あきない世傳 金と銀(九) 淵泉篇 (ハルキ文庫 た)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443616

作品紹介・あらすじ

大坂から江戸に出店して四年目、まさにこれから、という矢先、
呉服太物商の五鈴屋は、店主幸の妹、結により厳しい事態に追い込まれる。
型彫師の機転によりその危機を脱したかと思いきや、今度は商いの存亡にかかわる最大の困難が待ち受けていた。
だが、五鈴屋の主従は絶望の淵に突き落とされながらも、こんこんと湧き上がる泉のように知恵を絞り、新たなる夢を育んでいく。
商道を究めることを縦糸に、折々の人間模様を緯糸に、織りなされていく江戸時代中期の商家の物語。
話題沸騰の大人気シリーズ第九弾!!

感想・レビュー・書評

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  • むむむむむ、むがぁヽ(`Д´#)ノ

    むむむむむ、むがぁヽ(`Д´#)ノ

    むむむむむ、むがぁヽ(`Д´#)ノ

    そうなのです
    昔から良く言われていることですが
    誰かと仲良くなるのに一番手っ取り早い方法は「共通の敵」を作ることなんですよ

    例えば五鈴屋主人の幸とひまわりめろんさんにとっての音羽屋みたいなことですよ

    もうひどいんだよ、あの蛸坊主が!
    もう、絶対許さない!
    そして負けない!

    もうすでに第9巻とだいぶ遅くなってはしまいましたが、これからは結束していこうと考えています
    結束して音羽屋の蛸坊主をやっつけてやろうと思います
    ええもうすでに反撃の糸口は見つけたんですよ
    次巻は反攻開始の巻になるはずです
    任せて下さい

    それではあらためて、共闘開始の第十巻へGo!

  • 歴史は苦手。古典もあんまり好みでは...。
    だったのに、面白い本を読むだけで、人ってこんなに意識変わるんだ!と自分に感心。

    着物とか暦とか日本古来の色とか。
    こんな歳になっても、知らないこと沢山あるなあ。そして知識がじんわり増えていくのが、なんとも嬉しいことですなあ。(誰)

    この巻を読んで「はっ!」と気づいたのが、幸の知恵を出す時のポーズがあの懐かしの古畑任三郎さんのポーズに似てるのでは!?

    あと少しよ!幸!みんなと一緒に頑張って!
    私も一緒に頑張ろうと次の巻を探しに行ったら、図書館にもBOOK OFFにも本屋にも10巻だけないのよ!10だけ!何で!!続きが読みたいよー!

  • あきない世傳 金と銀シリーズの9作目
    2020.09発行。字の大きさは…小。

    江戸時代女性が主人として店を営むことが出来なかった大阪から、江戸へ進出して、知恵を武器に難局を切り開いて行く五鈴屋江戸本店の女主人・幸の物語です。

    幸は、妹・結に裏切られ、日本橋音羽屋の女主人・結として、商売敵となって向かって来ます。
    両替商音羽屋の主人・忠兵衛は、事あるごとに幸を潰そうと、罠を仕掛けます。とうとう、五鈴屋は、絹織物の商売を諦め太物(木綿)に絞った商いをする店となります。

    試練の中で幸は、知恵を絞ります。
    安価な木綿で、洒落た浴衣を作り売り出すことを考え出します。

    【読後】
    前作は、困難の中で飛躍してきましたが、今作は、結の裏切り、音羽屋の罠にはまり絹商いが出来なくなりと、試練です。
    試練の中から、飛躍の芽が出て来ます。
    次回が楽しみです。

    【豆知識】
    發生的機緘 即在零落内
    発生の機緘(きかん)は、即ち零落(れいらく)の内に在り、と読みます。
    葉が落ち尽くして何もかもが無くなったように見えても、新たな芽生えはその時もう既に在る、という意味だと、私は解釈しています。

    衰颯的景象 就在盛満中
    發生的機緘 即在零落内
    衰える兆しは最も盛んな時に生まれ、新たな盛運の芽生えは何もかも失った時、既に在る。
    「菜根譚(さいこんたん)」ではこのあと、「だからこそ、君子たる者は、安らかなる時には油断せずに一心を堅く守って次に来る災難に備え、また、異変に際した時にはあらゆる忍耐をして、物事がなるように図るべきである」という内容に続きます。
    2020.10.26読了

  • ほうほう、結局幸と結はそんな事に。結がそこまで屈折しているとは!そして惣ぼんさんはなんだかんだで幸を助けてくれるけど、幸と五鈴屋の事、どこまで関わっていくつもりなのかしら?そして賢坊は本当のところどう思っているのか?などなど、今後の展開を期待させる今巻でした。
    時間ではついに紅屋の菊栄様とお梅さんも江戸にやって来そうで、しかも菊栄様の考案した鈴の簪は間違いなく五鈴屋とコラボで評判を取りそう。楽しみ!

  • 出る杭は打たれる、とはよく言うけれど…ここまで打たれまくるとはあんまりではないか!
    幸の身の上に次々と降りかかる災難に読んでいて悔しくなる。
    あの蛸、よりによってなんてことを。
    蛸が仕掛けた罠にまんまとはまってしまった幸や五鈴屋江戸店の仲間達。
    もどかしくて歯ぎしりしてしまう。
    それでも助け舟を出してくれる人達もいる。
    そこは幸の人徳からくるもので救われほっとする。

    「誰に強いられたわけでもない、己で選んだ道なのです。ただ邁進するしかありません。悪いことばかりが、永遠に続くわけではないのですから」
    幸への餞の言葉通り、ひたむきに邁進する幸。
    この言葉を書いた髙田先生、悪いことばかりが続くわけではありませんよね。表題通り淵の底でこんこんと知恵を湧かせる泉になろうと努めた幸達に光が刺すんですよね、と念を送りつつ次回半年後をひたすらに待つのみの私…。

    だいたい結も10代の小娘じゃないんだから、いい歳してもうちょっと分別がないとねー。
    幸の妹、と今まで甘やかされてきたツケがここに現れた、ということか。
    今はまだ若いし可愛いから、蛸からもさぞかし甘やかされていることだろう。
    けれどいつまでもこの状態が続くとは思えない。
    結もやがて歳をとり、商いに関する人真似ばかりの"知恵"も底をつけば蛸から見離されることは間違いない。
    その時になってようやく後悔するんだろうな、自分の犯した過ちに気付くんだろうな。
    今更遅いぞ、と読者からツッコまれても、幸は助けるんだろうなー、ったく。
    と結の行く末を想像しながら本を閉じた。

  • 高田郁『あきない世傳 金と銀(九) 淵泉篇』ハルキ文庫。

    シリーズ第9弾。今回も書き下ろし。

    一種の立身出世物語なのだが、ここまで不幸が降りかかるとなると、やり過ぎのようにも感じる。『みをつくし料理帖』が幸せと成功をメインにした陽の物語なら、こちらは不幸をメインにした陰の物語だろう。

    次々と五鈴屋の幸に降りかかる苦難。それを乗り越えた先に見えた新たな光……

    幸の妹の結が十二支紋様の伊勢型紙を持ち出し、出奔。結が幸を裏切るというまさかまさかの展開。さらには五鈴屋存亡の危機に関わる事態が……

    本体価格620円
    ★★★

  • あきない世傳金と銀も9作目。
    8作目が怖いラストだったため、どんなことになっているやらと、おそるおそる‥

    幸が中継ぎの七代目として五鈴屋江戸店の女主人になって4年目。
    妹の結が出奔、それも仕上がったばかりの大事な型紙を持ち出してのこと。
    音羽屋に駆け込んだとわかり、身内の裏切りに衝撃を受けることに。
    そのまま音羽屋で暮らす妹を幸は一度だけ訪れます。
    型彫師の機転により、五鈴屋では作れないという最悪の事態だけは免れますが…

    その後、ある取引が原因で商売仲間から外されるという店の存亡にかかわる危機に。
    これまでと同じ商いは出来なくなってしまうのです。
    絶望の底から立ち上がり、店の仲間と出来ることを工夫することに。

    実の妹の結ですが、奉公先が分かれて育ち、再会した時には姉の幸は信頼される女主人になっていた。結は主筋の人間として急に甘やかされるようになった一方、優れた姉にコンプレックスも感じていたことだろう。
    もしも結を厳しくしつけていたところで、突然大きくこじれた理由は縁談の成り行きにあったので、こればかりは避けられたとは限らない。
    前作で結の誤解と絶望のいきさつはよくわかりましたが、それがこうなるのですねえ。
    音羽屋の出した呉服店の若い女主人になっている結と出先で顔を合わせるというのは、何とも怖いシーンです。
    しかし、音羽屋忠兵衛とは、どういう人間なのだろうか。

    幸は恵まれた人間がその分、人の何倍も試練を受けるという星のもとに生まれたのか?
    とはいえ努力家で才があり、理解者も仲間も既にいるわけなので、今後も道は開けるはず、悪い事ばかりではない人生になるのは確か。
    どうなるのか、はらはらドキドキして~もうかなわないんですが(笑)続きも楽しみにしてます!

  • ハラハラした前巻の終わり方から、やっと読めた新刊。
    心痛めるほど、次から次へとやってくる試練。
    この窮地を幸たちはどうやって乗り越えていくのか、目が離せない。
    なるほど〜そうきたかっ!
    続きが待ち遠しい!
    今じゃ当たり前のことでも、こうやって知恵を絞ってくれた先人たちがいるおかげで、今があるんだなぁ。
    目先や自分たちだけの利益ではなく、後の世にも残る本物を目指し、
    売上高を競うのではなく、
    「買うての幸い、売っての幸せ」で一番を目指す心意気。
    頭が下がります。

  • 前巻での衝撃的な結末。
    何とか良い方向に行くのでは、との思いも虚しく・・・
    まさかまさかの展開(高田郁先生厳しい!)。
    この先、幸と結の関係はどうなって行くのだろう。
    さらに、五鈴屋には商いの存亡にもなりかねない緊急事態が勃発。
    それでも五鈴屋主従は、打開策を見出そうと心を一つに知恵を絞りだす。
    そのバックボーンとなるのが、『菜根譚』の言葉(葉が落ち尽くして何もかもが無くなったように見えても、新たな芽生えはその時もう在る)。
    最大の困難を乗り越えるだろう第10弾が待ち遠しい。

  •   哀颯的景象 就在盛満中
      發生的機緘 即在零落内
                   『菜根譚』

    修得先生から贈られた掛軸の文言には続きがあった
    「衰える兆しは最も盛んな時に生まれ、新たな盛運の芽生えは何もかも失った時、既に在る」

    まさにこの通りの展開の第九巻
    読んでいて暗く、重苦しく、胸がもやもやすっきり晴れることはなかった

    よくもまあこんなに次々と、幸や五十鈴屋にふりかかる試練と困難
    まして、可愛がっていた実の妹に、裏切られ、足元をすくわれるとは、信じ難く、これは何かの間違いだ、今に結は、戻ってくるに違いないと信じていたが、見事にその期待も裏切られた

    美しく聡く何もかも完璧な姉への嫉妬とは、それほど大きなものだったのかと衝撃を受ける

    さらに呉服組合からも外され太物商いしかできないことに、失意のどん底に突き落とされた幸

    今からどのように這い上がっていくのか

    唯一救いだったのは、今迄幸が結び、繋いできた数々の人の縁が切れずに、折につけて幸を支え、励まし、いろんなヒントをくれること
    特に、嬉しかったのは5年ぶりの帰阪で再会した菊栄との姉妹のような語らい
    男社会の中で、何とか女が生きていく活路を見出そうとする姿に強く共感した

    吉次の楽屋着からヒントを得た木綿のくつろぎ着、今の浴衣の原型であろうが、それが形になり人々の心を捉えていくのは、次巻になりそうだ

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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