スエズ運河を消せ: トリックで戦った男たち

  • 柏書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (566ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760140206

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  • 二次大戦アフリカ戦線において、“砂漠の狐”ロンメル将軍を相手に様々な偽装工作で敵を翻弄、連合軍を勝利に導いた工作部隊があった。
    リーダーは16世紀から英国で代々に渡って活躍したマジシャン一家マスケリン家の十代目ジャスパー・マスケリンと彼の率いる「マジックギャング」達。

    彼らは空襲で破壊された瓦礫の山を利用して補給基地のアレクサンドリア港を近くの鄙びた港に移動、補給の要害たるスエズ運河を敵航空機の目から見えなく撹乱する。
    「スパイ大作戦」や「OO7」の原点はここにあったかと思えるアイデアの数々とマスケリン他兵士たちの苦悩が余さず描かれている。

    マスケリン他「マジックギャング」た上官のキャラクターが見事に出来過ぎでまるで劇映画のノベライズを読んでいるよう。
    トム・クルーズが映画化権を獲得しているらしいけれど、トム・クルーズ以外のプロダクションの方がいいと思うけれどなぁ‥

  • 間違いなく今年のノンフィクション部門ではベストにランクインするべき「血沸き肉躍る」作品だ。とにかく騙されたつもりで読んでもらいたい。

    第二次大戦が始まったころ英国のマジシャン、ジャスパー・マスケリンは自分の魔術を戦争に生かせるのではないだろうかと、居ても立ってもいられず軍に掛け合いついにアフリカ戦線に従軍することに。正規軍とは言えないし評価もないカムフラージュ部隊としてだ。それがあの有名なロンメル将軍の戦車隊が英国軍に攻勢をかけていた砂漠の戦線で騙し合いをするのだから痛快だ。

    現地着任後ようやく元デザイナー、動物擬態専門の大学教授、漫画家、画家、はみ出し二等兵、堅物軍曹らと小さな部隊を立ち上げるもののマジシャンということで軍からはお客さん扱いだったが、ある日、上官から「戦車の偽装用ペイントを何とかできないか」という注文を受ける。無から何かを作り出す必要にかられカイロのゴミ捨て場から拾ってきた賞味期間切れのソースとラクダの糞で製造したことから信用を得る。

    そこからは数々の偽装工作の突拍子もない依頼が続々とやってくる。ハリボテ戦車作成や戦車をトラックに見せかける偽装の考案、物資補給の死活線とも言えるアレキサンドリア港を敵の夜間空襲から守るために港をすっかり隠してほしいとの依頼。其れに成功すれば全長140Kmにものぼるスエズ運河を敵の空襲から守れ、偽の潜水艦や戦艦を作れだの、要求はエスカレートしていくが果たしてどうやって任務を完遂するのか、まさに砂漠の戦場を部隊にした一大イリュージョン作戦物語だ。

    近代戦争でも偵察とそれを欺くデコイは無くてはならない作戦だがその原型が第二次大戦のジャスパー部隊だ。当時の技術では偵察飛行での空撮写真の解像度は低く、空爆もGPSが無いので最後はパイロットの目が頼りなどと、それに対抗する偽装工作も初歩的なものだが逆にそれが手作り感満載の偽装工作に繋がり親近感がわくものだ。

    本書を読むにあたり戦争・戦術オタクである必要はないし、戦記物が好きである必要も全くない。どちらかと言えば子供のころの秘密の基地遊びを大がかりにしたものの物語とも言えるし、相手をびっくりさせるイタズラ大作戦物語のような趣もある。500ページ超の大部冊だが次から次へと新たな難題解決への作戦が始まり飽きさせないし一気に読めること請け合いだ。

  • (欲しい!)

  • 【新刊情報】スエズ運河を消せ 391.2/フ http://bit.ly/voJkQ4 第二次世界大戦時、敵の攻撃に知恵とひらめきだけで立ち向かった部隊が存在した。ニセの戦車と兵で奇襲、港を丸ごと1キロも移動など、「戦場のマジシャン」が率いた英国部隊の活動を綴る

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