活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫 ほ 4-4)

  • ポプラ社
4.30
  • (171)
  • (148)
  • (46)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 1355
感想 : 129
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591159996

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2022.1.23
    あっという間に読み終わってしまった。
    生と死。人との繋がり。再生。未来に言葉を残すということ。
    かなり重い話も多かったけど、それでも生きててよかったと思う登場人物に感動しました。

  • シリーズ完結編。
    予想通り、最後の章は弓子視点でした。
    でも個人的に印象に残ったのは、最初の章の「星をつなぐ線」に出てくる星座早見盤。
    どんなに素敵なものなのか見てみたい!

    私は次のシリーズの月光荘シリーズを先に読み始めてしまったので、この巻で浮草や街の木の地図のことを詳しく知ることができて、なんだか不思議なかんじです。
    今また月光荘を読み直したら、また心持ちが違いそう。

    1人で細々と始めた活版印刷屋さんが、色んな人と繋がって、やれる仕事も広がっていって、静かだけど強く優しい物語だったなぁ。

    「慣れたことだけしてたらダメなんだ」って言葉、三日月堂でも月光荘でも何度か出てきた気がする。
    川越を舞台にしているシリーズ全体のテーマなのかな。

  • 三日月堂の集大成。活版印刷を通じて、木々が生い茂るようにどんどん人の輪が広がっていく。時が経てば朽ちていく葉もあるが、彼らが残した言葉は残り、新たな養分として、遠くにいる人の明日を生きる活力になり、身近な人の心に残り続け代々受け継がれていくだろう。

  • このシリーズは大好きで読み進んできたけど、今回の巻はウルっとくるシーンがなかった。少し飽きてきたのかも。番外編は、続けてすぐに読もうとは思わないなぁ。

  • みんないい人で・・・
    そりゃ、そうなるよね
    あまりにもいいお話過ぎる

  • 図書館で。シリーズ一応終了の巻なのかな。
    雲のエッセイの話はちょっとしんみり。そして川越に行きたくなりました。そんな良い所なのか。大分前ですが佐原に遊びに行った時も情緒あふれる良い街だなぁと思ったのですがあんな感じなんだろうか。小江戸というのか。

    それぞれの縁が繋がって本が一冊出来るのかぁと思うと感慨深い。さらにオマケなのか続巻が出ているようなのでそれも楽しみ。

    そう言えば私が子供の頃は学級文庫とか冊子はゲラ版とか言うので刷ってたなぁとふと思いだしました。鉛筆だかボールペンだかで複写式のに清書して。今は普通にコピー製本なんだろうなぁ…

  • 水上さんの書籍化への葛藤が深かった。
    最後は恋のキューピッドにもなっていたし、いい人だった。

  • 読み終わった後に気になって帯を見てうわぁ、となりました。そういう感じじゃないよね…?

    それ以上にうわぁ、ってなった登場人物は水上さんの別れた彼女の親御さん。
    非常に現代的なご両親ですね。はいはい。


    前作から一転、書き急いでいるような。
    要素が素直に繋がりすぎ、というか。水上さんがもう少し、全編を通じて出てきていれば…とは思うのだけど、仕組み的に最終章でようやく弓子さんが語り部になるので、それは難しいか。
    エピソード的には星をつなぐ線、が好きだけど(プラネタリウム行きたい)、
    街の木の地図、はなんだかこのシリーズそのものの構造を表しているみたいで良いな、と思いました。街を書いている。
    シリーズ通して素敵でした。せめぎ合って☆3.4というところ。




    さて。

    言葉は、受け手がどう受け止めるかがすべて、と云われたりするけれど、
    本当に大切なひととの間で交わされる言葉って、そのひとと自分と、ふたりのもので。
    もっと気取った云い方をするなら、ふたりだけのもの、とも云える。
    例えそれでどちらかが傷付いたとして、その傷もふたりの傷であって、
    その傷を恐れずに、いや恐れてるんだけどそれでも、自分の言葉とそのひとの言葉とで、繋がっていたい。
    それはある種、自分の言葉に対する矜持であり、相手の言葉に対する敬意であると思っている。
    …病膏肓である。

    詩や小説ですら、それは同じことで。
    ほんとうに自分だけの言葉で、自分だけへの興味で、何かを書けるひとなんてそうは居なくて。
    紡がれた自分の言葉、の中に、誰か、が内面化されている。内面化されて、居る。
    それは確かにとても危険なことでもあるけれど、そんなふうな相手と出会えるということはそれはもう、どんな形であれ、僥倖であると思う。
    大切にする、というのは、ちやほやするのとは違うのだ。

    偶然居合わせた池袋梟書茶房の講演会で石田衣良が、尊敬する作家は居ますか? という質問に対して、
    「小説家の仕事というのは、文句の付けようのない完璧な人間のが、実は水虫なんだよね、というその水虫を探すような仕事なんです。だから誰かを手放しに尊敬なんてしません」
    という旨の返答をしていて、
    先ず質問に苦笑いだったオレはその返答にものすごく共感していたのだけれどそれはほんとにそうで。

    自分、あるいは自分の言葉、と云うツールで、全く未知の存在、それは誰かであり何かであり、もしかしたら自分自身であるかもしれないのだけれど、そういった未知の存在を解体していく。そういう書き方もある。

    或いはこれも逆順で、

    そういった解体に、どうしたって言葉を用いるしか術がない、どうにも言葉を振るっていきたい、生きたい。
    もしかしたらそれはつまり、言葉を遣うしか能がないということなのかもしれないけれど…

    いやそれならそれで良いよ、うん(笑



    ねぇ、そうでしょ?
    オレ達のことばは
    いつだって
    オレ達のものだ。

  • ほっとするシリーズでしたが、読み始めてあっという間に最終巻。一人で戻ってきたはずの弓子も色んな縁に恵まれてこれからも、地に足のついた人生を歩んでいくのだろう、と思える最後でした。私的に・・・ですが、今生きている人を死なせる必要はなかった気がする。こういう温かさを前面に出したお話では、時折こういう死なせ方をする印象があります。物語を盛り上げるためだけに、作中とはいえ人が死ぬのは好きではなないなぁ。私として、です。

  •  シリーズ完結。

     収まるところに収まったって感じです。

     女子大生の二人は、得したなって感じで。ただ、素人が古本屋って難しそう。

著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ほしおさなえの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×