戦後日本のアジア外交

著者 :
  • ミネルヴァ書房
4.40
  • (2)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 41
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623072163

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 薄めの見た目につられて軽い気持ちで(目的は軽くはないけれど)読み始めたら、とても重厚だった。なかなか進まなかったけれど、それはそれで理解て活かそうとした結果だと思う。

    国と国の関係は、単に二国間の問題ではなく、それぞれの国が他の多くの国との関係において決めた方針や状況に応じて決まるのだなあということが、改めてよくわかった。
    「前と言っていることが違うじゃないか」と感じることも、相手国が別の、とくに隣国との間の状況に違いがあることに起因することが多い。

    日本の大臣クラスが配慮にかける言動で更迭されることがしばしばあるが、他国の言動もそれなりにひどいなと思う。それぞれが自国のこと優先で考えると、全体としてよろしくない方向に行ってしまう。他国の状況も見ないといけないし、国内世論も見ないといけないし、非常に舵取りが難しい。

    思っていた以上に米国とソ連(ロシア)の影響と干渉は大きかった。中国からみたソ連はとても大きな脅威であり、ソ連の硬軟により中国の対応の振れ幅も大きくならざるをえないのかなと感じた。同じ社会主義だったのに。

  •  日本外交の通史としても読めるが、特にアジア外交が中心。しかし一口にアジア外交と言っても、扱う期間は19世紀末から現在までと長く、また外交の相手先をざっくり分けただけでも中国、半島、東南アジアがあり、さらには域外の米ソそれぞれが独立変数となっている。しっかり中身の詰まった本だった。
     そんな中で序章にある「今日のイメージから過去を捉えるのではなく、それぞれの時代を内在的に理解」する重要性を認識した。国際的又は各国国内でのイデオロギー対立、域外プレイヤー米ソの政策、そして域内での日本と中国の地位、いずれも時代により異なっており、その中で在韓米軍撤退による日韓接近・日米は中国の対越武力行使黙認(いずれも70年代後半)等、現在から見ると驚くような時代もあった。
     また、90年代のEAECや鳩山政権の「東アジア共同体」構想だけを考えると、対米外交とアジア外交はしばしば対立しがちと思いやすい。しかし本書を通して読むと、前者が後者の土台(講和条約と日米安保が地域の秩序安定に寄与)、前者が後者を推進(日韓・日中国交正常化)、また後者が前者を補完(日本の経済援助が米国の冷戦戦略に寄与)、関係なし(池田政権での一定の「自主外交」の余地)と、実に多彩であることが分かる。

  • 319.102||Mi

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:319.102//Mi73

  • 外交とはほんとうに複雑にして困難なものだと改めて認識しました。外向きにはその時その時の各国の利害と、内向きには野党や反主流派との調整や妥協とが絡みあう中で繰り広げられる、そのダイナミズムに圧倒されます。歴史認識、領土、従軍慰安婦や強制労働に対する補償等、いまだに解決しない問題が山積であります。相手の言うことにまったく耳を貸さないような態度では解決しようがないのであります。わたしたち国民は過去に実際どのようなことがあったのか真摯に受け止め、被害者であると同時に加害者でもあることを認識しなければなりません。

  • 東2法経図・開架 319.1A/Mi73s//K

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1968年東京都生まれ。92年、立教大学法学部を卒業後、96年までNHK記者。2001年、一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在は上智大学教授。著書に『バンドン会議と日本のアジア復帰』(草思社、2001年)、『戦後アジア秩序の模索と日本』(創文社、2004年、サントリー学芸賞・中曽根康弘賞受賞)、『現代日本外交史』(中公新書、2016年)、共編著として『戦後日本のアジア外交』(ミネルヴァ書房、2015年、国際開発研究大来賞受賞)、『普天間・辺野古 歪められた二〇年』(集英社新書、2016年)などがある。

「2017年 『増補 海洋国家日本の戦後史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮城大蔵の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×