アニメと日本文化 (新典社選書 114)

制作 : 田口 章子 
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787968647

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  • 本書は、アニメと日本の伝統文化との深い関わりを、様々な角度から掘り下げた貴重な一冊です。

    まず総論では、諏訪春雄氏がアニメの根源を絵画表現に探り、日本文化における「型」の重視との関連を指摘しています。水木しげるや宮崑駿作品の分析を通して、霊魂論や女神信仰などの伝統思想とアニメの親和性も論じられています。

    各論では、歌舞伎、文楽、絵入本、浮世絵などの近世文化と、アニメがいかに通底するかが具体的に示されています。絵尽しや挿絵におけるアニメーション的手法の指摘は目新しく、アニメ文化の源流を視覚的に追体験できる好例と言えます。

    著者陣には、近世文学・芸能の第一線の研究者が名を連ねており、伝統文化への深い造詣が随所に窺えます。個々の論考はいずれも説得力に富み、アニメと日本文化の連関に新たな視座を切り拓いています。

    一方で、アニメが西洋の影響を強く受けていることも認められ、その中での日本的要素の位置付けも問われています。伝統の継承と創造のあり方への示唆に富む好著と評価できるでしょう。

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著者プロフィール

1934年、新潟県新潟市に生まれる。新潟大学卒業、東京大学人文科学研究科博士課程修了、文学博士。学習院女子短期大学教授、学習院大学文学部教授を経て、現在学習院大学名誉教授。前国際浮世絵学会理事長。元日本近世文学会代表。大韓民国伝統文化研究院顧問。研究領域は近世文芸、浮世絵、比較民俗学、比較芸能史。

●主な著書に、『愛と死の伝承』、『近松世話物集(1)(2)』、『歌舞伎開花』(いずれも角川書店)、『元禄歌舞伎の研究』、『近世芸能史論』、『近松世話浄瑠璃の研究』、『親鸞の発見した日本─仏教の究極』(いずれも笠間書院)、 『忠臣蔵の世界』(大和書房)、『江戸その芸能と文学』、『近世の文学と信仰』、『心中─その詩と真実』、『出版事始─江戸の本』(いずれも毎日新聞社)、『日本王権神話と中国南方神話』(角川書店)、『大地女性太陽三語で解く日本人論』(勉誠出版)、『鶴屋南北』(山川出版社)、『日本の幽霊』(岩波新書)、『日本の祭りと芸能』、『北斎の謎を解く』(いずれも吉川弘文館)、『霊魂の文化誌』、『江戸文学の方法』(いずれも勉誠出版)、『安倍晴明伝説』(ちくま新書)、『日本人と遠近法』(ちくま新書)などがある。

「2017年 『能・狂言の誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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