- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784770411310
感想・レビュー・書評
-
絶版かと思っていたら新装なって再登場。すごくうれしい。
タイトルどおり園芸家の一年を描いた本。ちょっと読むと園芸家のカリカチュアのようだが、実はそうではなくって、園芸家の本質的かつ普遍的な姿を描いたものである。そう、園芸家の喜怒哀楽のすべてがここにある。この本がそれほどおもしろくない、と思われた方には、ぜひ手近の園芸店まで走っていって、何でもいいから苗、それにシャベルを購入することをおすすめしたい。一年間土と向き合ったのち再び本書を手に取れば、一ページごとに共感し、また抱腹絶倒するに違いない。そして読み終えたときには、限りない未来への、楽観的でエネルギーにあふれた信頼感を得ていることだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そんな気はしたけどガチの園芸家の話だったーーーーーーーーーーーー
-
大好きなチャペックの園芸に対する愛情があふれるエッセイ。ずっと前に、たしか中央公論から出ていたのを読んだと思う。
イラストも訳も読みやすくなっていて、また感激。 -
園芸をしていたらもっと面白いんだろうと思う。深い人に思えるので,他のも読んでみようかと思う。
-
まだ粘土をなんとかしようとしている段階。
花が咲くようになったらまた読もうと思う。
「土」の章が面白かった。 -
チェコの国民的作家カレル・チャペックは大の園芸マニアで、
その「作業の悦び」を
激しく降り注ぐ豪雨のごとく語り尽くした
(いや、チャペック本人からしたら、
まだまだ語り尽くし足りないのかもしれないが。)
「僕と大切な庭の住人達」的エッセイ。
チャペックの園芸に対する有り余る情熱と植物達への愛情は、
最早「趣味はガーデニング」では済まされないレベルである事が
本作に登場する、多くの「細か過ぎる」植物名や
土作りの知識からも伺える。
しかし、園芸に関心のない人間からしたら、
この作品は全く面白くないかといえばそうではないし、
自分の趣味の自慢話を一方的にしていて嫌味な印象を
受けるかといえば答えは「ノー」だ。
奥深きガーデニングの世界に熱く没頭する彼だが、
そこは超一流の文筆家。
己の趣味を文章にするにも、自分の熱情を
直接ぶつけていくのではなく、それをひとひねりして、
同好の士でないものも決して置き去りにしていかないのだ。
自分を初めとするアマチュア園芸達に対する皮肉ちょっぴり、
そして読者へのサービス精神ゆえのユーモアたっぷりの、
絶妙な味付けの文章で、多くの人々の心に
「元気の肥やしを与えてくれる」、
「笑いの花を咲かせてくれる」作品なのである。-
「オススメですか?」
はい。
「あいさつ」は、お持ちの「イギリスだより」に載っていたかも(と言うのは単行本と文庫では収録作が異なるので「チェ...「オススメですか?」
はい。
「あいさつ」は、お持ちの「イギリスだより」に載っていたかも(と言うのは単行本と文庫では収録作が異なるので「チェコスロヴァキアめぐり」の方だったかも知れません)。遺言のようなエッセイですが、チャペックの思いが、とても伝わります。
「ゆれうごく世界」は、「いろいろな人たち」と言う平凡社から出ているエッセイ集に入っていますが、関東大震災が起こった時に書かれた感涙物の一文です。是非是非どうぞ、、、2013/04/08 -
nyancomaruさん
イギリスだより、読み始めました。
あいさつ、最初に入っていました。
自分が相対する人間を、所属する国家や団体で
...nyancomaruさん
イギリスだより、読み始めました。
あいさつ、最初に入っていました。
自分が相対する人間を、所属する国家や団体で
判断するのではなく、一人一人の個人としてとらえ、
接しなさい。
皆がそのような心で他の国の人々と向き合えば、
戦争やテロなんてないはずなのに。
チャペック亡き後も、「人ではなく国を見る」
人々がいるため、世界は混乱したままです。
本編も楽しみながら読んでいます。
久しぶりに読んだチャペック、
文章のあちらこちらに散りばめたユーモアが
やはり素敵です。
「ゆれうごく世界」も読んでみたいです。
2013/04/24 -
「散りばめたユーモア」
創作では、ペシミスティックな話が多いので、エッセイや旅行記、童話に表れるユーモアが何とも言えません。。。
「世界は混...「散りばめたユーモア」
創作では、ペシミスティックな話が多いので、エッセイや旅行記、童話に表れるユーモアが何とも言えません。。。
「世界は混乱したままです。」
次の世代に、混乱を残したままにするしかないのが残念で悲しい。少しでも明るい兆しが見えてくるよう。草の根で頑張りましょう。。。
2013/09/24
-
-
「ロボット」の語を発明したとされる小説家の本。小説は大いに「ナンセンス」も導入していて新しさも感じることの多い人。
本書については多少なりともまじめな園芸本かと思ったんだけれどもさにあらず。熱中する自分を面白おかしく客観化し、でも同時にそういう自分を誇らしく思うという内容。
何かに熱中したことのある人なら、本書の影響を受けて「何か書きたい」なんて思ってしまうんじゃないかな。とくに前半部分は珠玉の名言だらけ。 -
いわゆる「オタク」が、自分の趣味嗜好への傾倒を正当化するために書いた文章を読むのは、正直かなり面倒くさいものです。
興味がない眼から見ると、その趣味のすごいところを畳みかけてくるハイテンションについていけません。
カレル・チャペックは、深い洞察をユーモアに溢れる文体で表現した小説家。
チェコ国民に敬愛され、その作品は世界中で読まれています。
また、新聞記者として、政治批判したことから、ドイツのナチス政権からさまざまな迫害を受けました。
そんな国民的大作家が、庭作りオタクだったのですね。
この本は、1月から12月まで、庭をどんなふうに季節が訪い、それに合わせて、園芸家がどんなふうに右往左往するかを、ユーモアたっぷりに描いています。
「園芸家の二月」
素人園芸家は、ふつう尻の上で終わっている。足と手は横に広げられており、頭は草を食んでいる牝馬のように、両ひざのあいだのどこかにある。
身長1メートルを越える園芸家はめったにいない。
「園芸家の四月」
四月は芽ぶきだけではなく、植付けの月でもある。熱心に、そう、猛烈な熱心さと待ち遠しさをかかえて、あちこちのプロの園芸家にすでに苗を注文していた。
そうした苗がなければ、もうそれ以上生きていられないほどの気持ちだ。
やがてある日のこと、(注文していた)百七十本もの苗や苗木が、わが家に集合し、土の中に植え込んでくれと望む。その瞬間になって、園芸家は、自分の庭をしげしげと見わたし、植える場所がどこにもないことを知り、たちまち心を沈ませる。
つまり、四月の園芸家とは、干からびかけた小さな苗を手にして、自分の庭を二十回も歩きまわり、まだ何も生えていない土が、1インチでもないかと探しまわる人間なのである。
あまりにもすることが多い園芸家の生活。
第三者的に考えると、その苦労は美しい花が咲くことで報われるはずなのですが、丹精した花の話はほとんど出てきません。
花を愛でることより、庭を作ることが大切なんですね。
ちょっとわかったような気がしました。 -
作家で在りながら無類の園芸マニアの
300種以上の植物名と
ユーモア溢れる軽妙な文章は
心地好く 癖になる 大変面白い