- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591113837
作品紹介・あらすじ
斉木杉子、十一歳。自分の言葉を持つがゆえに学校に居場所のない少女は、「学校なんてなけりゃいい」と思った。そして、自宅の庭に生えるナツメの古木に呼びかける。時々、心にねじをまくように。ハロウ-(「氷の海のガレオン」)。ヤングアダルト小説ファンの間で「何度も読み返したくなる一作」として語り継がれてきた名作に、書き下ろしを加えて文庫化。
感想・レビュー・書評
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“自らを天才だと信じて疑わないひとりのむすめがありました。斉木杉子。十一歳。ーわたしのことです”
【氷の海のガレオン】
杉子のうちにはテレビが無い
図書室は、ある
なんの仕事をしてるのかわからないパパと
いつも忙しそうにしてる詩人のママと
兄貴と弟のスズキと暮らす
学校に行くと、みんながバカに見える
杉子が読んでる本の話に誰もついてこられない
学校の子達は、かれしがほしいとか
かわいい服が欲しいとか
色付きリップとか
そんなことばっかり
杉子にはまったくおもしろいと思えない
私はだれともつるみたくないんだ
だから、一人で本を読む
ときどき心にネジを巻くように
庭に生えてるナツメの古木“ハロウ”に呼びかける
そうやって杉子は自分を抱きしめる
思春期に、みんなと違うことが怖かった時がある
でも、みんなと違うことに誇りも持ってた
自分がやりたいと思わないことを
することが本当に嫌で
小学校の卒業式に、一人だけ私服で写真に写っていることは、実は誇らしい
杉子みたいに、うまく周りに合わせられなくて
変わってるねって言われて、区別されて
自分が間違ってるんじゃないか?って
思ってしまう子供達、元子供達にこそ
この小説はあると思う
【オルタ】
“想像してください。
あなたは今、小学校一年生。六歳の女の子です”
オルタは学校で隣の席の貴大くんに
スカートをめくられたり、えんぴつでピストルみたいに狙われたりします
なぜだかは、わからない
毎日頭の上に「?」をつけて帰ってきます
おそらく、アスペルガーに片足をつっこんでるんだろう。母はそう思ってます。でも診断はつけない。つけたところで、グレーゾーンに置かれるだけ
がっこう、いくのやだ?
やだ
じゃいかなくていいよ
やったー!
“オルタがちゃんと、自分で自分をかしこくしてゆけさえすれば、どんなやり方だってかまわない。
そしてそれは、この国のひとびとに、求めている種類のかしこさでなくってかまわない”
いろんな方法で子供は強くなるし
きっとそれは大人も同じだ
なにか違和感を感じてる人の背中をそっと撫でてくれるような物語に思う
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クラスになじめない、というかクラスメイトの話す言葉自体がなんだか自分と違っていて、違和感を感じ、浮いてしまっている杉子11歳。違和感と闘い続ける杉子。友達がいない杉子。言葉の通じなさというか会話の出来なさが小学校時代の自分にそっくりで驚いた。
みんなが楽しんでいることを楽しいと思えない自分はきっと楽しいという言葉を理解していないのだろうな、と私は考えていた。そんなことを思い出した。そして振り返るとやっぱり自分のこととは思えない。自分が変わったとか強くなったとかそういうことじゃなく、ああいう期間って誰にとってもきっと「誰かほかの人の夢」を見ているような感覚でしか思い出せない期間なのかな。
もう一編の「オルタ」もとてもよかった。自閉傾向のあるわが子と同じく自閉傾向が強いクラスメイトとのいさかいを母親目線で描いた作品。 -
おかあさん向けでもあると思う。
つか、 普通って何だよ? みたいな。
「学校」を「会社」「家族」あたりに読み替えてみたり。 -
ハードカバー版にはないオルタが読みたくて買ったんだけど良かった……。私は好き。何とかうまくやってこれた(り、うまくできなくて軋轢生じさせたりした)けど、こども時代を生き抜くのは大変だよなあと、大人になった今、思う。
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気がついた。はみ出し者の話が好きなのだと。
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学校や人に対する葛藤 すき
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奥歯さんのブログから。
同じように社会に戸惑いや、恐怖を感じている人に読んでもらいたい本。
ただ、『氷の海のガレオン』の11歳の杉子は殻を破って成長の兆しを見せるが、
『オルタ』の6歳のオルタは幼い故の壊れやすさから関わりを放棄してしまった。
正論はあっても正解はない。
一般的なモラルを放棄した登場人物たちに
眉をひそめる人もいると思うが、
自分自身も過去に学校という強制されたコミュニティの中で
虐げられ、困惑したから気持ちはわかる。
現実世界にいるのたくさんの彼、彼女たちが
どのような選択においても幸せな道を歩めるよう祈るばかり。 -
小さな世界の平凡な少女の癖に妙な選民意識をもった主人公とその家族が鼻につきまくり。
あのねえ・・・。自分を「変わってる」なんて言う奴って、ほんとたいしたことないのよ。
自分がほかの子と違うって、いや、それは思い込みで、大差ないから。
こういう子は(家庭環境はともかく)クラスに一人はいます。
それを増長させる父、音楽教師。
最低ですね。
私も本好きで友達いない子どもだった。
学校も大嫌いだった。
けれど、成長するにつれ、学校や社会と調和しながら、他人の価値観を認めつつ自分を磨く人、才能のある人がたくさんいると知って、自分の狭量さ、自意識過剰を心から恥ずかしく思った。
「オルタ」も不愉快。
学校はね、もちろんやな教師や生徒もたくさんいますよ。
でもいい教師や友人も皆無じゃない。
自分から心を閉ざしては、出会うべき人に出会えなくなる。
まあ、こういう子ってほんといっぱいいるから、「私って間違ってない」と勇気づけるって意味はあるのかもしれないが。
ほんとにとんがった女の子の話が読みたいならマヤ・ヴォイチェホフスカを読みなさい。
こんなの読まなくてよい。 -
周りの友人の・学校の「普通」に馴染めない女の子のおはなし。
自分のことを「周りの皆とちょっと違う」「普通じゃないかも…」って、感じる時って、意外と誰でもあるのではないかなぁ、と思っています。自分も結構そう感じて生きてきた気がするし。笑
何が「普通」なのかって、分かっているようで、分からないなー。
「自分って、他の人と比べてちょっと変かも…」と思って悩んでいる子どもたちに読んでみてもらいたい本。