- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784596550828
感想・レビュー・書評
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ダーティヒーローを書かせたら、
この人の筆力に勝るものはないなぁ。
裏切り者として追い込まれていく主人公。
市警本部長、警部、判事、弁護士、そして市長。
誰もが、金と保身のために他人を蹴落とす。
ニューヨーク市警はカルテルだ、と言い切るマローン刑事部長。
正義と悪は、人を裁く剣の表裏。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仲間を裏切りネズミに堕ちるヒーロー警察官を主人公に据えるなど、およそ読者の共感も得にくいような大胆な設定の真意は、本書で明らかになる。下巻ではしかも、上巻で淡々と描かれただけの悪事の背景まで説明されるし、一歩ずつ一線を越えていく前の、お巡りとしての人生を歩み出すスタート地点も回想で描かれているため、上巻で断念した読者には本書の魅力が半分も伝わらないと思う。とにかく黙って最後まで読むしかない。それにしても乱暴で下品な会話の中に、一瞬で酔わせるような気の利いた台詞が次々と挟まれる。翻訳の素晴らしさも感じた。
「メディアを相手にしたときは、こっちから餌を与えるか、自分が餌になるか、そのどちらかしかない」
「裏切りに通じるトアは、往々にして嘘をついたときではなく、真実を話さなかったときに開くものだ」
「流れた血はもうどこにも戻せない」
「行き着く先もわかってた。だけど、いったいぜんたいどうやってこんなところまで来ちまったんだ?」
「もういいだろ? おれはこれから子供たちを抱きしめられるだけ抱きしめようと思ってるんでな」 -
翻訳が読みずらい
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一部二部と分かれるような重厚な大作映画を見終わったような読後感。素晴らしいエンタメ小説だった。下巻は一気にラストまで、ページをめくるのももどかしく読み進んだ。上の人間はそのやり方を知ろうともせず、ただただやれという。何をしているのかわかったうえで、行きつく先もわかったうえで、人は一歩ずつ堕ちていく。NYを、愛する人を、守りたかった、ただそれだけのはずなのに。行きつくところまで行ってももちろんマローンはそのままでは終わらない。でも彼のひりひりする感情に寄り添った私に残ったのは、やるせなさと悲しさだった。
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ウィンズロウ、凄いや。終盤はドキドキハラハラが止まらない。読後、いろんな感情が渦巻いて、言葉が出てこない。前のめりでオススメしちゃう一冊に。
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2018.12.19-2018.12.23
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間違いなく傑作。