想い雲: みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-3 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434645

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  • シリーズ第3弾。
    順調に営業を続けるつる家にある一人の上方料理人が、常連さんの口利きでやって来る。その人物は澪がかつて仕えていた天満一兆庵の若旦那・佐兵衛を一緒に働いていた人物だった。佐兵衛の行方を知っていると思われる人物に、佐兵衛との再会の望みを託す澪と芳だったが…
    上京し、いろいろな人と出会い、その出会いの中には、いいことばかりではないことも、きちんと描いているのが、この作品の魅力だろう。裏切られても、また前を見て、進んでいく澪の姿に心が打たれる。
    自分も道に悩んでいる時に読むと、さらに澪の姿に頑張ろう!と思わせてくれる。
    そして、つる家を支える面々。
    決して、血のつながりがある訳ではないのに、お互いに支えあい、優しい言葉だけでなく、時には厳しいことも言い合える。今の世の中で忘れられている、何気ない人間関係を思い出させてくれるような気がする。

  • これでもかと試練がやってくるつる家。料理屋として大切なことは何なのか。お客を呼び込むにはアイデアが必要であることなど、試練の中から工夫して美味しい料理を提供する。そして澪の切ない恋の相手の正体がわかる。これからどうなっていくのか、次の巻が待ちきれない。

  • シリーズの三作目。
    常にお客で賑わう『つる家』。様々な出来事が、小さな幸せの中にある澪たちの歯車を狂わせていきます。
    前作で感じた強さは澪になく、まだ残る彼女の幼さばかりが気になりました。

    料理は言わずもがな、『再会』が本作のテーマです。
    偶然の再会、念願の再会、腸が煮えくり返るような再会、安堵の再会。人だけでなくモノとの再会も。白狐に囲まれての再会の場面がとても幻想的で、澪が感じたその場の空気が私の肌にも伝わってきました。

    辛抱と精進。
    澪らに試練を与え、大切に育てていこうとする作者の愛を感じました。
    次、おかわり!

  • みをつくし第三弾。失踪した佐兵衛の手掛かりを知る元料理人の富三が現れるが、佐兵衛の行方は未だ知れず。江戸の時代に女料理人として様々な辛酸を舐めながらも、料理で人を幸せにしたいという誠実な思いで店を切り盛りする澪は応援したくなる。どの話も辛いことがありながらも、少しだけホッコリする。

  • このシリーズを読むと、無性に料理が作りたくなる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「無性に料理が作りたくなる。 」
      無性に和食を食べたくなる。
      「無性に料理が作りたくなる。 」
      無性に和食を食べたくなる。
      2014/06/06
  • 今巻の事件は、つる屋の偽物とふきの弟の健坊の失踪。澪の淡い恋心と美緒の源斉への思慕。どうなることやら?澪の作る料理は楽しい。

  • みをつくし料理帖‐3

    C0193
    いやがらせ、人探し。

  • シリーズ三作目。ここ十冊ほど殺伐とした作品ばかり読んでいたので、本シリーズの清涼感は正に胸に沁み渡る。佐兵衛の行方が澪と芳に不穏な陰を落とす「豊年星」も、小松原の正体に澪が近づく「花一輪」も相変わらず小気味良いが、澪と野江を描く表題作「想い雲」はやはり光る。刹那の邂逅にて野江から発せられる『澪ちゃん』の一声には分かっちゃいるけど胸が熱くなる。澪×又次の【三方よし】コンビのやり取りも軽快で、これまた続きが楽しみになる。安心して楽しめるシリーズだ。

  • 「う」尽くし、鱧の葛叩き、菊花雪、焼き柿......
    さて一体どんな料理だろう?

    今回は行方知れずの若旦那、佐兵衛のことを知っている富三と言う男が登場する。
    この男、一流の料理人のはずだが、どうにも様子がおかしい。
    包丁の研ぎ方、彼が語る佐兵衛の姿、人探しの代償。
    確かに吉原は人を変える。
    しかし富蔵が語る佐兵衛は、あの穏やかな若旦那の姿とは似ても似つかない。

    そして澪が料理人として認められる一件となるのが、鱧だ。
    あの淡白で、上品、美しく切られたプリッとした姿、ああ、夏はまだか!
    なんでぃ、江戸っ子ならドジョウにアナゴだろ!ってか!
    いやいや、ドジョウは実家にペットとして飼っていたもんで、あまり食べる気には。
    え?うなぎも飼ってたのに目の前で食ってたじゃねぇか、だって?
    知らないねえ!

    さて、澪は愛する友を思いながら今日も腕を振るう。
    そして身分違いだとはわかっていても、追わずにいられない想い人、小松原。
    湯気の中に響く包丁の音の中、澪は何を思うのだろう。

  • 土用の日、鱧、山芋、柿。

    この当時の鰻は安価だった、と聞いた事がありますが
    そこまで安価ではなかったのかな、と。
    『う』ばかりの料理だろうがなんだろうが
    美味しければいいのですw

    鱧は当然どんなものか知りません。
    そこまで骨が多かったのか…と。
    これでようやく、友人への道が切り開かれました。
    とはいえ、どうするべきか悩むのは当然かと。

    おろしてよし、焼いてよし、あげてよし、な山芋。
    忘れていた頃に再び、な人がちょっと登場していますが
    足をひっぱる事しか考えない人は、いつまで経っても
    その生き方しかしないのだな、と。
    しかし、それによって被害を被るのは勘弁です。
    確かに、化粧ばっちり、な人には作られたくないです。

    辛い所から助けるのが優しさなのかどうか。
    言われるまで、そこには気が付きません。
    甘えさせてくれる場所がある、と分かっていると
    なくなってもそこにすがってしまいます。
    給金をもらっているから、と我慢するには
    まだまだ幼いです。

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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