- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582855692
作品紹介・あらすじ
差別は人種主義を基軸として時代ごとに形を変え、現代まで根強く存続するに至る。部落問題から戦後日本の民主主義を問い直す。
感想・レビュー・書評
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歴史好きな人にはオススメ。でも「なぜ部落差別があるのか」の答えを歴史に求めすぎると的を外すと私は思っています…
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自分にとって結局いつもモヤっとしたままになる問題。
被差別部落の起源、江戸時代に権力者が民衆支配のためにつくったものだとか、もっと前、中世の賎民、忌み嫌われるような仕事をしていた人に対する差別意識だとか、世俗の権力や権利義務関係などが及ばない聖域=アジールだ、とか。 -
難しくてむり…
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私がいま最も知的欲求していた「近代部落史」
その新書があるとひょんなきっかけから知り、すぐにアマゾンを介して購入。
タイトルにあるとおり、明治から現代にかけての「部落史」について、
実に忠実に思想的偏りなく淡々と綴られているところが本書の特徴であり、社会科教員必読の書であると感じるところでもある。
筆者の黒川みどりさんについては、著作や論文のみでしか知らない存在であるが、
講演会等が行われているのなら、ぜひとも拝聴してご本人を見てみたいと思う人物である。
今後、本書をベースにして、歴史の授業(近代部落史)を組み立てていきたいなと思う。 -
つくづくに人は属性によって判断され、またそれを権力は巧みに利用する。適合とか適応というのは文化の多様性を無くし、臭いものに蓋をするだけのその場のしのぎにしかならない。恐れとはやはりコミュニケーションの欠乏なのか。
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身近に明確に存在せず、だから積極的に知ろうとしないまま、いままで自分の意見を持てていなかった部落問題。この本を読んで、身近に存在するかしないかに関わらず、日本の近代を俯瞰する時に避けて通れない問題なんだと強く感じた。
また、人の中には他者を差別することで自己を保持する、本能に近い感情があると感じた。それは「優越感」とか「事故防衛本能」といった言葉に姿を変えて日常に巣食っている。
「自分より下」の人間を想定することで安心する人間の愚かさに情けなさと吐き気にも似た嫌悪感が湧き上がった。 -
部落問題についての本です。
この難しい問題を巡っての近代史が書かれています。やや冗長ですが興味深いです。 -
民衆は避けていた。今後部落問題というのは世界の中でも注目すべき点であろう。グローバリゼーションの中で部落問題をどのように捉えるべきかを考える。
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本屋で見かけて、図書館で借りようかな~と思ったものの、時間がかかりそうなので、読みたいしーと買った本。「歴史学」で部落問題にアプローチした本、ということになるらしい。
▼…「解放令」に始まる近代においては社会の構成員が、そしてときには時の権力も、被差別部落の存在を巧みに利用することによって、部落差別を維持してきたのであり、その差別の根拠は、被差別部落の起源に求められることが多いという現実がある…。「人種がちがう」「民族がちがう」といった誤った認識はもとより、そのような人種や民族のちがいを言い立てる起源論がまちがいであることを知っている人びとも、しばしば、「血筋がちがう」「一族の血がけがれる」「家柄がちがう」などと…出自に関わる理由をもちだし、とりわけ結婚において被差別部落出身者を執拗に排除してきたのである。(pp.11-12)
黒川さんは、「人種がちがう」「民族がちがう」などの起源論による"生まれの線引き"は、「解放令」によって取り払われた"生まれながらの線引き"に代わりうるものとして、差別を欲する民衆が創造したものだという。
この「人種が違う」という"人種主義"を軸に、差別は時代ごとに姿を変えながら現代まで根強く残っている、というのが黒川さんの主張といえるだろうか。
図書館の本にはめったについてこない帯には、こう書いてある。
部落問題は終わっていない
近代の日本社会に取り憑く病理の根源を解き明かす
問題の所在をトータルに明かす通史決定版!
個人的には、戦前の婦人水平社の話や、戦後の婦人部たちあげの話をもっと読みたいな~と思った。「二重三重の差別と圧迫」の告発は、1920年代末までの婦人水平社の短い活動期間のなかですでにおこなわれていた。
『同和はこわい考』の藤田さんが主張してきた「両側」から超えるという話、そして「部落民」とは何かという問いについても、むかし読んだちょっと古い本をまた読んでみようかなと思った。
差別を欲するというそのココロは、どんなものか。黒川さんの書くように、自己を安泰に置くためなのか。
誤字発見:p.230、狭山事件について述べたくだりの「見込み操作」→「見込み捜査」