コラプション:なぜ汚職は起こるのか

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766426267

作品紹介・あらすじ

▼「コラプション(腐敗・汚職)」研究の第一人者たちがわかりやすく解説。
▼世界のさまざまな腐敗・汚職の実証データ、分析ツールを提供。
▼政治学者と経済学者が協力して「汚職の構造」を明らかにする。

世界の大部分の国が腐敗・汚職に悩んでいる。しかし、汚職を撲滅した国もちゃんと存在する。汚職は、個人の「悪」の問題ではなく、構造の問題であり、法律だけではもちろん止められない。また民主主義でも無くせない。「汚職の均衡」をいかにして転換するか? 
「悪」を糾弾するのではなく、その仕組みを理解することが汚職撲滅のカギとなる。

感想・レビュー・書評

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  • ●医療と教育に充てられる予算が減り、賄賂を払わなければならないせいで、誰でも法的に受けられるはずのサービスへのアクセスが不公平になる。
    ●汚職の関係者には4種類。政治家、官僚、企業、一般市民。ただし一般市民の方で保障された行政サービスのために賄賂を送る。正当に権利を持っているのにどうして支払わなければいけないのだろうか?
    ●汚職の計測は、基本的に隠されるから難しい。大部分はアンケート調査の結果であり、解釈には十分な注意が必要です。
    ●アメリカは19世紀前半は、国会議員の収賄は合法だった。
    ●経済的に繁栄すると、役人の汚職関与のインセンティブが下がり、汚職コストを引き下げるツールも賄える。監視カメラや、会計監査など。
    ●汚職が貧困をもたらし、それがさらに汚職をもたらす負のサイクル。
    ●天然資源はレントを生む。労せずに富を生む。政府が容易に富を産み出せるなら、課税なしで行政サービスが行われる。市民は無料でサービスを受けれるから、役人の責任を問う気になりにくく、汚職により寛容になる。

  • 東2法経図・6F開架:368.6A/F28k//K

  • 【書誌情報】
    『コラプション なぜ汚職は起こるのか』
    原題:Corruption: What Everyone Needs to Know
    著者:Ray Fisman
    著者:Miriam A.Golden
    訳者:山形 浩生
    訳者:守岡 桜
    解説0:溝口 哲郎

    四六判/上製/386頁
    初版年月日:2019/10/30
    ISBN:978-4-7664-2626-7
     (4-7664-2626-6)
    Cコード:C0030
    税込価格:2,970円

    ▼「コラプション(腐敗・汚職)」研究の第一人者たちがわかりやすく解説。
    ▼世界のさまざまな腐敗・汚職の実証データ、分析ツールを提供。
    ▼政治学者と経済学者が協力して「汚職の構造」を明らかにする。

     世界の大部分の国が腐敗・汚職に悩んでいる。しかし、汚職を撲滅した国もちゃんと存在する。汚職は個人の「悪」の問題ではなく、構造の問題であり、法律だけではもちろん止められない。また民主主義でも無くせない。「汚職の均衡」をいかにして転換するか? 
     「悪」を糾弾するのではなく、その仕組みを理解することが汚職撲滅のカギとなる。
    http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766426267/


    【目次】
    序文
    謝辞

    第1章 はじめに 
     1.1 この本の狙いは?
     1.2 なぜ汚職は大きな意味をもつの?
     1.3 汚職を理解するための本書の枠組みとは
     1.4 腐敗した国が低汚職均衡に移るには?
     1.5 汚職について考えるその他の枠組みはあるの?
     1.6 この先の章には何が書いてあるの?
     第1章で学んだこと

    第2章 汚職とは何だろう?
     2.1 汚職をどう定義しようか?
     2.2 汚職はかならずしも違法だろうか?
     2.3 汚職はどうやって計測するの?
     2.4 政治汚職は官僚の汚職とどう違うのか?
     2.5 汚職は企業の不正とどうちがうのか
     2.6 利益誘導は一種の汚職か
     2.7 恩顧主義と引き立ては汚職を伴うか
     2.8 選挙の不正は汚職を伴うか
     第2章で学んだこと

    第3章 汚職がいちばんひどいのはどこだろう?
     3.1 なぜ汚職は貧困国に多いのだろう?
     3.2 どうして低汚職の国でも貧しいままなのだろう?
     3.3 国が豊かになるとどのようにして汚職が減るのか
     3.4 どうして一部の富裕国は汚職の根絶に失敗しているのだろう?
     3.5 20年前より汚職は減ったの――それとも増えたの?
     3.6 政府の不祥事は、汚職が悪化しつつあることを示しているのだろうか
     3.7 反汚職運動は政治的意趣返しの隠れ蓑でしかないのだろうか?
     3.8 先進国は政治と金で汚職を合法化しただけだろうか
     3.9 どうして世界の汚職の水準は高低の二つだけではないのか
     第3章で学んだこと

    第4章 汚職はどんな影響をもたらすの?
     4.1 汚職は経済成長を抑制するだろうか?
     4.2 汚職は事業への規制にどう影響するだろうか(またその逆はどうか)?
     4.3 汚職はどのように労働者の厚生に影響するだろうか?
     4.4 公共建設事業における汚職は何を招くか
     4.5 汚職は経済格差を拡大するか
     4.6 汚職は政府への信頼をそこなうか
     4.7 ある種の汚職はとりわけ有害なのだろうか その1:集権型汚職対分権型汚職
     4.8 ある種の汚職はとりわけ有害なのだろうか その2:不確実性
     4.9 ある種の汚職はとりわけ有害なのだろうか その3:汚職によって事業を止めてしまう
     4.10 天然資源は汚職にどう影響を与えるか――また汚職は環境にどう影響を与えるか
     4.11 汚職に利点はあるだろうか?
     第4章で学んだこと

    第5章 だれが汚職をするのだろうか?
     5.1 なぜ公務員は賄賂を受け取るのか?
     5.2 なぜ政治家は賄賂を要求するのだろうか?
     5.3 贈収賄のモデルに道徳性を組み込むにはどうすればいい?
     5.4 政治家たちが官僚の間に汚職を広める手法
     5.5 どうして個別企業は賄賂を支払うの?
     5.6 どうして企業は結託して賄賂支払いを拒否しないの?
     5.7 普通の人は汚職についてどう思っているの?
     5.8 汚職が嫌いなら、個々の市民はなぜ賄賂を払ったりするの?
     第5章で学んだこと

    第6章 汚職の文化的基盤とは?
     6.1 汚職の文化ってどういう意味?
     6.2 汚職に対する個人の態度は変えられる?
     6.3 汚職の文化はどのように拡散するのか?
     6.4 汚職は「贈答」文化に多いのだろうか?
     6.5 汚職は宗教集団ごとにちがいがあるのだろうか?
     6.6 汚職に走りがちな民族集団はあるのだろうか?
     第6章で学んだこと

    第7章 政治制度が汚職に与える影響は?
     7.1 民主政治レジームは専制政治よりも汚職が少ないか?
     7.2 専制主義はすべて同じくらい腐敗しているのだろうか?
     7.3 選挙は汚職を減らすか?
     7.4 党派的な競争は汚職を減らすか?
     7.5 一党統治は汚職を永続化させるだろうか?
     7.6 汚職を減らすのに適した民主主義システムがあるだろうか?
     7.7 政治が分権化すると汚職は減るだろうか?
     7.8 任期制限があると汚職は制限されるのか――それとも悪化するのか?
     7.9 選挙資金規制は汚職を減らすか?――それとも増やすか?
     第7章で学んだこと

    第8章 国はどうやって高汚職から低汚職に移行するのだろうか?
     8.1 どうして有権者は汚職政治家を再選するのだろうか?
     8.2 有権者が汚職政治家を再選させるのは情報不足のせい?
     8.3 どうして有権者は調整しないと汚職政治家を始末できないのだろうか?
     8.4 外的な力はどのように汚職との戦いを引き起こすのだろう?
     8.5 政治リーダーシップが汚職を減らすには?
     第8章で学んだこと

    第9章 汚職を減らすには何ができるだろうか?
     9.1 汚職を減らす政策はどんなものだろうか?
     9.2 段階的な改革は「ビッグバン」改革と同じくらい効果的だろうか?
     9.3 汚職対策に最も効果的なツールは何だろうか?
       汚職問題をハイテクで解決できるだろうか?
     9.4 規範の変化はどのように起こるのだろうか?
     9.5 いつの日か政治汚職が根絶されることはあるだろうか?
     第9章で学んだこと

     解説 反汚職のための冴えたやり方(溝口哲郎)
     訳者あとがき
     注
     索引

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著者プロフィール

ボストン大学スレーター家「行動経済学」寄付講座教授。著書に『会社は意外と合理的』(ティム・サリバンと共著、日本経済新聞出版社)。『悪い奴ほど合理的』( エドワード・ミゲルと共著、NTT出版)。

「2019年 『コラプション なぜ汚職は起こるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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