- Amazon.co.jp ・マンガ (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781618494
作品紹介・あらすじ
ここ…もしかしたら最高の街なんじゃない?
なんの気なしに来てみたら、心に余裕が持てていた。
「のんびり生きたくなる」「住みたい」とSNSで反響じわり。
ささやかだけれどやさしい日常。ほんのりふしぎなタッチで描く自由きままなドイツ移住記。
◎とてもうれしいオール2色印刷
◎書籍版限定書きおろしコラムも収録
香山哲(かやま・てつ)
漫画家。
『香山哲のファウスト1』が2013年に第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員推薦作品に入選。
『心のクウェート』がアングレーム国際漫画祭オルタナティブ部門ノミネート。
感想・レビュー・書評
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(三部作をまとめてレビュー投稿)
どこかで「オススメの漫画!」とあったことがとても記憶に残っていたのと、色々な方面から「どうやらベルリンっていい街らしい」というあやふやだけど確かっぽい噂が漂ってきたのとで、読むなら「今でしょ」と思って、思い切って三部作大人買い(←大袈裟。たった三冊。)
第一作目「ベルリンうわの空」
第二作目「ベルリンうわの空 ウンターグルンド」
第三作目「ベルリンうわの空 ランゲシュランゲ」
作者の香山哲さんのインタビューは検索すればすぐにヒットするので、香山さんのことや、この作品を詳しく知りたい方はそちらを参照いただくとして、私的に、おおまかに説明すると・・・
第1作目は、「自分はこういう気持ちで生活したい」、「こうありたい」、という素直な思いが実現しそうな環境を求めてベルリンに移住してみた香山さんが、「ベルリンって最高かも!」という印象を抱き、丁寧な視点でベルリンという街や、ベルリンでの暮らしについて眺めたことを描いたもの。
第2作目は、ベルリンでの暮らしの中で人とのつながりが広がり、友人たちと地下のテナントに「清潔スペース」という名のシャワーや洗濯機を提供する場所を作り、完ぺきではない社会の中で自分がどうあるべきが、何をやっていくべきか、社会問題や政治についても触れつつ、描いたもの。
第3作目は、もはやベルリンどうこうではなく、ストーリー性もなく、香山さんの内省を読んでいる感じ。香山さんがどんなことを考え、何を大切に生活しているかが描かれている。
「ベルリンのことを知りたい」と思って読みだしたので、そこは正直なところ、充分満たせたというわけではなかったけれど、「オススメ」とあった理由はよくわかった。どこであろうと結局毎日の生活が大切なのは不変なことで、その生活をする「環境」が自分に合うか合わないかを素直に求めて移動できる香山さんはある意味、とても恵まれた人なんだと思う。けれど、謙虚で内省深く、慎ましく静かに穏やかに生活していることが丁寧な表現で伝わってきて、嫌みがない。さらに、自分だけでなく、周りの人々、特に社会的弱者とよばれる人達への大切な視点も忘れていない。それが特に第二作目に表れているんだけれど、シンプルにこういう人が多ければ多いほど、その街は優しくなるんじゃないかと思った。
余談になるけれど、ネットで検索した香山さんのインタビューに以下のような記述があった。
「たとえば日本だと、外にいても自分のカプセルにこもっていやすい空気がありますよね。スマホをずっと見て、他人との交流を遮断することもできますし。でも、ベルリンでは街に出れば「公共の中の自分」という空気が少し強く感じる。信号無視をしないのは自分の安全のためだけじゃなくて、子どもが真似したら危ないから。」
一度しかドイツには行ったことはないし、しかもベルリンではなかったけれど、これ、すごく「あぁ、そういことか」と腹落ちした。私の経験なのだけれど、ドイツで車通りのそんなに多くない通りを渡ろうとしていると、車がすっと当たり前のように止まってくれたことがあった。こちらとしては、そんなに車通りも多くないので、その一台が行ってしまってから渡ろうと思っていたので、とても恐縮してしまった。という感じのことが短い滞在の中で何度かあった。その時は「マナーがいいな」、と単純に思っていたのだけど、上記の香山さんのインタビューで、「そういうことか!」と腑に落ちた。
なんとなくだけれど、日本人(と言ったら主語が大きいけれど)も「恥ずかしがり屋」だとか「シャイ」だとかを言い訳にしないで、そろそろ「社会の中の自分」を意識した行動を取った方がいいのではないかと思った。成熟した社会になるにはそういったことも必要なのでは・・「社会の中の自分」を意識するともっと人とつながるようになると思う。そうすると、例えば「道端で困っている人を見てみるふりする大人、大人が動かないから行動する子ども」みたいな変なことも減るのでは。
と、香山哲さんの漫画から自分なりに考えが広がった。つまり良い漫画だったということだと思う。 -
ラジオで紹介されていてなんとなく存在は知っていた香山さん。
読んでみて、
ベルリンのpanpanyaだ! と。
安易に言われたら嫌がられるかもしれないが、思っちゃったんだからしょうがない(JUNK 爆笑問題カーボーイ)。
共通の先祖はつげ義春かなと思っていたら、作者本人のツイッターで、
「絵を手伝ってもらうとき、「つげ(義春)1歩手前ですか?」「2歩か3歩手前でお願いします」みたいな感じだった」
ふふふ。
それにしてもこんな生活してみたいな。
というのはベルリンに住みたいということではなくて、身の回りの生活に着目する眼を持ちたいということ。
今の自分ときたらゾンビのようだし。
もちろんインプットもアウトプットもかなり努力された結果の作品なんだろうけれど。
お裾分けをいただこう。 -
どいつにしばらく住んでたことがあって、ノスタルジックな気持ちにさせられた
ドイツのこういう、移民が入り混じっていて、日本よりなんだか汚くて雑多なんだけど、温厚な雰囲気みたいなのが魅力だと思う -
独特で不思議なイラストと、新鮮な海外生活ルポが心地よく混ざり合っていて、楽しく読んだ。
よく躾けられたスーパーの前の犬の描写で、もうベルリンに住みたくなった! -
自分がベルリンに、行くことも、ましてや住むことは無さそうだけど、住んでいる街を少しでも住みやすくなるように努力することはできるのではないか。
香山さんの優しい視点、自分も欲しい。 -
コミック版ドイツ在住エッセイ。
著者の優しい目線で、ベルリンを観察・考察している点が
安心して読んでいられた。
一風変わったフレンドリーな画風も個人的に好きだった。
第2弾も読みたい。 -
香山氏の目線は非常に心地良い。
ベルリンに行ってみたくなる。 -
高円寺、蟹ブックスという本屋さんのアイコンである蟹さんを描かれた香山さんの作品。蟹ブックスに置いてあったのでまとめ買い。ベルリンを知り、魅力を感じ、香山さんや香山さんを通して知るベルリンに生きる人々のものごとの考え方や感覚に共感でき、そこから派生する感情や考えさせられるテーマもあり、なかなか良いなぁと思いながら、楽しんだ黄色の表紙。次は赤色の表紙。
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ささやかだけれどやさしい日常。ほんのりふしぎなタッチで描く自由気ままなドイツ移住記。ベルリンってとてもよさそうなところだな。自分の生き方や社会でのあり方。考えさせられる。不思議にキャラクター化した登場人物も心地よし。
ユーロ高くなったり戦争があったりして遠くなってしまったけど、ドイツはまたゆっくり行きたいなあ。
https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784091285492
コメントありがとうございます!
ドイツで同じようなことを感じられたんですね、なんかうれしいです。知らなかったマンガも...
コメントありがとうございます!
ドイツで同じようなことを感じられたんですね、なんかうれしいです。知らなかったマンガも教えていただき、ありがとうございます♪機会をみつけて読んでみたいです!本当に本当にもう一度行きたいです。