虹色ドロップ

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 35
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119709

作品紹介・あらすじ

あまくて、からくて、しょっぱくて、ちゃっぴり苦くて、やっぱりあまい。主婦で会社員で小学生二人の母親で、映画監督の妻で作家。5つの顔をもつ夏石鈴子の毎日。心にしみこむエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 人間だもの。

    誰にだって重なるやな事あると思う。

    人の不幸を聞いて比べて

    自分の方がまだマシだ…


    なんてホッと安心したくはないから

    私は彼女に同情しない。

    大変気の毒な目に合ってる事実を彼女が書くから

    私は読むけど

    気になる事はといえば

    (夏石さんっ、そのピンチどうやって乗り切るつもりなんですかっ?!ハラハラ…)

    それくらいだ。

     ↑

    やっぱ心配。


    じっとしててもしょうがない。

    まずは、気持ちを上向きにさせねば!

    と考えた著者は本屋へと向かう。

    そこで目についた本が


    さくらももこ著

    「ももこのおもしろ宝石手帖」だ。

    (これはnice choice!!)

    その本を読んで甚く感動した著者のとった行動に、私は見惚れて…いや、読み惚れてしまった。

    (宝石なんてお金持ちマダムの装飾品に過ぎないじゃない。)

    なんてそれまでの私の思い込みも

    宝石に対しての無関心もすべて打ち砕かれ

    今すぐにでも

    宝石屋へと(宝石屋って…)走り出したくなる程の衝動に駆られてしまった。

    心動かす何かに惹かれたときは、その直感に従ってみる勇気が必要なのかも知れませんね。

    著者は手に入れたガーネットの指輪を左指にはめ、さっと高く掲げる。

    それは石に魅了され、翻弄されている人間の行為ではなく

    信頼出来るパートナーを得て

    新たなる出航の為に真っ白な帆を揚げるかのような、

    清々しくも力強い意思の表れだ。


    ガーネットってノアの方舟で灯火の役目を果たしていたらしいですよ。

    しっかりと進むべき道を照らす赤い石と…

    それを信じて強く生きようとする意思と。

  • 914.6書評もあり

  • 自分ととっても似た感覚だと思った。「そうそう」「わかるっ!!」と思う事がいっぱいあって、すごく楽しかった。だけど途中からなんだかすごく・・・苦しい気持ちになってしまったのは何故かしら。文中に出てくる、湧き出る不満を目にしているからかしら?それを「仕方無い事」と自分でならして生きている様子にかしら?なんだか・・共感しすぎて苦しくなってしまいました。まだ「道の途中」という感じが伝わって来て苦しくなるのです。
    彼女の小説より、もっとエッセイが読みたいと思いました。
    付箋がいっぱいです。
    マネしたいなぁと思ったのは創香家の金澤明美さんに”その年一年を支えてもらう香水を作ってもらうこと”。カウンセリングをしてダウジングをして、その人に必要な香を作ってくれる人が居るなんて・・・。私も是非作って欲しいと思ってしまった。
    「新解」さんに惚れて居る人がここにも居ました~♪嬉しかったなぁ。

  • 角田光代さんが書評で紹介していたので読んでみました。
    ひどく人間くさいエッセイ集です。正直な人、という印象。
    いくらでも婉曲に表現したり、自分を良く見せようと書くことはできるのに(それが作家の力量であるとも思いますが)。共感できる部分もできない部分もあって、でもちょっと憎めない。夏石さんそのものというかんじの本。

    心の中に三センチくらいの高倉健さんが住んでいるというエピソードや、手がかかりやりきれない気持ちになることもあるけれど、かわいいお子さんとのエピソードが良かったです。子育て中の方は読むと共感できるかも?

  • たなぞうで教えていただいた本です。で、夏石鈴子さんって初めて!と思いながら読んでいたら、途中で、あれ??この方は新解さんの鈴木マキコさんじゃないの!(*^_^*) と判明。私、新解さんそのものも好きだけど、彼女のさっぱりした語り口とそうそう、そこそこ!という痒い所をかいてくれるピンポイント攻撃がとても好きで、編集者ということだけどもっと彼女について知りたいと思ってたんですよね。\(^o^)/こんな風に思いもかけない再会があって嬉しいです。「虹色ドロップ」は、仕事を持ち、子ども二人も育てながら文章も書いておられる夏石さんの日常の思いや書評をまとめた一冊でした。(なんと、ご主人は荒戸 源次郎監督。近作の「人間失格」には新しい主人公像を与えられて戸惑いつつも面白がることができました。)夏石さんの文章って、自分目線だけのお話にならないところがいいなぁ、と・・。なんか理不尽なことに巻き込まれても、ヒステリックにならず、かといって、あちらもこちらも立てるような「物のわかった穏やかな人」というわけでもなく。結構、辛辣に憤った後でたとえば「原則にはずれたことをすれば、やっぱりそれなりのことってあるんでしょ。」なんてさらっといなしてしまうあたりがね。(*^_^*)これは、長年、ご主人と籍を入れないで同居してきたことに対する役所、その他のあれこれに対するお話なんだけど、社会のいわゆるルールとは違ったところで生きる人って、自分こそが自然な姿なんだ、なんでそんな私を世間はわかってくれない!と居丈高になることが多いような気がするから、こんな、柳に風みたいな言い方が好ましく感じられたんでしょう。主婦としての愚痴や夫へのあれこれの思い、好きな本映画の話など、誰でも書けそうな内容なのに、これは夏石さんにしか書けないなぁ、と思わされてしまうのは、文章の進み方の面白さとそんな彼女の視点がツボだ、ということからだと思います。夏石鈴子さんとしては、私、このエッセイが初めてだったので、これからたくさん読むことができそうで嬉しい。ただ、後書きにパニック障害です、とあったのが、その後どうされているのか、と気にかかります。養生されて治っておられるといいんですけどね。

  • カラフルでかわいらしい表紙は、夏石さんの著作を多く手掛けている霜田あゆ美さんによるもの。ページ左下にそれぞれちょこんと添えられたイラストにも和みました。夏石さん久しぶりのエッセイ!彼女の視点はとてもユニークで、読みながら何度もププっとさせられた。痛快です。
    それにしても夏石さん、毎日どんなにか慌ただしいことだろう。会社に勤め、二人の子供の世話をし、合間をぬうように家事、そして執筆。「もう〜」と牛になってしまう気持ち、本当によくわかる。うまく物事が運ばないことだってしょっちゅうだ、でも夏石さんのエッセイは決して愚痴っぽくない、湿っぽくない。かといって無理に前向きなわけでもない、わざとらしい自然体でもない。しんどいことをしんどいと言いつつも、淡々としていて、おかしくて、やさしくて。
    夏石さんが、デビュー作の表紙を手掛けてくださった恩人の大橋歩さんに、子供を連れて会いに行ったとき。「わたし、大橋さんのエッセイにどれだけ支えられたか、わかりません」と言ったらくーっと涙が出てきた、という場面で、私も泣いた。夏石さんがお風呂で、大橋さんのエッセイを繰り返し読んだのと同じように、私も育児でしんどいとき、夏石さんのエッセイには支えられてきた。そしてこのエッセイも、笑ったり泣いたりしながら読み、少し呼吸が楽になったように思う。
    エッセイ以外に書評も収録されているが、これもまた「はっ」とするほど目の付け所がユニークで、すごく新鮮だった。紹介されている本を、ことごとく読みたくなる。「本」に対して、「作家」という仕事に対して、すごく真摯に向き合っている人なんだなぁと思う。そんな彼女の姿勢を素敵だと思う。
    色とりどりのきれいなドロップを、口の中で転がして味わうような気持ちで読めました。そばにあるとなんだか安心する、素朴なおいしさにほっとする、まさにドロップのような一冊です。

  • 大好きな作家のエッセイ集。思っていること、書かれていることが自分の心に響いてきて、私は夏石さんに手紙を書きたくなりました。あんなこと、こんなこと、日常の生活で常々思っていることなんかを打ち明けてみたい。この本を読んでああそうかと納得したり、きっぱり書いて下ってあって、すっきりさせてもらったお礼も言いたい。それから、あとがきで夏石さんが体調を崩されたとあったのでとても心配。ゆっくり治して回復されることを心から祈っております。

  • 作家、夏石鈴子のエッセイ集+書評集だ。
    婦人雑誌に連載されていたものなどが主で、初出は何年前のものもある。
    彼女の人生はけっこう変わっていると思うんだけど、さらりとそれを流しているところが凄い。
    彼女の作品は地に足のついたところがあると思っていたけれど、それは現役で会社員生活を営んでいるからなのかなと思った。でも本人の生活が地に足ついているかと言えばかなりぶっ飛んでいるのがおかしい。
    風水にはまったり、「作家先生」だったら言えないようなミーハーぶりも正直にさらしていて、なんだか親しみがもてる。

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著者プロフィール

1963年生まれ。著書は『バイブを買いに』、『いらっしゃいませ』、『新解さんの読み方』、『新解さんリターンズ』、『今日もやっぱり処女でした』(日本図書館協会選定図書)、『きのうと同じに見えるけど』などがある。

「2010年 『愛情日誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夏石鈴子の作品

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