懐良親王:日にそへてのかれんとのみ思ふ身に (ミネルヴァ日本評伝選)

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  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623087419

作品紹介・あらすじ

懐良親王(1329年?から1383年)南北朝時代の皇族。
九州が歴史の牽引力となったり、新しい時代のさきがけとなったりしてきた事例は枚挙にいとまない。本書は、後醍醐天皇の皇子として征西大将軍に任ぜられた懐良親王の生 涯をたどりつつ、南朝を強力に支えた九州の南北朝時代の特質を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 令旨の分析を中心に懐良親王の足跡を辿ることで、南北朝時代九州における征西府の軌跡が浮かんでくる。人としては五条頼元・菊池武光の存在、外的要因としては観応の擾乱における足利直冬下向の影響が大きかったと思わされる。

  • その昔、北方謙三の「武王の門」にハマり、実像を知りたくなり、何冊か手に取ってきたけど、決定版のような評伝が登場。/征西府全盛期は文書をのこしてない、軌跡をつかみづらい、菊池武光。/征西府が長門に攻め込み惨敗した事実はこの本では触れられず、実際はなかったのか。/そして、征西府の絶頂期に、兄の宗良親王に送った和歌から、京都に攻め上がり南朝の覇権を打ち立てるのが難しい情勢のなか、何のための九州統一かという虚しい思いがあったことを推し量る。/南北朝時代の九州を、「反中央」「中央直結思考」という背反した理念から説明/南朝勢力の全国的な衰微の中で懷良率いる九州南朝が隆盛を誇れたのは、与えられた裁量権が軍勢の結集と組織化に大きく奏功したから/南九州における直冬方勢力の隆盛は直冬側の驍将で長期に薩摩大隅日向で軍事行動に専念していた畠山直顕の功績が大きい/菊池武澄の政治軍事信仰宗教については阿蘇品保夫「改訂新版菊池一族」第4章惣領を補佐した3人、に詳しい/征西府の統治機関としての実質は守護によって担われているというのが実態/南朝は一時的に懷良を「征夷大将軍」に任命して、征西府に軍事的テコ入れを行ったのであろう。しかし懷良は征西府の隆盛にもかかわらず心の中ではすでに戦いに対する嫌悪感を抱いていて、そういう南朝の措置を帰って煩わしく思ったのではなかろうか(p.250-1)/

  • 東2法経図・6F開架:289/Mi43/198/K

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著者プロフィール

1949年、長崎県生まれ。九州大学大学院博士課程中途退学。福岡大学名誉教授。文学博士(1985年 九州大学)。専門は中世日本の政治と文化。著書に、『太平記の群像』『闇の歴史、後南朝』『室町幕府崩壊』(角川ソフィア文庫)、『足利尊氏』『足利直義』(角川選書)、『南朝全史』(講談社選書メチエ)、『戦争の日本史8 南北朝の動乱』(吉川弘文館)、『後醍醐天皇』(中公新書)、『増補改訂 南北朝期公武関係史の研究』(思文閣出版)など多数。

「2023年 『足利義満』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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