- Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582763157
作品紹介・あらすじ
近代英米文学の巨匠たちの"ゲイ小説"を集約。新たな視点による大作家の読み直しとしても、英米文学の「古典」としても、読み応えある作品集。これぞゲイ・キャノン。
感想・レビュー・書評
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19世紀末から20世紀前半にかけての英米ゲイ文学の短篇を集めたアンソロジー。
O・ワイルド「W・H氏の肖像」「幸福な王子」
H・ジェイムズ「密林の野獣」
サキ「ゲイブリエル‐アーネスト」
D・H・ロレンス「プロシア士官」
シャーウッド・アンダソン「手」
E・M・フォースター「永遠の生命」
S・モーム「ルイーズ」「まさかの時の友」
大作家ばかりで全ての作品がすでに邦訳されており、「ゲイ文学」の主題を取り払っても単純に上質な短篇集として楽しめる。O・ワイルドの有罪判決の衝撃が尾を引き続けていた時代で、明白に同性愛を主題にしている作品は多くない。だからこそ「なぜこれがゲイ小説といえるのか」を明らかにする解説が重要になる。「カミング・アウト」と「パッシング」の概念など非常に読みごたえがあるのだが、各作品の解題は分散して作品の後に入れる方がわかりやすかったかもしれない。
お目当ての「密林の野獣」はH・ジェイムズ魂が迸って最高だった。彼については別の機会にじっくり語りたいけれど、じらしにじらされる快感。でもその核心は実はとてもシンプルで、深く共感できる。
もう一つのお目当て「永遠の生命」はE・M・フォースターのおいしい所獲りのような作品。背徳性・耽美性を排し、真摯かつみずみずしく抒情的な彼の同性愛小説がとても好きだ。 -
縦横無尽な読解。
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ゲイ小説…と言っても、正にゲイ小説っていうのもあれば、グレーゾーンなものもある。
ワイルドの『幸福な王子』の王子とツバメまでゲイにされちゃうと…なんだかなぁ。好きな話だけに「ちょっとやめてほしい」って気になる。 -
どこがゲイ小説やねん
ってわからないやつ多数。
『プロシア士官』と『永遠の生命』が印象深かった。 -
好:D.H.ロレンス「プロシア士官」/E.M.フォースター「永遠の生命」
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2015-3-3
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どれも名作揃いのセレクトなだけにゲイという枠に括ってしまうのはちょっと勿体なかったかなあ、という印象。でも多様な読み方ができて、誰もが自分に引き寄せた読みができる、それでいて力を失わないというのが名作の名作足る所以なのかも。そういう意味ではやはりヘンリー・ジェイムズの「密林の野獣」が一番色々な読み方ができそうで一番面白かったかな。