菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)

  • 角川春樹事務所
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441940

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと、家の声が聴こえる・・・という内容から、もののけの出るお菓子屋さんの話かと早合点した馬鹿です。
    読みはじめたら、川越にある菓子屋横丁という場所のことで、古民家に引っ越してくる、遠野守人という大学院生の話でした。(ちなみに、彼は草食系を通り越して仙人と呼ばれていると、他のブクログレビュアーさんのレビューにあり、納得!)

    この本に出てくるのは、古地図、古民家、和菓子、和三盆などの古くから伝わる伝統的な産業、文化を持って川越にやってくる人たちです。それが地元の商店の人たちと縁を持って、川越で店を持ったり、資料館を開いたりして実現していきます。

    登場人物の広がりが、物語をどんどん膨らませていくので、家の声が聴こえる・・・というファンタジーなしでもいいのではないかと思ったくらいです。
    その土地に残されている歴史や、手仕事を見つけ出すこと。地元の人と、外から入って来て新たな魅力を発見する人たちとのコラボレーション。
    そして、ほしおさんの物語の根底にあるのは、いつも家族。人々の横のつながりと、それぞれが持つ家族や祖先という歴史のつながりが、物語を深くしているように思えます。
    市井の人々を描く物語が好きなので、引き込まれます。
    「活版印刷三日月堂」と同じ川越が舞台なので、ご近所繋がりの店も出て来ました。
    その後のシリーズでは、さらにスピンオフの物語が出て来ます。

  • 家の声が聞こえる守人。怖い話ではなく、ほんのり温かい話。川越は行ったことがないけれど、古い町並みがとてもいいところということが伝わってくる。孤独な守人は、川越の家と人々に触れて変わっていくことだろう。たわいのない話だとは思うけれども、でもいい話だった。真夏の中の一陣の爽やかな風のようだ。

  • ほしおさなえの菓子屋横丁月光荘 歌う家を読みました。
    主人公は、幼い頃から家の声が聞こえると言う不思議な力がありました。
    大学院生になり、通学に片道2時間かかっていたのですが、教授から川越の築70年の家の管理人の話があり、川越に住むことになりました
    川越は蔵造りの古い建物がたくさんあり、改築するにあたり、黒漆喰など建築家の私にとって興味深いものはたくさんあり、その建物とその周りの人たちの温かいやりとりがとても面白かったです。
    シリーズの第一作なので、他の続編も読んでみたいと思います。

  • またまた川越が舞台
    男子学生が語る物語ってほしおさんには新しいパターンですね

    梨木香歩「家守綺譚」や内田善美「草迷宮・草空間」のようなテイストで自分はとっても好きです!
    一章ごとに違う家が登場する連作のようですね
    安心して読めそう

    MZTさんの布教本(^^)
    まとめて貸してくれたのでしばらくはこの世界で楽しめそうです

    ●月光荘
    歌う家 浮草の灯 文鳥の宿 丸窓

    古家
    次へ繋ぐのを見届けて安心する物語があったが
    家に何か意思のようなものがあると思うと
    自分は耐えられそうもない
    出来るならばこの家に思い出が少ない人に渡したい

    ただ現在家があるというのは幸せな事と思う

    ・切り紙
    家族の価値観が違う
    主人公の祖父は本人に良かれと思って
    道筋を整えて行かせようとする
    それが本当にベストなのか
    そんな主題が見え隠れ

    本人らしく生きていけばいいのだが
    どこへも行こうとしない又は行けない時は待つだけでいいのか

    小説に生きる人達は上手くつながって
    生きる道筋を見つける…きっとそうだろうな

    月光荘がなんだか可愛い

    空っぽだった大地の下に豊かな場所がある…らしい
    自分にもいつか見つけられるだろうか
    …ダイジョウブ…

    ・オカイコサマ
    家と話せる人が他にもいた…
    小説の中だけのはずなのに事実そんな事がありそうに思ってしまう
    ストーリーを追うだけじゃなくて
    家についての真実を知りたくなってしまう


    街づくりイベントで人が集まっていくのは楽しい
    そんな章も良いのだが月光荘との会話が心地よい
    唐突だったけど海に行くのは自分も風景が見えてよかった

    月光荘の物語も進行形ではなく
    終わりがあるのに気がついた
    確か貸してくれた本は完結してた気がする
    次の巻は最終になるのかなあ


    最終巻?まで読みました
    もしまだ続きがあるのなら
    両親を一度に無くした事を昇華させてあげたい

    旅に出るような番外編も読みたいな

  • 同居していた祖父を亡くし、一人暮らしをしていた大学院生の遠野は、「仙人」といあだなを持っていた。どこかここにいないような雰囲気の彼が、「歌う家」に迎え入れられ、川越の街で暮らしていくお話。建物と家族がテーマです。
    とても私の好みなすこしさみしげだけれどあたたかい話でした。建物って、なんでか昔から好き。なんだろう、「ひとがつくったおおきなもの」だからかなあ。おすすめです。

  • 【あらすじ】
    家の声が聞こえる――
    幼い頃から不思議な力を持つ大学院生・遠野守人。
    縁あって、川越は菓子屋横丁の一角に建つ築七十年の古民家で、
    住みこみの管理人をすることになった。
    早くに両親を亡くし、人知れず心に抱くものがある守人だったが、
    情緒あふれる町の古きよきもの、そこに集う人々の物語にふれ、
    自分の過去にむきあっていく。
    人もものも、記憶を抱いて生まれ変わることができる。
    心のいちばんやわらかな場所にやさしく沁みる新シリーズ、第一作。

    【感想】

著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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