- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652079409
作品紹介・あらすじ
人は最後に何を求め、何処に帰って行きたくなるのだろう。風は生命を運び、風は生命を散らす。死を宣告された麻酔科医が、故郷のガーデンで交わした風との言葉。
感想・レビュー・書評
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ドラマを見て読みたいと思った本です。
末期がんに侵された医者が、数年前に妻が自殺した事が原因で父親に勘当され、北海道富良野市にいる家族とは絶縁していた。
姉の勧めでその家族のもとに戻って、残りの人生を家族のそばで過ごしたいと富良野を訪れる。
ドラマのタイトルロールから、美しいイングリッシュガーデンの花園が映し出され、風のようにそのガーデンを、カメラのアングルが通り過ぎていくのが、心魅かれるのです。
富良野の四季の美しさが映像で、印象に残ります。
そして毎回、ドラマの題名は花の名前。
知らない花の名前もありました。
出演者も、主人公の医者に中井貴一、緒形拳、黒木メイサなど。
そんなわけで、図書館で『風のガーデン』を借りて読んでみた。
「人間は人生の最期にどこに帰るのか」がテーマなのだそうです。(う~ん、重い)
死を目前にした一人の麻酔科医を主人公に、「人が最期に帰る場所」を描くドラマです。
タイトルにもある「ガーデン」には、三途の川を渡るところの向こう側に見える花園、という意味合いがあって、どうやってそこへ行き着くのか、つまりどう最期の時を迎えるのか、ということを描いてみたいと。家庭崩壊、ターミナルケアなど、今の日本で問題になっていることをベースに据えながら、死ぬということについて考えた作品です。(倉本 聰のインタビューより)
前に書いたとおり…末期がんの麻酔科医 貞美(中井貴一)の最期。かつて妻を自殺に追いやった同僚の妻との不倫相手に出した手紙が、回想として描かれていく。
あの素敵な花のイングリッシュガーデンを、娘の結婚式場としてエスコートしていく貞美。やっと家族として受け入れられ、幸せなひと時を過ごしていく。
その後、寝たきりになり最期を勘当を許された父親に看取られる。
その最期に言った言葉、「死後の世界はありますか?」
父親である在宅訪問医 貞三(緒方拳)が答えた言葉、「あると信じたい。」
その言葉を聞いて、安心して旅立った貞美。
その3ヶ月後、貞美の遺言で現在の恋人であった歌手 茜(平原綾香)にカンパチュラの押し花が届けられる。
倉本さんの本は、何とも言えない優しい気持ちが読書の後に流れるのですが、この本はちょっと違うようにも感じます。
きれい事では済まない自分の心を見つめる時、すべてのことが死を前に清算されるということはない。
それでも自分が死に対する恐れをどう向き合って、最期の時をどこで誰と過ごすのか。
主人公は、その天国に咲く花園の中に立つことができるか、そんなことを書いてあります。
重いテーマですが、重さを感じない淡々とした文章で書かれています。
ドラマは映像で本の中にはない情景が、目の前に広がっています。
本で人の心理描写を読み解き、本の文字では読み取れない映像がドラマで描かれて、、、
久方ぶりに印象に残った本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
富良野などを舞台とした作品です。
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物語自体のテーマは重く、暗く思われがちですが主人公の明るさ、セリフの軽快さが絶妙なバランスだったので心地よく読めました。やはり倉本聰さんは巧いな…と思います。
ドラマが放送される前にすべて読んでしまったのですが、映像化されても私の期待を全く裏切らないものでした。 -
倉本先生から直筆のサインの入った本をもらいました。
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09/03/09読了
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フジテレビ系列で放送されている
風のガーデンのシナリオです
人は人生の最後に何を求めるのか・・・
それは生まれ育った場所
大切な人々
旅立ちは1人だけど
それまでの残された時間を優しさで包まれたい
そんなことを感じました