一〇五度

著者 :
  • あすなろ書房
3.68
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本棚登録 : 397
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751528730

感想・レビュー・書評

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  • 105度というタイトルから温度しか連想できず、読み進めるうちにそれが角度を表していることに、目から鱗でした。それも、椅子の背もたれの角度というだけでなく、人と人との関係、お互い支え合う関係をも表していて、上手くタイトルが活きているところはグッド!
    ストーリーとしては、職人の祖父、理解のない父、天真爛漫な弟、という配置などなんとなく既視感あり。パートナーに女性性の低い女子を持ってきたのは今風だとは思う、けど、どうなんだろう?

  • 大木戸真。神奈川から東京の小中一貫の進学校に転入してきた椅子マニアの中学3年生。
    一人暮らしの祖父の所に家族で引越してきたのだが、父は本当の親である祖父とは仲が悪い。イス職人であった祖父に反発して、ビジネスマンの道
    を選んだし、真にもそうであるよう強要している。
    しかし、真は椅子が好きだ。
    編入した学校に、スラックスを履いた女子・早川梨々(はやかわりり)と出会う。リリも家が椅子のデザインをして、祖父がモデラーだってこともあって、椅子作りのモデラー志望。
    図書室で椅子の専門書を借りようとしたことから2人は出会い、椅子の話で盛り上がるようになる。
    そして、2人で学生向けの椅子作りのコンペ「全国チェアデザインコンペ」に参加することを決めた。真がデザインし、リリがモデラーとなる。
    大学生も参加するこのコンペ、中学生としてはぜんだいの勝負の行方は?

  • 真、梨々、は椅子屋の環境にいるとはいえ、
    中学3年生でこれほどまでに椅子作りの
    知識があるのはすごい。

    専門的な言葉も多いけど読みやすかった。

  • 2018年課題図書中学生(その1)

  • 2018中学の課題図書。プロダクトデザイナーでもある著者が、男女ペアの中学生がイスのデザインコンペに参加するまでの紆余曲折からコンペ当日までを描いている。
    日本ではあまりデザインというものに対して敬意を払わない傾向があるように感じる。特にファッションデザイン以外の産業製品や建築など、デザイン料という物に対して意識が低い気がするのだが、それは職人文化の延長にあるからなのだろうか?また、女性だからという偏見についても触れられているのが、日本でもこういう事を児童書で取り上げられるようになったのか、と感慨深かった。
    この作品では、夢を貫くことの大変さや形になった時の喜び、デザインを職業にする厳しさなどが著者自身の経験からリアルに書かれている。
    課題図書であるが、ありきたりなテーマではなく、中学時代に出会うと良い本だと思う。
    2018.6

  • 中学生の課題図書。進路のこととか、特に芸術系に進む人にはぜひ読んでほしいなって思った一冊。なれるかわからないものに全力を注ぐのはとても怖いけど、それでも諦められないのが本当にすきってことで、それを続けた人が夢を掴めるんだと思いました。才能ももちろんだけど、運や人脈、タイミングも必要だし、来るべき時に必要なスキルを出せるようにいつでも備えておきたいと思いました。好きなものこそ上手なれとはこのことだなあ。

  • 2018年 読書感想文コンクール課題図書 中学校

    都内中高一貫校に編入した大木戸真は中学3年生。
    イス職人だった祖父の影響もあり、イスをデザインするのが夢。
    しかし、父は大反対。
    弟の力は身体が弱く、学校の勉強も遅れがち。
    母は陰ながら応援してくれるものの、やはり父の影響は大きい。

    学校の図書館で『イスのミュージアム』と言う本を見つけて、早川梨々と出会う。梨々は学校で唯一スラックスを履いている女生徒で、セーディア創業者の孫娘。
    二人は意気投合して、全国学生チェアデザインコンペに参加することにする。

    やりたいことと進路は違うのか?

    著者佐藤まどかさんは、自身もプロダクトデザイナーとしてイタリアで活躍。


    136ページ 105度にしたいって言ってたな。いい角度だ。軽く寄りかかるのにいいあんばいだ。人間関係だってそうだぞ。そりゃな、90度なら一人で立っていられる。けど、人間関係はそれじゃうまく行かねえんだよ。

    つまりな、そんな具合に、思いっきりだれかに寄りかかると、相手がささえきれなくなっちまう。ちょいと寄りかかる程度がいいんだ。

    でな、向こうも困ったら、こっちにちょいと寄りかかる。向こうとこっちで寄りかかり合って『人』って漢字ができてんだ。人間なんてのは、だれだってだれかに寄りかかって生きてんだよ。一人で直立しているやつなんて、いやしねえ。わかるか?おまえは今、あの子にちょっとどころか、かなり寄りかかってんだよ。なのに、直立して一人で立ってるような顔をしやがる。わかるか?

    ル・コルビジェのLC4
    http://www.cassina-ixc.jp/shop/g/glc4/

    イスのデザイナー
    アメリカ

  • 読書感想文コンクール課題図書(中学生)。中学3年生ペアが椅子のデザインコンペに参加する青春もの。身近に椅子好きだったり家具関係の家に生まれたっていう人がいなかったから、こんなに椅子に詳しい中学生がいるんだあって新鮮でした。インテリア好きだけでなく、詳しい中学生って少ないよねえ。だから、コンペはどうなるかって気になりページが進みました。クリエイティブ、アートな分野を目指す学生さんが読むにはいいかな。その分野で稼いでいる人の意見が聞けたり、親にいかにわかってもらえるかとか。欲を言えば、クラスの仲間のことや主人公の祖父たちのことももう少し絡めて欲しかったけれど。家族とともに自分たちでできることを考え夢に進んで行く姿、実に爽やかでした。

  • 平成30年度の中学生読書感想文課題図書。
    作者はプロダクトデザイナー。

    主人公は、都内の中高一貫校に中3で編入したの真(しん)。転校早々真は、図書館で見ていた椅子の本がきっかけで、スラックスを履いて登校女子早川と知り合いに。真が椅子のデザイナーに早川は椅子のモデラーになりたい事がわかり、チームを組んで学生のチェアデザインコンペに出場することに。

    安定した職業に就くことを望む父親と、好きな事をしたい真との葛藤を通して、読者は好きなことを仕事にすることの是非を考えさせられる。職業体験を通じて進路について考える中学生に、ぴったりの一冊。

  • 2018年読書感想文コンクール中学生の部課題図書。
     今時の中学生は、あんまり本読まないし、これくらい分かりやすくないと読めないでしょ。親が言っても聞いてもらえないような、世間の厳しさが書いてあるし、ドキッとするような危ない描写は全く無いし。工業デザインってのが新しいじゃない?
    という選ぶ側の大人の声が聞こえてきそうな本。
    小説としてはまことにつまらない。これ小説である必要はあるのかな。「デザインを仕事にする」みたいな中高生向けの新書で良くない?
     このコンクールに全生徒が応募するような学校もあるのかも。で、読めない生徒にも薦められる、みたいな基準で選ばれてるとか。読める子どもには明らかにつまらない、物足りない本。教科書レベルの読み取りも難しいような子ども向き。
    しかし、コンクールは課題図書でなくても応募できるのだから、教員や司書が読むのが苦手な子どもにも、読む喜びが味わえるような別の本を与えれば良いと思う。こういう本を読ませるからラノベやゲームの方が学校が薦める本より圧倒的に面白いと思われてしまうんじゃないの?それはその通りだよね。
     全国のほとんどの図書館、学校が買うんだから、もう少し読書の醍醐味を味わえる本を選んで欲しかった。

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著者プロフィール

『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。主な著書に『スーパーキッズ 最低で最高のボクたち』(第28回うつのみやこども賞受賞)『ぼくのネコがロボットになった』『リジェクション 心臓と死体と時速200km』『雨の日が好きな人』(以上、講談社)、『セイギのミカタ』(フレーベル館)、『つくられた心』(ポプラ社)、『一〇五度』(第64回青少年読書感想文全国コンクール中学校部門課題図書)、『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞受賞)、『世界とキレル』(以上、あすなろ書房)など。
イタリア在住。日本児童文学者協会会員。季節風同人。

「2023年 『おはなしサイエンス AI(人工知能) ロボットは泣くのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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