鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

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  • 技術評論社
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感想 : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774155654

作品紹介・あらすじ

鳥は恐竜から進化した。かっこいいTレックスやでっかいアパトサウルスを生み出した恐竜は、紆余曲折を経て、今を生きるかわいい鳥なったというわけだ。だとすると……鳥類学者は恐竜学者とも言えるのではないか? そのへんをパタパタ飛んでる鳥を観察すれば、太古の恐竜のアレコレがわかってしまうのではないか! ? これは実際に、鳥類学者に恐竜を語って頂くしかない。そんな難問に挑む、一人の鳥類学者。ユニークな視点と大胆な発想をもとに、恐竜の息吹を蘇らせる。無謀とも言える挑戦で見えてきた恐竜の姿とは、一体どんなものなのだろうか?

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃は恐竜大好きだったのに(一押しはステゴザウルス)、最近は何となく遠ざかっていた。今回、献本いただいて、ここ数十年で恐竜研究もずいぶんと進んでいるのだなということにまずは驚いた。
    姿勢や歩き方、体表の材質、足跡や糞などの「生痕化石」の発見・・・。
    中でも特筆すべきは、「鳥類が恐竜から進化した」ことについて、一応の決着が付いたことだろう。
    鳥が恐竜から進化した説については1つ残る矛盾があった。指の形成に関わるものだが、この矛盾点が近年説明され、「鳥類が恐竜から進化した」、極端に言えば「鳥は恐竜である」と見ることも可能になった。

    細かい点は問うまい。鳥=恐竜説に乗ろう。本題はここからなのである。
    著者は、この説を基盤に、現生鳥類研究者の立場から、恐竜の形態や生態について、挑んでいく。
    恐竜は、絶滅してしまっている。恐竜学者は骨格や痕跡や、いずれにしろ、化石しか入手できない。対して、鳥類学者は、骨だけじゃなく、筋肉や羽毛が付いた形の生物を知っている。しかもその生物は動くのだ! そりゃなんたって強みだろう。

    まずは、鳥が鳥となった=空を飛ぶようになったのはどのようにしてかについて考えていく。飛ぶには翼が必要である。翼を動かす筋肉が必要である一方、体を軽くする必要がある。
    翼のために腕を失った分、鳥は捕食に適するように嘴を発達させた。
    こうした点を恐竜に当てはめてみると、どうなるのか。

    色に関する疑問もある。今般の恐竜図鑑の恐竜は、非常にカラフルだという。骨からは色は推測できない。過去、単調な色彩で描かれていた反動か、今や百花繚乱的に色合いが華やかになっているのだ。
    本当の恐竜はどんな色だったのだろう?
    白い恐竜はいたのだろうか? 逆光でも目立たなくなるような翼竜の色合いとはどんなものだろうか?

    その他、恐竜はさえずるか、毒を持っていたか、渡りを行っていたか、首振り・ホッピングといった鳥に特徴的な行動を取っていたか、子育てはどのようなものであったか、夜行性のものがいたか、などなど、豊富な観点から、鳥と照らし合わせて考察していく。

    難しそう、と尻込みすることはない。
    細切れ時間で読むには少々骨があるかもしれないが、著者は親しみやすいスタイルで書いているので、肩の力を抜いて、ゆったり楽しんでみよう。数多くのイラストや解説も楽しい。
    なにせ、本当に恐竜がどのようであったかは未知の部分が大きい。
    ならばいっそ、自由に太古の大地を駆け回り、空を滑空してみようではないか。
    子どもの頃、恐竜に憧れたことがあるあなたも、今まさに恐竜好きであるというあなたも、さぁ、お気に入りの飲み物を手に、知的好奇心の旅に。

  • 鳥類の祖先は恐竜、っていうのは理解してるけど、恐竜の子孫は鳥類って言われると、あれ?そういわれればそうか、ってなるから不思議。というわけで、恐竜の子孫である鳥類を研究する鳥類学者の筆者が、恐竜の姿、生活などを逆深掘りしていく視点が面白い。鳥がこうだから、恐竜もこうだったろう、でもこんな違いもあったはず、などなど、鳥視点で見ると、恐竜の姿が急に具体的になる。世界はよくできてる。

  • 著者のギャグは滑りがちで微妙ではあるが、慣れると面白く思えてくる。
    恐竜の生態や風貌は化石から推定されたものでしかないというのは分かっていたけれど、幼い頃に刷り込まれた「恐竜像」がすなわち真実であるような感覚を捨て切れずにいた。
    この本を読むとそれがいかに間違っているかがよく分かる。骨から推定できることは断片的なものであり、進化の経路はより複雑で、生態となるとまるで分からないというのが実態であるらしい。だからといって、恐竜の生態について好きに空想を膨らませようということにはならず、現生の生きものから推理し、いくらかの理屈をつけて想定をするのが科学というものだ。好きに空想をするならばただのトンデモ説である。鳥からフォーカスし、恐竜の生態推定を行ったのが本書である。
    「鳥類学者で門外漢だから」と著者は前置くが、本気の素人からすると十分に説得力があり、面白い。このやうな特徴を持つものはこういう生態というのが1つ1つ丁寧に説明され、だからこんな恐竜もいたかもしれないと具体例が生き生きと書かれている。
    眼窩の大きさと夜行習性の関係性など、言われてみればあっても不思議ではないが、あまり考えてもみなかった点で新鮮だった。今度科博に行ったら、そういう視点で骨格標本を眺めたい。

    恐竜と言われて頭に浮かべるイメージが少し変わったし、固定観念から自由になれた。イラストもあってそもそも恐竜に詳しくなくても読みやすかった。

  • 図書館で。
    確かにこの頃の恐竜のイラストは羽あり・カラフルな絵が多いものなぁ~ そして翼竜と後…海の…なんだっけ?は恐竜じゃないんだ。知らなかった…

    そしてミミズクちゃんの骨って結構精悍だった。カッコイイんだな~ びっくりだ。
    色々面白かったので手元においてもいいかななんて思いながら読みました。

  • 無謀にも、読了。
    鳥も恐竜も、ついでに鶏もそんなに好きじゃないんだけど、知的好奇心を満足させたいという思いで読んでみたかった本の1冊。
    じゃあ、知的になったか否かは置いておくとして楽しめたのは確か。
    さあ、この本と図鑑を携えて恐竜探検に出かけよう!バ-ドウォッチングさえしたことないけど。

  • 私のようなど素人が恐竜について知りたいならこの一冊ですね。
    鳥や他の生物や植物と絡めて愛情たっぷりに語ってくれてます。
    川上和人さんの説明は、とても分かり易い。

  • これは面白かった。わーーっと加速して読んでしまって途中で勿体無い、でももっと読みたいと悶えるほどでした。ま、再読必至ですねぇ。所々に入ってくるツッコミがツボ(世代がドンピシャなのもある)、それにテンポがいいし文章が読みやすい(単に自分の好みというか相性がいいのはある)。このところ羽毛恐竜研究真っ盛りで見聞きすることも多くなっているが、やっぱりまだまだわからないことが多すぎて、ものすんごいロマンのままなのが楽しい。鳥好きで恐竜好きにはたまらん一冊やと思います。

  • 貴重な野鳥から、なぜか山頂で遭遇することの多いカラスまで、山で出会う鳥類は少なくない。その鳥類の祖先が恐竜である(始祖鳥ではない)という事だけでも灌漑深いのに、この本を読んでしまうとハイマツに留まるホシガラスが挑戦的な顔をしているように見えるのは、この本のドライブ感がそうさせるのか。『なにしろ、恐竜のことはわからないことだれけなのだから、鳥から類推するしかない。このことこそが、この本のテーマであり、ここから先の大前提である。今からでも遅くない、この大前提に賛成できない読者は、庭で飼育しているヤギにこの書籍を食べさせた末に、ヤギ乳でも飲み、健康増進に邁進すればよい。』

  • 「ドラえもんの『のび太の恐竜』で主役を演じ切ったピー助は、残念ながら恐竜ではない」先生、そんな本当のこと書くなんて大人気ないです。タイトルに「無謀にも」とある通り全編に渡り脱線と小ネタに溢れた脚注が加えられて、科学入門書としてはありえない面白さがある。とはいえ、鳥類がティラノサウルスを代表とする獣脚類から派生しているというのは知らなかったし、最近の説では羽毛を生やしている恐竜も存在していたとされているのは驚きだった。豊富なイラストとゆるゆるな文章もあって、誰にでも進められる生物入門書と言えるだろう。

  • 子供の頃に夢中になって眺め続けた恐竜図鑑。その頃のワクワクを大人の今になってもう一度思い出させてくれるのが本書。

    あまりにわくわくしすぎて、新しく仕入れた知識を子供にあれこれ語って聞かせていたら、我が家にプチ恐竜ブームが到来した。

    1冊の本を読んで、そこから話題が広がって、周囲の人にまで影響を及ぼす。めったにあることではないと思う。

    熱烈お薦め。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京大学農学部林学科卒、同大学院農学生命科学研究科中退。農学博士。現在、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所野生動物研究領域チーム長(島嶼性鳥類担当)戦略研究部門生物多様性・気候変動研究拠点生物多様性研究室併任。専門は鳥類学。主な著書に『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(新潮社、2018)、『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』(新潮社、2021)、『鳥肉以上、鳥学未満。』(岩波書店、2019)、『鳥の骨格標本図鑑』(文一総合出版、2019)などがある。

「2021年 『鳥類のデザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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