらった。
    ノストラダムスや『ドニー・ダーゴ』、コニー・ウィリスの作品など懐かしくも大好きなアイテムが出てきて嬉しかった。
    後から八女くんはもろタイプだと気がついた。
    うーん、楽しかったわけだ(笑)

  • 1999年、初恋の人の三回忌を終えた16歳のあさぎ。どうすれば彼は死なずに済んだのかとたらればを探る過程で、本好きの少年八女と知り合う。当時の不安定な世情を思い出してどきどきしながら読みました。後悔なく生きてる人なんて少ないと思う。
    無数の仮定を膨らませては萎んでいって、確かに信じられるものなんてなくて、どうにかこうにか現実と折り合いをつけてくしかない。陸上で溺れるみたいなしんどさがあったけど、折れないあさぎと八女くんが心強かった。からっぽじゃなくなってよかった。「本」が繋いでくれたのがとても好き。

  • 時は1999年、今となっては懐かしいノストラダムスの大予言が(面白半分に?)取りざたされていた時代。中学生時代に好きだった少年を亡くした過去を持つ主人公が、ふとしたきっかけで彼の日記を手に入れたことから、「あったかもしれない未来への分かれ道」について考え出すことに。
    ところが、時を同じくして勢力を広めつつあった新興宗教のきなくさい影が主人公たちの近くに迫り…

    というニュアンスの青春小説プラスミステリの小説です。前作とはまた雰囲気を変え、主人公たちの複雑に入り乱れる感情をメインに描いていて、細やかで傷つきやすいこの世代の心理描写がとても巧いです。

    後半からはきなくさい大人たちの暗躍が表出してかなりバイオレンス風味を増し、なかなかえぐさもある展開へ。この容赦のなさはある意味作者らしい、のかもしれません。善きも悪きも容赦なし、というか。ほのぼのもキレキレも同じ世界線にある、というどこか冷めて見据えているような物語の作り方は、私はとても好みです。

    人生には選択肢が無限大に存在し、間違ったのか正しかったのかわからないまま人生をつづけていかなくてはいけない。けれど今生きている、という選択肢を選んでいるだけで、それだけで正解、といっても良いんじゃないか、と。

    そしてかけがえのないだれかと出会えたという今があるなら、なおのこと。

    そういうキラキラほわり、とした気持ちにさせてくれたので、この本を読んだという選択もまた私にとってはベストでした。こういう好き嫌いだけでない絆で結ばれた少年少女って好物です…ありがとうございました。

  • これは中高生向けの作品ですかね、とはいえ大人でも十分楽しめました。特に後半の展開はハラハラドキドキで、物語の前半からは予想できない内容でした。
    舞台は1999年、世の中的にはノストラダムスの大予言で盛り上がっている、という設定(年齢のせいか、個人的にはそれほど盛り上がった記憶はありませんが…)。主人公の女子高生ネギは友人の基の3回忌で彼の日記を託され、パラレルワールドの存在を知り、基の死の分かれ道がどこにあったのかを探ろうとします。同じクラスの八女君の力も借りながら、やがて八女君の知り合いである久慈さんとつながり、そこから不穏な事件に巻き込まれていくことになります。
    このパラレルワールドへの分かれ道をさがすのが物語の前半とすれば、後半は行方不明になった久慈さんの捜索とカルト教団との対決といった構図で、かなり趣が異なります。ラストはてっきりネギのために生前、基が予約していたバースデーケーキを受け取り彼の想いを知り涙するネギ、という展開かと思っていましたがそうではなかったですね…。
    登場人物としては主人公のネギよりは八女君のほうがキャラとしても秀でた印象で、ネギはだいぶ危なっかしい、八女君や友人たちとの組み合わせでバランスがとれているといったところでしょうか。カウンセラーとして登場する桐は最初からあやしさ満点で「何かある」と思わせる点では非常にわかりやすかったですね。
    青春ミステリーとの評も見受けられますが、どちらかというと高校生が主役の冒険活劇、青春サスペンスといったほうが良いかもしれません。映像化すればそれなりに盛り上がるかもしれません。

  • 強風に木々の葉が揺れ動く様が目に浮かぶ名前の作家さんやなぁーと思って手に取りました。
    内容も嵐やったぁw
    最初は病死した同級生が病死しない方法は無かったのか?っていう平行世界を探すっていうSF的な話なんだなぁーと思って読んでたのに、表題にあるノストラダムスの大予言によって発足された新興宗教団体の事件に巻き込まれていくっていうミステリーやった。
    最後までドキドキの連続で先が気になって、あっという間に読んでしまったw
    中学生たちが大奮闘する青春ミステリをぜひ❤︎

  • 一気に読んでしまいました。
    無鉄砲で、身体が先に動く主人公と、落ち着いて思考しながら行動する相棒となる男子生徒のコンビがバランスが取れてて見ていてホッとします。また、主人公の心理描写は揺れ動く様がリアルで共感も得ることが出来ました。

  • 今は懐かしいノストラダムスの予言
    そんな時代のちょっとしたミステリー小説のつもりで読み始めたら話がどんどん展開していって一気に読んでしまった!

    以下、ネタバレ含むあらすじと感想

    1999年7月
    世の中がノストラダムスの予言でザワザワしていた時代の話
    女子高生のあさぎは急逝した友人基の三回忌で彼の残した日記らしきノートを受け取る。
    そこに書かれていた不思議な内容について調べるためにクラスメートの八女君を頼ることに…
    基は事故で亡くなった両親が生き残る道はなかったのかという思考模索をしていたのではないかという話を聞き、あさぎも基が死ななかった未来はなかったのか、その分岐点を探ろうとする。

    パラレルワールド、タイムリープ、そんな話になるのかと思ったけれどそんな訳ではなく、あくまで机上の空論の話。
    でも基の死を受け入れきれなかったあさぎにとって、彼の行動を追体験することは苦しく恐くても止められなかった。
    その過程で仲良くなっていった八女君。八女君の知人のオカルトおたくの久慈さん。
    最初は基の死の謎を探していただけだったが、ひょんなことからあさぎたちは終末思想に捕らわれたカルト集団に狙われることになる。

    ラストの方であさぎがカルト集団に捕まり、X氏が本性を現し始めるとちょっとちゃちく感じ始めたかな でもなかなか読みやすく、ぐいぐい読ませていく感じで飽きずに一気読み。面白かったです。

  • この人って超えてくる。話がわーーーってなる。
    悪い奴は誰なのかあっさりわかったけど、だからっておもしろくなくならない。あんた行ったらあかんでーと、読んでいられなくなり、お風呂休憩をはさんだ。

著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。その他の著書に『分かれ道ノストラダムス』『カミサマはそういない』がある。

「2022年 『ベルリンは晴れているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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