小説 外務省-尖閣問題の正体

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  • 現代書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768457306

作品紹介・あらすじ

日本の政治家・官僚は真の国益を考えているのだろうか。尖閣諸島をめぐる日中の内幕を、実在の人物を数多く登場させながら、これほど鮮明に分かりやすく読ませた本は、これまであったろうか!!

感想・レビュー・書評

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  • 小説といいながら、ノンフィクション的なフレーバーを盛り込んでいる。対中関係の視野を広げたい方にお勧めの一冊

  • あまり小説としてのできはイマイチなんだけど、現実を混ぜ込んだ中身は面白かった。どれだけ本当のことなのかは別にして、いつも著者が主張しているアメリカによる日本支配なんてのに加えて、都合悪い人物への人物破壊、外務省の日米関係至上主義的な空気、都内のレストランや料亭、文学作品からの引用。たまに見るフィクションでのアナポリス出の海上自衛官、この本にも出てきたな。

  • 史実でもあり小説でもあり。不思議な感じです。尖閣問題の本質なのか判らないのですが、迫力満点でした。続編もあったのでこれから読もうと思います。

  •  「小説」と銘打ってあるが、娯楽性はない。元外務官僚による内幕もの、暴露ものとして読むのがよい。といっても、実名オンパレードで出典も明記されているから、いかがわしいものではない。広瀬隆の一連の著作と同類。
     鳩山由紀夫や小沢一郎がいつのまにか表舞台からフェードアウトしたのに訝しさを感じていたのだが、著者は米国による「人格破壊」(デマによる大衆への刷り込み)によるものだと言う。その見解の当否を断じる力はぼくにはないが、胸落ちする点はある。
     書かれていることを全て鵜呑みにするのではなく、また「与太だよね」と頭からバカにするでもなく、ぼくらが普段意識していない(できない)視点を気に留めながら読むべき本。

  • 2018.04.21
    初めて読んだ著者でした。これは面白かった!目から鱗みたいな•••。政治の裏のカラクリが全て見えて来たような。最近の週刊誌問題もそのように見える。西京寺みたいな人は必ずいる。個人の資質を責めるような議論ばかりしてないでもっとやることあるでしょ!と思う今日この頃。

  • 内容は複雑だしよくわかんない外交分野のことだけど、表現が直截的で平易(というか説明的?)なので少し戸惑った。裏を読めみたいなところがないんで。ナボコフなどとは正反対ね。お洒落ではなくても誠実な書き方なのだろう。
    河東哲夫さん(ペンネーム熊野洋)の小説よりは受け入れられたかな。あまりナルシスティックではなかったので。イランのことは続編に期待のようだ(漢詩・ロシア詩に加えペルシャ・アラビア文学の引用が増えそう)。アメリカに言いなりにしかなっていない外務省、自民党の面々がひたすら情けなく思え、「アメリカ大事、何より大事」の人達と深い溝…

  • 鳩山が民主党を結党したとき、過剰な対米外交を脱すると宣言した。
    日本を操る米国人を「ジャパンハンドラー」と呼ぶ。戦略国際問題研究所アジア日本部長のマイケル・グリーンはその中核的存在。民主党が結党されたときは、ジョンズ・ホプキンス大学客員講師で若造だったグリーンは、慌てて関係者を回りその意味を調べた。そうするとそれが単なる理念ではなく本物であることを知った。祖父の鳩山一郎も自主外交思想だった。そうすると、鳩山つぶしが始まる。
    鳩山は、イラン訪問の際に前もって野田首相に説明している。野田は了承していた。

    石原の尖閣購入発言は、ヘリテージ財団での講演。この財団は共和党系のきなくさい団体。この購入発言は国防情報局DIAが仕掛けたもの。米国国防総省と石原を取り持ったのが、スタンフォード大学名誉教授のメイ

    若泉敬がとりもった繊維の密約も佐藤首相は裏切った。

    サンフランシスコ平和条約で千島列島の範囲をあいまいにしておけば、日ソの仲はよくならないという西側の思惑があった。

    ニューヨークタイムズ東京支局は朝日新聞社の中にある。

    もともと普天間は移転ではなく閉鎖だった。

  • 外務省のアメリカ偏重と人間の正義がテーマになっている。鳩山由紀夫のアフマディネジャド訪問批判、小沢バッシング、丹羽大使叩きなど、かなり腑に落ちていなかった問題を果敢に取り上げていた。筆致は子供っぽくすごく読みやすかったが、中身はとても良かった。はあ~、それにしても男ってここまで崇高な精神や社会問題を並べながらも、美女への憧れから離れられないのかね~。小松さんが美人だ、美人だってしつこい。彼女の容貌を一切言及せずに真心をぶつけ合いながらプロポーズまで行ってたら西京寺さんの人間的な深みも際立っていただろうけど。

  • 日本の外交はアメリカに首根っこを押さえつけられたまま、アメリカの筋書きどおりに動かされていて、日本の国益に反することも多いのが歯がゆい。

    あの出来事の裏にはそういう背景があったのかぁ、そういう思惑だったのかぁと、無知だった自分の中で徐々に繋がっていってるような気がする。

    ラブストーリーは必要ないなと思った。人の恋バナにページを割くぐらいなら、もっと踏み込んだこと知りたかった。(公にできないこととかあるんだろうなぁ、恋バナで誤魔化してページを埋めたのかな?)と勘ぐっちゃったじゃない。

  • 元外務官僚 孫崎享氏が書いた、小説という形式をとったノンフィクション(?)
    もちろん、すべてが現実のまま書かれているわけではないが、取り上げられている時代、政党、政治家、官僚組織、そしてかれらの行動。さらには彼らの行動のベースになる考え方などが、事実さながらに書かれている。
    一般の読者を想定した場合、必ずしもすべて詳細な真実をかくことよりも、ポイントをつかんだエッセンスのみ伝えるほうが、よりわかりやすい部分があると思う。
    その意味で、本書は孫崎氏なりの視点による暴露本なのかもしれない。
    本書のハイライト、尖閣諸島をめぐる中国、日本の考え方の違い、そしてその行動が及ぼす影響などは、孫崎氏の考えそのものなのだろう。
    外務官僚、霞が関の考え方、そして尖閣諸島の位置づけなどに興味がある方は、面白く読めると思う。

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著者プロフィール

1943年、旧満州生まれ。東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。
主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。

「2023年 『同盟は家臣ではない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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