- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781690087
作品紹介・あらすじ
「できる」か「できない」かで人間の価値が決まる。できれば「多くとれる」。そういう考えは、まったく正しくない。泣く子も黙る「生存学」のたおやかな巨匠がやさしく語り尽くす。
感想・レビュー・書評
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「自分では引き受けられない、あるいは引き受ける気がないものを、一時的に、あるいは別世界において、別人において、存在させ、いくらか感じたり、肯定したりする。こんなことが私たちの生のいくらかの部分を占めているのは確かであり、そんなことがなくなるとは思わない。(⋯)ただ、すくなくとも、自分(たち)に都合のよいように他人(たち)を思い描き、そして扱い、そのことによってその他人(たち)に迷惑をかけるのはよくないことだ。このことはわかっておこう」(p.39)
「人間が、外界を制御しその成果を自らに取り込むことは、一つに、「人間的」なこととして肯定される。他方で「自然」はそうなっていると言われる。だいたい、まず、こういうところがいいかげんだ、二枚舌だと思う。けれども、言っている人が違うと、二枚舌だという批判は効かない。各々は一枚の舌で語っているということになるからである。とすると、面倒だが、一つずつ見ていく必要があることになる」(p.158)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
総ルビながら難解ホークス。
【目次】
目次 [003-010]
簡単で別な姿の世界、を歌えないなら、字を書く(2010年5月5日) [011-015]
序 019
1 なにが書いてあるか 020
2 なぜそんなことを 023
I できなくてなんだ 029
1 できることはよい 030
2 できないことがよいことでもあること 032
3 だが勝手に持ち上げられたら迷惑であること 036
4 自分でしない方が楽なことがある 040
5 代わってもらえない場合 045
6 他人がいてしまうこと 049
7 他人は信用できない、から自分で 058
[補] 民主主義 064
8 たしかにできないと困る、のだが 068
9 以前から足りていて、そして楽になっている 074
II ならどうならよいか・1 077
1 一人ひとりが自分の分という案 078
2 苦楽の公平はありだと人は思っている 081
III しかしこの世の仕組み――私たちの社会は変だ 085
1 きまりA:私の作ったものが私のもの/価値B:私がすることできることが私 086
2 そのことが気になったこと 090
3 同じにできるようにはならないし、できたからどうというものでもない 092
4 どうということではないという気持ちをもらったこと 095
5 「学問」でないものからもらったこと 099
6 私の作ったものが私のものであるが正しい、理由はない 104
IV でも社会はそうじゃないかという話 111
1 人がそうなるならそうなるという話 112
2 関係が人を決めるという話 115
3 ならまず社会を変えてしまえばよいという話 118
4 順番に、小分けにして、考えてみようと思ったこと 123
V 人は違うものを信じている 133
1 人は違うものを信じている 134
2 他者がいた方がよいと思っている 137
3 たんに私は生きたいと思っている 142
4 譲れないもののために分けられる 146
VI 差は仕方がない、必要だというお話について 151
1 そうなってしまうというお話の繰り返し 152
2 これできまりという答はない、が 154
3 自然はそうなっているという話 158
4 都合よく自然をもってきてしまう 161
VII 「機会の平等」というお話がいけてない話 167
1 差は縮まるという話 168
2 それなりのことはなされ外堀が埋められる 172
3 しかしそれでも 174
4 学校の話・続 176
5 より「深い」ところに差があるという話 180
6 で、どうするのか? 183
VIII むしろ差は大きくなる 187
1 差は大きくなる 188
2 「貧困」の再浮上 191
3 多くの人を相手にできる商売 196
4 身体系の商売の一部 199
5 作り手を限るきまり 202
IX 文句の言い方 207
1 このままでよい・対・いやよくない 208
2 搾取? 212
3 「最低限」を保障でよくはないか、について 218
4 貧乏の証明問題 221
X 世界の分け方 227
1 世界を分ける 228
2 人数で割ってしまえ、という案 230
3 A:苦労には報いる+人数割り ~同じだけ働いて同じだけ受けとるという案 235
4 苦労した分よけいに受けとるという案 239
5 なかなかそうもいかない → B 242
6 税を使ってBをAに近づけるという方法 245
XI 違いへの応じ方 251
1 同じから始めることについての復習 252
2 違うからこそまず「総額」を同じにすること 255
3 必要なものが違うとき 257
4 「ほしいだけ」はなしか 260
5 経済学が言うことは似ているようで全然違う 263
6 ありなこともある 266
XII 材料も仕事も分ける 275
1 お金を分けるだけでよいか 276
2 材料(知識含む)を分ける 278
3 人は余る、それはわるいことではない 284
4 生産を増やすという方法はあまりうまくいかない 287
5 再び、人は足りないのか多いのか 293
6 仕事を分ける 299
終わりに [301-310]
本の紹介 302
予告 309
補
[補・1] 教科書に書いたこと 313
・少子高齢化は「大変」か 315
・政治は何をやるべきか 319
・何を、どう配分するか 323
・世界は世界を救えるか 327
[補・2] 三人のひとと話してみた 331
・「できる」ことは「人間の価値」ではない――社納葉子さんと 337
「弱くある自由」という考え方/生きて暮らしていることそのものが/「できる」イコール「自分が生きている値打ち」か/「尊重」と「省略」/しんどい現実とそこから受け取ること/「障害者の親」と責任はない/世の中で一番いい加減な学問
・明るくないけど、変えることは不可能じゃない――山田真さんと 365
オジサンたちは考えることをやめた/「正常」ってなんだ/自分で選ぶことと人を選んではいけないということ/広げてみよう大風呂敷/行けるところまで行けばよい
・それでも世の中は回っていく――岡崎勝さんと 379
いろんなスピードがある/「いっしょに学校へ」の先にあるもの/みんなができる必要などない -
やっとこさ読了。
立岩理論への入り口本という感じなんでしょうか。
実際読書案内などしっかりしています。
中高生に読ませようとする「よりみちパンセ」のシリーズとしては
いかがななものかと思うのですが、先生自体はそもそも難しく書いてないと思ってらっしゃるので、どうしようもないですね。 -
めっちゃわかりにくかった。
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「できる」ことは人間の「価値」ではない
少子高齢化ってほんとに悪いこと?
効率化して人手が必要なくなるのはいいこと?
「最低限」の基準って?
わたしたちの住む世界にある
あたりまえの価値観に対して
なんで?おかしくない?
て考えたことなんてなかった
なんだか目が覚めるような新鮮さをかんじながら読みました。 -
新しい社会的な仕組みの提言が書いてある。よく分からないのが正直なところ。もっと人間関係とか小さいレベルでの話が書いてある本だと思っていたがそうではなかった。政治が好きな人は読むといいかも。