おれは一万石(14)-商武の絆 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575670141

作品紹介・あらすじ

定信が発布した棄捐令(徳政令)に歓喜の声を上げる旗本、御家人だったが、その喜びも長くは続かなかった。大損害を被った札差はじめ、商人が武士に対する貸し渋りをはじめたのだった。高岡河岸に新たな納屋を建てるべく金を借りた正紀だったが――。二か月連続刊行! 好評・書き下ろし時代小説、第14弾!

感想・レビュー・書評

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  • 商武の絆 ー おれは一万石シリーズの14作目
    2020.08発行。字の大きさは…小。

    美濃今尾藩竹腰家の次男の正紀は、天明6年(1786年)下総高岡藩井上家1万石に婿入りし妻・京と一緒に世子として、藩主・井上正国と共に苦しい藩財政をやり繰りしていく物語です。

    此度は、老中首座・松平定信の寛政の改革の一環として「棄捐令」により旗本・御家人の札差への債権放棄と債務繰延べが発令されます。それにより高岡藩でも家臣から棄捐令の発令が望まれますが…。

    【読後】
    棄捐令の話が書かれていて興味深く読んでいたが、途中から高岡藩の江戸家老の実弟・旗本・辻井源四郎が殺人罪の容疑がかけられたら、高岡藩の家臣が容疑者を探し出しに行きます。またいつもの、まずい捕物帖の始まりです。
    千野隆司さんの「おれは一万石」と「入り婿侍商い帖」は、両方共、まずい捕物帖です。
    今回、棄捐令についての物語であればいいのに、穴埋めのように関係ないまずい捕物帖を入れて来るのは信じられないです。

    【豆知識】
    「棄捐令(きえんれい)」は、江戸時代に幕府が財政難に陥った旗本・御家人を救済するために、債権者である札差に対し債権放棄・債務繰延べをさせた武士救済法令です。
    なお、松江藩・加賀藩・佐賀藩など諸藩でも行われました。

    「寛政の棄捐令」
    寛政元年(1789年)に、時の老中・松平定信が寛政の改革の一環として発令したのが最初であり、「天明4年(1784年)以前の借金は債務免除とし、それ以後のものは利子を下げ(これまでの年利18%から3分の1の6%に)、永年賦(長期年賦)を申し付ける」という法令です。さらに以後の法定利率は、年利12%にする。
    この時の棄捐(借金の棒引き)総額は、札差88人から届け出のあった額の合計で、金118万両あまりに達し、1軒平均1万3500両ほどとなります。これは幕府の年間支出とほぼ同額だったと言われています。ただし、当時の札差96人のうち8人が何らかの事情で答申に応じていないため、正確な棄捐総額は明らかになっていないです。
    《Wikipediaより》
    2020.10.04読了

  • 2020年8月双葉文庫刊。書き下ろし。シリーズ14作目。松平定信の棄捐令による事件に巻き込まれた正紀達の対応が興味深い。孝姫が立って歩き出そうとしている様子が数回出てくるが、何歩目かでころんでうええと泣くところとそれを正紀と京の二人で見ているところが面白くて楽しい。

  • 捕物帳めいていて面白く読めた。あいかわらずの台所事情と政策に絡んだ貸し渋りによる貧乏藩の悩みが切実に感じられる。
    江戸時代にはどこの藩も藩士の借金は問題になっていた。借金対策と経済策で乗り切った藩が幕末飛躍したのだから徳川もここ分水嶺だったのかもしれない。
    安定化した主人公たちが今後どうなるのか。次回の楽しみである。

  • どうやら一冊飛ばしているようですがシリーズ14作目。松平定信による棄捐令に揺れる江戸。直接関係のないはずの高岡藩にも影響が。貸し渋りにより当てにしていた金が借りれず納屋建築費用どころか木材買い入れ違約金で借金返済も滞りそう。さらには札差殺しの疑いが身内に。正紀の奮闘が続く。

  • この作品でも出てくるが、武士の世界のあちこち入り組んだ親戚関係って具体的にはどう機能していたんだろう?姻戚関係や養子、等々、特に大名家などはさらに本家や分家、支藩などもあるし混乱しそう。江戸留守居役の仕事にはその辺のこともあるのだろうか?うちの先祖が関宿藩江戸留守居役をやっているので気になるところ。

  • 88
    ネタ切れ近い、、、、?
    今回は面白くなかった。

  • 問題が一気に片付いて良かった。

  • 小手先のバラマキや借金チャラではなぁというお話

  • 第十四弾
    棄損令が発令、幕臣は歓喜するが、商人は?
    反動としての貸し渋り、根本的な対策は出来て無いので商業活動の停滞が
    札差間の貸し借りから殺人が、この事件の犯人に仕立て上げられた身内の旗本

  • 松平定信によって出された棄損令(=徳政令)。札差(金貸し)が旗本に貸していた金の大半が帳消しになり、旗本の暮らしは楽になるかと思われたが、貸した金がかえってこない可能性がある、となれば、札差もおいそれとは金を貸さなくなる。その動きは、他の商人たちへも広がり、経済の流れは一気に悪くなり…と。/「棄損の令によって、お武家様は、貸し金をご返済くださるという信頼をなくしたのです」(桜井屋)/主人公正紀が世子となっている高岡藩も、借りられるあての五十両が入らず、材木代の支払いに困り、国元では高岡藩でも棄損の令を!との声が高まり、利根川増水で藩の納屋にも危機がせまり、家老の弟の冤罪を晴らすための調べもあり…と。/「おれは、高岡藩内に棄損の令を出すのは反対である。貸し渋りをされて銭が回らぬようになるよりも、稼ぐことを考える。承知をいたすがよい」(正紀)/「あのご仁は崇高だが、孤独だ。私はしばらく付き合ってみようと思っている」(松平信明)/「あの人は最後に私を守ろうとしてくれました。稲富家で過ごせというあの言葉が、これからの私の支えになります」(梅)/懸案にも真正面から誠実にぶつかっていき、最後はそれが通じたように道が開けて…と。

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著者プロフィール

1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第12回小説推理新人賞を受賞し、選考委員から“第二の藤沢周平”と賞賛される。以後、時代小説を中心に活躍中。「入り婿侍」シリーズは、評論家の縄田一男氏から「著者の新たな頂点」と絶賛を受けた近年の代表作。他の主なシリーズに「おれは一万石」「出世侍」など。

「2023年 『新・入り婿侍商い帖 お波津の婿(三)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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