- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591108758
作品紹介・あらすじ
京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ-。
感想・レビュー・書評
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2022/09/06読了
#森見登美彦作品
恋愛小説?
全編が手紙の内容で構成される作品。
ギャグ要素強めだけど
私の年齢的には青過ぎた。苦笑
相手の手紙がブラインドされてるので
いろんな想像や予想を掻き立てて楽しい。
初恋の文通相手が実は伊吹さんオチかと
思ったけどそうじゃないのね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
能登半島の研究所へ飛ばされた大学院生、守田一郎の手紙。友人、先輩、妹、家庭教師をしていた小学生、それから森見登美彦まで!それぞれに宛てた書簡は、それぞれに味があって面白い。ただ、私は途中で飽きてしまった…。しかしながら、こんなボキャブラリーに富んだ手紙が書けるようになりたいと心から思う。
最近、鴨川デルタ辺りでちょっとした事件があると「また、阿呆な京大生か(笑)」と思うようになってしまったのは、森見氏や万城目さんの刷り込みのせいだと思えてならない。(←京大生を履き違えているね(^_^;)) -
手紙の、しかも(基本)送る手紙だけで構成された稀有な1冊。
これで恋文の技術が習得できるのか?!できないのか?!そこは賛否両論な小説。
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“教授による愛のある修行”のため、京都の大学から遠くの実験所に飛ばされた大学院生・守田一郎。
孤独を埋めるべく、そして恋文を書く技術を習得すべく、京都の仲間たちへ手紙を書きまくる日々だったのだが…。
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「夜の無人駅に立ちつくし、ひとり終電を待つ俺をあたためてくれる人もいない。」(八ページ)
冒頭のページにあるこの一文に、まずしびれました。
「夜・無人駅・立ちつくす・ひとり・終電・あたためてくれる人なし」
一文の中に、さらっと含まれる孤独のキラーワード!圧倒的な哀愁漂う孤独!
尾崎放哉の「咳をしても一人」に匹敵する、独りのわびしさを伝える名文です。
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さて、この小説は最初に説明したように、9割が主人公・守田一郎の書いた手紙で構成されています。
手紙を書く相手は何人かいるものの、相手からの返信は載せられておらず、守田一郎が相手に書いた手紙のみで、基本的に話が進んでいきます。
にも関わらず、何が起こったか、相手からの返信はどうだったのか、そして相手はどんな人物なのかが明瞭にイメージできてしまうという、なんとも不思議な小説です。
そして守田一郎が想いを寄せるヒロイン・伊吹夏子にいたっては、一度も伊吹夏子本人からの書簡はきません。
なぜなら、守田一郎は伊吹夏子に想いを伝える効果的な恋文をしたためることができず、苦悩しているからです。
だから当たり前のことなのですが、出さない手紙に返信はきません。
にも関わらず、ヒロインとして守田一郎の語りだけで伊吹夏子は燦然と輝く乙女ヒロインとしてこの本のなかに存在しているのだから、これはすごいことです。
ちなみに、わたしが好きな書簡は、「伊吹夏子さんへ 失敗書簡集 其の九」です。
この九までくるための、前置きの書簡がすごく効いているため、もうこの九を読むとぐっときてしまうのです。
ああもう、キュンとしちまったじゃねーか!ちっきしょー!!!(ハンカチをかみしめながら悔やみつつ叫ぶ)
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ひとつだけ難点をあげるとすれば、後半にいけばいくほど、デジャヴ感が強くなることでしょうか。
実験所にきてから起こった出来事を、文通相手に合わせて手紙に書いているのですが、その書き分けは見事なものの、出来事としてはおなじことを書いているため、「またこの出来事、いちから説明されるのか…」と、正直飽きがでてきてしまいました。
飽きる部分はあるので△だけど、おもしろい。
「恋文の技術」は、そんなヘンテコふしぎな☆4つ小説です。 -
たまにはLINEメールDMだけじゃなくて手紙を書いて送るということもしてみたいと思った。文通楽しそう。
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大学院生の主人公は今、金沢でクラゲの研究をしている。
京都にいる大学時代の友人や、妹、家庭教師をしていた少年などにそれぞれ宛てた手紙を通して話は進んでいく。
まさに森見登美彦ワールドですね。
ちょっとシュールで独特の世界観。
主人公が誠実なんだけれど、なんかずれててそれも面白さの一つ。
この独特の空気感が好みの分かれる所ではなかろうか。
言葉の選び方は秀逸だけれども、
爆笑するところなんてなかったし、笑いを狙って書かれているシュール感。
ここがハマるかハマらないか、それこそが森見登美彦ワールドですね。
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3.4
初、森見登美彦さん
全編手紙ということで、評価も高く期待していましたが、
うーん、私の笑いのツボが違うのか、期待が大きすぎたのか
ものすごく面白いという所までは感じませんでした。
でも、森見登美彦さんはまた別の作品もチャレンジしてみたいです。 -
面白くて笑える。内容が全て差し出した手紙。
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手紙の文面だけ物語が構成されているので読み手の「空想する余白」がある。
手紙の登場人物の動きを想像して、クスッと笑ってしまうのは、手紙ならではの楽しみ。
それでちゃんと人物相関やストーリーが分かるのだから面白い!
私も文通趣味だから分かるが、返事が来る前に手紙を書いたり、ただ滾々と自分の思いを書き連ねることある。
でも顔見知りの友人ならまだしも、SNSで知り合った顔知らぬ方々にはそれが難しい。
必ず質問形式で文面を埋め尽くさなくてもいいんだよね!もっと守田くんみたいに自由に手紙書いて良いんだよねって改めて思わされた。 -
題名からさぞ甘い話なのかと思っていたが、笑える。
主人公が出した手紙のみで相手の返信は描かれていなくても、状況がイメージ出来て面白かった。 -
一人の人が書く、手紙形式で進んでいく小説。
面白かった。本でこんなにクスクス笑ったの初めてかも。
登場人物がみんな魅力的でした。 -
おもしろいじゃないか。
責任とれ。 -
手紙がそのままストーリーになっているのは斬新でした。主人公が破茶滅茶なので、それが好きになれるかどうかで好みが分かれるかもしれません。
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手紙の内容だけでストーリーを展開されており、新鮮だった。
「ただなんとなく、相手とつながりたがってる言葉だけが、ポツンと空に浮かんでる」
手紙は一方通行でも、その分気持ちを素直に表現できると思った。
自分も誰かに手紙を書いてみたくなった。
失敗書簡集のとこは勉強してる人の横で笑いを堪えるのに必死だった。
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送った手紙だけで物語が成立してるのがほんとすごい。
守田くんの恋が成就しますように。 -
森見節全開で大好き
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まさに森見節のオンパレード。全編手紙というともすればだれがちな構成なのだけど、「もういいかな」と思いそうなところでちょっと面白い仕掛けを作っているので、飽きることなく一気に読める。
何か起こることを予感させたまま終わるラストも秀逸。 -
大学院生の守田一郎が、友人・先輩・家庭教師をしていた小学生・妹・森見登美彦に宛てた手紙で物語が進展していく。
特に訴えかけられるものはないのだけれど、面白い。
文面は恋文ではなく、ただの手紙。しかも主人公から送られるものだけであるにも関わらず、情景が思い浮かんでくる。
学生時代って、こんなアホなことしてたなーと思いながらも、文通をしてみたくなった。 -
『夜は短し〜』を読んだのが、もう何年前かなーと思いながらこちらを手に取った。あの頃の単純に読書を楽しむ感覚が蘇らないからなのか、読んでいてワクワクしたりドキドキしたりおっもしろいなーと感じられなかった。クスッと笑えるところはたくさんあったけど、それだけ。しかも、面白いに決まってるんだから笑わなくちゃ、というわけのわからない脅迫観念のようなものに動かされて、口の端を仕方なくあげる感じ。おかしいな。面白いはずなのに。私の感覚が鈍いんだろうな。
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なんだろなぁ…
くだらないといえば本当にその通り。
内容がまるで無い、、
他の本をたくさんリンクさせるのは良いんだけど、させすぎで、世界が狭すぎる気もする。
しかし、言葉の選び方が絶妙!
プロだから当たり前なんだろうけど、すごいなぁ〜とひたすら感心しました。
手紙が書きたくなる!
でもAmazonのレビューが良すぎて、森見ファンは酔ってる人が多いのかなぁ…?
それとも自分がユーモアを楽しめない心のスレたやつなのかもしれません…。がっくし -
これを読むと恋文の技術が向上して意中の相手を籠絡できるようになるかどうかはさておき、手紙を書いてみたくなります。これマジで。
誰か文通しませんか?(笑)
それにしても昔は小・中学生向けの雑誌(『小学6年生』など)なんかにペンパル募集のコーナーがあって、名前も住所も普通に載ってたような気が。今の時代からは考えられないけど。
とりあえず風船に手紙を付けて飛ばそっかな。 -
阿保になれる幸せ。
阿保で素敵な新地平。 -
森見氏の本の中でたぶん一番好き。読むととにかく手紙が書きたくなる。ひたすら守田一郎氏があらゆる人に手紙を書いているだけ……なんだけど、相手の手紙がなくとも内容が想像できるのが楽しい。失敗書簡集で爆笑したあとのラスト2章はぐっと来る。そうだ、手紙を書こう。
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手に取るまで、美女と竹林的エッセイだと勝手に思い込んでいた。笑
これまで、往復書簡で物語が展開される作品は読んだことがあったけど、片方の手紙だけで全編展開されるというのは初めてのパターンでした。面白かった!!
ずっと同じ人物が手紙を書いているけど、ちゃんと物事の移ろいや空気感が浮かび上がってきて、最後まで楽しく読めました。
最後の一番期待していた手紙が、尻すぼみで終わってしまった感があるのが残念だけど、成就した恋ほど語るに値しないものはないと言ってのける彼の姿勢の表れか、と理解しました。いや、おっぱいを経て果たして成就したのかはナゾですが。。。
そして自身を黒髪の乙女たちに人気の小説家として登場させてくるところも、おいおい!と突っ込みつつ面白い手法だなぁと思いました。
読み終わると、とっても文通がしたくなる作品。
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一筆啓上。文通万歳!――人生の荒海に漕ぎ出す勇気をもてず、波打ち際で右往左往する大学院生・守田一郎。教授の差し金で、京都の大学から能登半島の海辺にある実験所に飛ばされた守田は、「文通武者修行」と称して、京都にいる仲間や先輩、妹たちに次から次へと手紙を書きまくる。手紙のなかで、恋の相談に乗り、喧嘩をし、説教を垂れる日々。しかし、いちばん手紙を書きたい相手にはなかなか書けずにいるのだった。
青春の可笑しくてほろ苦い屈託満載の、新・書簡体小説。 -
25歳独り身の実家ぐらし女子が、気安く机の上にこの本を置きっ放しにするとどういうことが起きるか。
訝しげな表情と嘲笑を合わせたたえた母に、何を企んでいる、と問いただされます。
これは、作品の内容とは全く関係のない、たわいもない話です。
作品に関しては、書簡のみで綴られ、恋文の技術を磨くイチロー・モリタ(阿呆な主人公)から、相手へ向けた文面で話が進むので、相手から具体的にどんな返信が届いているかは、時折鍵カッコで引用される文章他は、読者の想像とイチロー・モリタの、これでもかという返信の綴り方から読み解くしかなく、でもしかし、うまい具合に書簡故のどこまでが本当で、どこまでが捏造、若しくは妄想、嘘、嘘、愚痴、暴言、くたばれ!糞野郎!目糞鼻糞虫!なのかも、読みての楽しみであったり、なかったり。
森見作品らしく、愛も変わらず、阿呆で助平で、下らなさを完全装備した登場人物の面々、文章という、複雑ながらま、言葉のニュアンスや、音からうまれる美しさが、様々に散りばめられていたり、いなかったり。
読んだからと言って、何か明日から頑張ろう!と思える内容であるような、ないような、どちらかといえば無いかもしれないけれども、愉しいです。
愉しいです。